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真夜中、やたら騒がしい物音で目覚めた。
「何か、あったの?」
ララが手早く着替えているのを見て、あたしは訊いた。
「近くでモンスターが出たそうよ」
ララは手を止めることなく、答えてくれた。
「大丈夫なの?」
「ここは大丈夫だと思うけど、討伐に行ってくるわね」
ララは自分の剣をとった。
「あたしも行く」
ちょっとだけ怖いけど、好奇心には勝てない。
あたしはベッドから飛び起きた。
「何を言ってるのよ。セレンが行ったところで何になるというの。ここは安全だから、待っててちょうだい」
「あたしだって、剣の練習はしてるし……」
そうなのだ。
踊り手は『剣の舞』という踊りを習得する。
『剣の舞』は何通りもの踊りの型があって、それを組み合わせることで攻撃と防御ができてしまうものなのだ。
「……足手まといには、ならないでよね」
ララは渋々承知してくれた。
「ありがとう」
「何があっても自己責任だからね」
ララは目線を逸らした。
早速あたしは支度をすると、ララと共に部屋を後にした。
外は逃げまどう人達によって混乱に陥っていた。自警団らしき人が落ち着くように呼びかけてはいるが、誰も聞いていなかった。
あたし達はそういった人達に逆らうようにしながら、現場へと向かった。
「珍しいわよね。サピドゥルの街はモンスターが近寄れないように、結界を張っているって聞いていたのに」
ララが疑問を口にした。
「誰も気付かないような、ほころびがあったんじゃないの?」
「かもね。あるいは……」
ララが言葉を切った。
あたしはララの顔を見た。
「誰かが手引きをして、この街を襲わせたとかね」
ララは声をひそめた。
「そんなこと、ないんじゃないの。この街に一体誰が恨みを持っているというの。まぁ、あたしだってこの街の裏事情なんて知らないけどね」
あたしは笑い飛ばした。
「それも、そうよね」
ララは少しだけ笑顔を見せた。
「来たか、ララ」
エフェルは中型犬ほどの大きさのアリと闘いながら、ララをちらりと見た。
「ごめんね、遅くなったわ」
ララは新しくやってきたアリに剣を向けた。
「こいつは固いぜ。つなぎ目を狙いな」
サイラスさんのアドバイスが飛んできた。
「分かりました。ありがとうございます」
ララが礼を言った。
「それで、どうしてセレンも来るんだよ」
ルーチェが1匹のアリを相手しながら、冷たい声で言った。
「あたしだって力になりたいよ。戦えるって」
あたしは自分の剣を抜いた。
『剣の舞』なんて、かなり久しぶりなんですけどね。
「ちなみにそのアリに噛まれたら、かなり痛いからね。毒は持ってないから多少噛まれても大丈夫だけど」
と、ミロンドさん。
既に彼の周りには、アリの死骸が山積みになっていた。
ううっ。
それを見たあたしは身震いした。単なる好奇心で来ないほうが良かったかも。
「いい構えよ、セレンちゃん。次はどの組み合わせでいくか、よく考えてね」
サーシャさんが励ましてくれた。
「はい!」
そのアドバイス通り組み合わせを考えて体を動かしたら、攻撃がつなぎ目にヒットした。
なんとかなるかも。
あたしは次のステップを刻み始めた。




