表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラティズ レコード  作者: 荒屋敷ハコ
第一章 ~ルーチェ~
9/36

1-8

                1-8

 それから数日の間、ルーチェはほとんど1人で過ごした。

 ミロンドは朝早く出かけて、夜になると帰ってきた。ミロンドが買ってきた夕食を2人で食べてから、ルーチェは寝るという生活が続いた。

 昼間の間、ルーチェは窓から人の流れを見たり、アーディンをかき鳴らして過ごした。

 時々、フェルセが遊びに来てくれた。

 フェルセは黙って占いのカードを眺めていたこともあったし、ルーチェと一緒に話すこともあった。また、2人でマーロの街を散歩することもあった。

 そんなある日、サーシャがやってきた。

「ルーチェ、お母さんのところにいく?」

 サーシャの言葉に、ルーチェはびっくりした。

「会いに、行っても、いいの?」

 ルーチェは小声で訊いた。

「少しだけならね。だいぶ落ち着いてきたし、いいんじゃないかなと思って」

 サーシャはルーチェを安心させようと、微笑んだ。

 母に会いたい。

 それはルーチェがずっと願っていたことだった。けれども、どこか不安はあった。自分の知らない間に母が変わっていたらどうしよう。ルーチェはしばらく考え込んでいたが、やがて顔を上げると

「行く」

 と、答えた。

 今日も朝からよく晴れていた。

 ラーデン特有の強い日差しを浴びて、2人は歩いた。少し歩いただけで、ルーチェの額に汗がにじんだ。

「ねぇ、サーシャさん」

「なあに?」

「父さんはいつも、母さんのところにいるの?」

「ううん、いないよ。どこに行ってるのか、分からないね」

「そう、なんだ」

 父さんはいつも母さんのところにいる。

 ルーチェはずっとそう思っていた。思い返せば、父さんは昼間どこで何をしているか一言も教えてくれなかった。

「あの部屋にいないの?ルーチェ、1人?」

「うん、夜になるまでずっと1人だよ」

「ええ~!寂しくなかったの?」

「ううん、ソルシェも来てくれたし、大丈夫だったよ」

 それでも1人じゃかわいそうよね。

 サーシャはぶつぶつ文句を言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ