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第一印象は大切です




高瀬家は見るからに高級そうな住宅街に構えた一軒家で、内装も広々としていた。


金髪金目で見た目が完全に不良中学生な私は門前払いも考えていたので中に入れて貰えたことに安堵した。




「おかえり。大変だったね。」




出迎えたのは高瀬社長の一人息子だった。高校一年生の燈夜とうやさんは黒髪黒目で母の友人、紫乃しのさんにとても似ていた。因みに初対面なので面識はない。


挨拶を返そうと青年の顔を見た途端、私は身動きがとれなくなってしまった。

生まれてから自分自身は一度も経験したことのない幾つもの感情ーー知識としてなら知っているが、量が多くてどれがどれやらーーがいきなり頭に流れこみ、溢れかえらんと暴れまわった。これは生まれて初めて自分の姿を鏡に見たとき同じ症状だ。この感情は私が感じたものではない。だから神経が感情を心や顔や瞳へ流してくれない。出口がないので、眠るか気を失うまで脳髄に閉じ込められたままだ。

頭が痛い、目がまわる。吐き気までする。

五感が麻痺する。否、脳内が感情を受けるのに一杯でその他の感覚を処理出来ないのだ。

気を失わないでいるのが精一杯だ。否、気を失いたいのは山々だが生まれながらにして何故か見についていた警戒心と自尊心が初対面の人間の前で倒れるという行為を許さなかった。

だがぶっちゃけもうむりかんべんしてくれこれもうしんだほうがーー



「綺紗。」


感情だらけの回線をぶった切るような声だ。

私の頭は先程の衝撃と同じくらい突然クリアになった。


綺紗きさ、どうしたの?大丈夫?」


綺紗、 黒泱綺紗こくおうきさ私の名前だ。

時間にすれば1分も立っていない。

何故感情の濁流に見舞われ、また突然収まったのかもわからないが、とにかく今は目の前の青年に返事をしなければならない。


「ーー大丈夫です。少し目が眩んだだけです。はじめまして。この度はご迷惑をお掛けします。」


「立ちくらみ?とにかく入って。少し休んだ方が良いよ。」


安心した。心配されてしまったがまあ誤魔化せたようだ。きっとこんな症状言ったら見た目の不気味さもあいまって即追い出されてしまう。





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