行き場
周りの同級生達と比べ、別段運動神経が優れているわけでも、勉強が出来るわけでもなく、容姿も普通の高校生の青年がいた。
ある日の朝、青年はいつものように通い慣れた道を学校に向かい歩いていた。商店街を抜け、そろそろ学校が見える大通りに差し掛かった所で、青年は運悪くトラックに轢かれ、そこで意識を失った。
どれ程の時間が経っただろうか…。青年が目を覚ますと、そこは上も下も何もない、延々と白だけが続く世界だった。
青年が行き着くはずであった異世界はとうの昔に消滅していた。
異次元の狭間に迷い込んだ青年は、これから先、誰も訪れず、何かが起こる事もない虚無の世界を一人漂い続ける…。