表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1001/1006

ティゼルの野望 その五


 俺はケイルランド地域の統一王。


 統一王である。




 天使族からの謝罪は、このあたりを縄張りにするドラゴン殿がやってきたことで、うやむやになった。


 よしっ。


 とってもよし。


 ドラゴン殿、めちゃくちゃ話がわかる!


「いや、私もティゼルさまに巻き込まれたようなものだからな……」


 外の商人から話を聞きました。


 六竜神国っすね。


「そうそれ。

 まあ、それに参加するおかげで同族から一目置かれるようになったから、悪いことばかりじゃないんだがな」


 ドラゴン殿の名はザハーザハー。


 ハイフリーニアルスという奥さんと一緒に、王都周辺を縄張りにしていた。


「妻にもここのことはちゃんと言ってあるから、揉めることはないよ」


 あざっす。


 頼りになる。


 すごく頼りになる。


 さすがドラゴン!


 ドラゴンならティゼル嬢を抑え込んでくれる。


「いや、それは無理。

 無理無理の無理。

 彼女の父親がすごいから」


 父親というと殲滅天使の夫ですよね?


「……あー、その認識か」


 違うので?


「事実だが、ほかにも妻がいる」


 ほかに?


 あ、、まあ、そうですよね。


 金や力を持つ者が、多くの配偶者を持つことは不思議ではない。


「私から聞いたと言うなよ」


 ドラゴン殿がそう前置きした話を聞くと、ティゼル嬢の父親はハクレンなる、世界でもっとも狂暴なドラゴンを奥さんにしているそうだ。


 なにそれ?


 ティゼル嬢の父親は化け物か?


「似たようなものだ。

 それゆえ、その者の娘の一人であるティゼルさまを抑えるなんて、無理無理」


 ええっ、なんとかならないので?


「あー、なんとかしようとすると、その父親に言うしかないのだが……

 言ってみる?」


 ……怖い?


「いや、普通。

 恐ろしいぐらいに普通の者だ」


 なら……


「冷静になれ。

 化け物という評価に、似たようなものだと言っただろ。

 普通の者が、どうしてハクレンさまや、天使族を妻に持てる?」


 ……


「ついでに言うと、ほかにも妻はいるぞ」


 ………………


「魔王ですら、あの者には敬意を払う」


 魔王?


 魔王というと……超大国が連合を組んで全力で戦っているという……


「その魔王国の魔王だ」


 …………


 えーっと、そうなると、天使族からの謝罪はどうしたら避けられるでしょうか?


「ティゼルさまに、不要と言い続けるしかないだろう」


 そんな。


「強く生きろ。

 できるだけ手伝ってやるから」


 うう、ありがとうございます。




 その後……でいいのかな。


 俺はティゼル嬢に、必死に天使族の謝罪は不要と言い続けた。


“でも”も“しかし”も不要。


 昔の話。


 こちらが望んでいない謝罪は、暴力。


 それに謝罪よりも、行動。


 今後、周囲に迷惑をかけないことが大事なんじゃないかな。


 あ、こちらも愚痴は控えるようにするから。


 うん、あれは俺たちも悪かった。


 昔の話で盛り上がるなんてな。


 もう過去は忘れよう。


 新しい未来に向かって進むんだ。


 そう主張して頑張った。


 ほかの領王たちも援護してくれた。


 ありがとう。


 いろいろあったけど、ティゼル嬢のおかげでケイルランド地域は真に一つになった。


 きっと未来は美しい。


 ところで次回の統一王決定戦なのだが、来年ぐらいにやらないか?


 いやいや、力不足を痛感したから。


 遠慮するな。


 みんなも戦いたいだろう。


 俺は欠場するが、頑張ってもらいたい。


 ……


 ケイルランド地域は、俺とその他で真っ二つになった。


 なぜだ!




 国名が決定。


 ケイルランド地域連合王国となった。


 各地で開発がどんどん進んでいる。


 外からやってくる商人たちは、すごく怖いけど……事前にティゼル嬢とエカテリーゼ先生が交渉していてくれたらしく、悪い取引にはなっていない。


 食事の質も、向上している。


 飯が美味いと感じるのは、珍しい感覚だ。


 まあ、たまに戦いで体を動かしたくなるが……


 戦う相手がいない。


 あ、ケイルランド地域連合王国に反乱するってのはどうだろう?


「王が自分の国に反乱って、意味がわからないのですが?」


 先が見える文官が、だから負けろと言ったのにという顔をする。


「なんにせよ、いまやったら総叩きどころか民衆から恨まれますよ。

 やっと平和になったのですから」


 ぐぬぬ。


 ……将軍、将軍はどうだ?


 戦いたいだろう?


 この将軍は、ティゼル嬢の巨大なゴーレムを倒す指揮を執った護衛だ。


 将軍に抜擢した。


 彼なら、彼なら俺の意見に賛同してくれるはず。


「あ、いや、俺も平和なほうがいいですね」


 え?


「いまのままでも、ティゼルさまやエカテリーゼさま、イースリーさまが戦ってくれますから」


 ……勝てたの?


「全敗です」


 だよな。


 俺も勝てないんだもん。


 彼女たちが王でいいんじゃないかな?


「俺たちの王は、統一王ですよ」


 くっ。


「あ、そういえばティゼルさまが王に話があると言ってましたよ」


 それを早く言え。





 こんにちは。


 俺は征服王と呼ばれている人族の男。


 ジドエン王国の王だ。


 そう征服王だ。


 ケイルランド地域連合王国の統一王?


 ははは、なにを言ってるのかな。


 征服王。


 俺は征服王だぞ。


 そんな俺は、船旅をしている。


 目的地は、魔王国にある五村という場所。


 そこにティゼル嬢の父親がいるらしい。


 ……


 なぜに?


 どうしてこうなった?


 俺は抵抗したはずだ。


 第一、統一したばかりの国の王が長旅って変だろう。


 さすがの俺でもわかるぞ。


 王は国元にいて重しとなるべし。


 しかし、ティゼル嬢との話し合いでこうなった。


 ケイルランド地域連合王国の長期安定を考えると、父には絶対に挨拶しておいたほうがいいからと。


 いや、そうかもしれないけどね。


 魔王が気をつかう相手らしいし。


 でも、遠方すぎない?


 そう言ったら、ドラゴンに乗って行く話がでたので、慌てて船でとお願いした。


 ……


 もう一回。


 なぜ、こうなった?


 わかっている。


 だいたい、天使族のせい。


 おっと、愚痴はなし。


 あー、この船、どっかで難破しないかなぁ。


 無人島でのんびり暮らしたい。





領王A「国名、どうする?」

領王B「天使族と敵対しない意味を込めたい」

領王C「敵対しない意味を込める? どんな国名にするんだ?」

領王D「天使族に許されし王国」

領王E「ティゼルさまがいるなら、セーフか?」

領王F「待て待て。さすがに天使族に叱られるだろ。こっちに来たらどうするんだ?」

領王G「じゃあ、素直にガーレット王国ティゼル統一領とか?」

領王H「統一王が、統一領王になってしまうだろうが」

領王I「そうなると、俺たち領王は……どう呼ばれるんだ?」

領王J「めんどくさいから、ケイルランド地域王国でよくない?」

領王K「連合、連合は入れてほしい」

領王L「それじゃあケイルランド地域連合王国で」

領王N「決定!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
村長は創造神から神器と全権を与えられた創造神の使徒だからね いわゆる創造神の地上代行者 言い換えるなら現人神 そろそろ創造神様は村長にご褒美として不老長寿を与えても良いと思う
ゆうべ屋台で意気投合した兄ちゃんと何故か村長代理の執務室で再会することに?
混代竜族にとっては神の敵グーロンテより、身近なハクレンの方が狂暴なんですね。 まあ、最近のグーロンテは穏やかですが、ハクレンも昔に比べたら穏やかになってますが…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ