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プラティズ レコード  作者: 荒屋敷ハコ
第一章 ~ルーチェ~
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「おかげでたくさん楽しめたよ。ありがとうな」

 しばらくして3人の男は、ニヤニヤ笑いを浮かべながら立ち去っていった。

 それを合図として、口々にアイリーの名を呼びながらみんなが一斉にかけ出した。

 アイリーは大きな木の根本に座り込み、裸のまま自分の服を掻き抱きながら泣いていた。

「だめ、みんな来ないで。誰も来ちゃだめ」

 仲間の姿を見るなり、アイリーは長い髪を振り乱しながら泣き叫んだ。

「母さん……」

 いつもと違う母の様子に、ルーチェはその場で立ち尽くすほかなかった。

「来ないで。誰も見ないで。いや!!」

 手がつけられない程に泣きじゃくるアイリーを、ルネとサーシャがなだめていた。

「ルンカの病院が近くにあったはずだ。そこまで運ぶんだ」

 サイラスが指示を出す。

 ルーチェの頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。

 こんな狂ったような母の姿を見るのは、初めてだった。ルーチェの知っている母親は、いつも穏やかで、静かで、優しかった。たまには叱られる時があるけど、こんなではない。あの3人組は、母に何をしたというのだろう。


「いやよ、来ないで。触らないで」

 暴れるアイリーをミロンドがなだめながら抱きかかえ、去っていった。ルーチェはそれを、まるで他人事のように眺めていた。

「ソルシェ、ルーチェ、部屋に戻ろう」

 オーレンが声をかけてきた。

 ルーチェはそれをぼんやりと聞いていた。

「ルーチェ」

 フェルセがルーチェの手を握ってきた。

 ルーチェはフェルセの手を握り返した。



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