自然現象?
ここでこの世界を今更だが説明しよう。
ユーク達が住む大陸には4カ国が有る。配置等を簡単に説明するなら長方形の紙に対角線を2本引き4等分する。
北にセルト、東にコンラット、南にマホガリア、西にフルールと言う配置になる。
勿論大陸なので長方形では無いし周りには海も有るのだ各国の首都はそれぞれの領地の中心から海寄りに配置されている。
各国のとの境界線近くには大きな山脈なり火山や森等で仕切られている様に成っているのだ。
世界の規模からしたら大陸が小さいと思うかも知れないが、現在人の住める大陸は発見されて居ないと言うより調べられて居ないと言うのが正解かも知れないが、ユーリア達が知らない事も可笑しいので無いと言い切っていいのだと思われる。
だが人類が居ないだけで魔物が居ないと言う訳でも無かった。
小さな無人島等も各国の漁師なら承知している。
魔物のランクも確認されている種の火竜等のSランクが最強だと言うのはハーデスの会話からでも解るのだが、弱い魔物は未発見種だけでもまだまだ存在するのだ。
例えば海の最強種は勿論水神竜なのだが、水に住む魔物は大陸だと蟹系と蛇系しか発見されて居ないが当然海にも魔素は存在している。
言い換えれば鮫やイカやタコ等の魔物も存在しているのだ。
当然雑魚キャラの魚種の魔物も存在する。
食用の魚との違いは見た目位だと思われる。
だからと言って大きさだけでは判断がつかないのも事実なのだ。
地球で言う鯨等に近い生き物も存在しているからだ。
では見た目とはどう言う事かと言うと。
魚体から魔素が漂っていると言う一言に尽きるのだった。
しかし漁師が乗る船等は海洋技術が未発達な為に殆どが外洋に出られず全ての魔物を知る事は出来ていない。
今回の話はそんな海の異変から物語が始まる。
その日は朝から快晴だった。
と言うよりここ数日健やかな晴れ間が続いていた。
昼食を食べている時に知らせが届く。
セドリックから聞いた知らせは、コンラットの西の海から中規模の津波が有ったと言うものだ。
「津波?」
ユークは津波の存在を知らない。
元々海の知識が無い人間が殆どでラクト辺りなら知っているだろうが、ここ数十年観測すらされていないから知らなくて当然なのだ。
津波の意味を知り被害の報告も聞いたのだが、それほどの被害も無かったと言う事だ。
ただ津波が起こるメカニズム等も全く理解されていない。
単純に海に何かが落ちたとか水神竜が暴れたからだろうと言われている程度だ。
何かが落ちると言うのは小さな隕石なら大陸でも何度か確認されているからだ。
ただ問題は近くに見た事も無い魔物が打ち上げられた事位だろう。
海洋の魔物は基本海でしか動けない物が多いとされているので放置して居れば干からびて死んでいく。近寄らなければ問題は無い、だが放置しておくのも問題だろうから何とかして欲しいと知らせて来たのだそうだ。
ユークは直ぐにピエールを呼び戻しミーシャとリオを連れて現場に向かった。
まだ津波から時間が経っていないのかあちらこちらに小さな潮だまりが出来ている。
名も無い小さな漁村に現れた(流されてきた)魔物は大きさ1m程の普通の魚に見えた。
ユークは近くの人に離れてる様に言い軽く討伐する。本当なら連れて帰って生態調査をしたいところだが、そうも行かないのでさっくりと倒す。
魔物なのでドロップアイテムを期待すると白身の塊が残った。
漁師に聞くとたまに網に掛かる物だと言う。味も普通の魚より美味しいと言うので兎に角持ち帰る事にしたが、流石に食べる勇気は無かったので囚人に食べさせて毒見させれば良いだろうと言う事だ。
漁師に津波が起こった時の状況を聞くが今一要領を得なかった。
ユークはほかに魔物が居ないかを確認して周り、漁村の安全を確保してから城に戻った。
セドリックにドロップアイテムを渡して安全が確認されるまで食べない様に指示した。
「そう言えば海の魔物って全く知らないよね?」
「そうですね。セルトの王立図書館なら何か解るかも知れません。」
ユークはセドリックに頼んで海に住む魔物の資料を解るだけ取り寄せて貰うように頼んだのだ。
セドリックに頼んだユークは私室に戻りゆっくりと寛いでいたのだが、又、津波が有ったと報告される。
ユークは直ぐ様ミーシャ達を連れワープで先程訪れた漁村に向かった。
昼に行った時と景色は大きく変わり見渡す限りが壊滅的な被害を受けていた。
ユーク達は急ぎ村人の安否を確認した。念話でクララとピエールにも直ぐに来る様に指示しているのだがクララ達が到着するのはもう少しかかるだろう。
ユークはミーシャ達に引き続き村人の捜索を頼み一人で城に戻った、
ウィンを連れてくる為だ。
津波の被害を免れた村人から波に攫われた村人が居ると聞かされたからだ。
ユークは城で待機させていたウィンを連れて海にワープする。
ミーシャ達は村人を先導して捜索を続けているのだが、然程効率も良くは無く成果は今一つだ。
「リオ、捜索はミーシャと村の人達に任せて僕達は海の捜索に行くよ」
「はい。ですが生き埋めになってる方もおられるみたいですが」
「大丈夫。騎士隊が後5分程で到着するから後はミーシャとユージン様に任せておけば良い。それよりも魔物の居る海の捜索の方が急務だから」
ミーシャと村人に聞こえる様に言いリオをウィンに乗せてユーク達は海の捜索に向かった。
ミーシャを残したのは地上との連絡の為だ。
ユージンが到着したと時を同じくしてクララもピエールで到着していた。
ウィンで海からの捜索をリオに任せユークはクララと共に空からピエールで捜索する事にした。
村人を発見した場合はユークがワープで運ぶと言う方法で救助が行われる。
単純に考えれば凄く手間の掛かる作業だが、ウィンやピエールに村人を乗せられないからだ。
兎に角生きてさえ居れば魔法で治療出来る。
例えて足が無くても、ユークなら治せるのだ。
えっ、ユークだけ?とお思いだろうがリオや魔法力の強い者で生活魔法4を持っていれば有る程度までなら治す事が出来るのだが、全快させるには魔力が足りないのだ。
ユークなら一人で10人位なら治す事が出来るのだ。
ミーシャはユージンに安全な避難路の確保と村人の捜索と無事な村人の確認を頼み打ち上げられた魔物の討伐と捜索を一人で行っていた。
リオは自信に【ウインド】の魔法を纏わせウィンと共に水中の捜索をしているのだ。
魔法の応用方の一つで、【ウインド】を体の周り全体に発動すると10分は水中でも呼吸が出来るのだ。
10分を超えると魔法自体が消えてしまうので長時間とは行かないが、それだけでも十分役に立つ。
ウィンの気配察知能力とリオの探索スキルで海中の捜索は続いている。
一方ユークは、空からの捜索をしているのだが、全く人の姿は発見出来なかった。
しかしユーク達は別の物を発見したのだ。
大きな波が陸に向かっているのだ。
ユークは咄嗟に波に向かって<神がかり>の【ウェーブ】(水の最強魔法)をぶつけて相殺したのだが。
多少の波紋は騎士に向かっている。
ミーシャにまだ津波が終わってない事と村人を安全なところに避難させる様に念話で話して空からの捜索を津波の監視に切り替えた。
リオにも一度戻る様に指示して海岸で落ち合う事にする。
ウィンだけでも捜索は出来るだろうが救出は無理なのでウィンも待機だ。
合流したミーシャとユージンに確認した所村人で行方が解ら無いのは3人。
多分波に攫われたのだろうと言う事だが、海の捜索では発見出来なかった。
魔物に食べられた可能性は低いのだがどこまで流されたのかも解らないし既に水死している可能性も否めなかった。
魔物に食べられた可能性が低いのは魔物は魔素で成長する事が解っている。餌等必要無いのだ。
海の魔物の縄張りに流された場合は襲われてる可能性も高いのだが・・・。
どの道助かってる可能性は0に近いので、海の捜索は断念する。
代わりに陸に打ち上げられた魔物の討伐と倒壊した建物の撤去作業をユージンに任せる事にした。
ユークは安全な高台を作る事を宣言するのだがその前にと村人を城に避難させる事にした。
「皆さんは津波が静まる迄、しばらく王都で暮らして戴きます。村人の捜索は引き続き国が行いますし倒壊した家屋の撤去も早急に行います。その後住居を作る場所は今よりも高台を作って置きますからそこに住む様にして下さい。後、王都にいる間に職人に家を建てる話を国の方から通しておきますので詳しい話は後ほどして下さい」
ユークは簡単に説明だけして騎士隊に村人を連れて行くように指示した。
元から人口数十人の小さな漁村なので家も少ない。
ユージン達の作業も1時間程で終わるだろう。
ユークは打ち上げられた魔物の討伐に向かうのだがミーシャやユージン達が既に倒しているので数は少なく2匹しか発見出来なかった。
その時ピエールが戻って来て津波が来るとクララが報告してくる。
ユークはウィンに乗り少し沖に出て先程と同じ様に<神がかり>の【ウェーブ】をぶつけて相殺する。
津波の規模は先程よりも幾分小さく感じられた。
岸に戻りユージンから多方の撤去が済んだと知らされて騎士隊を全員海岸に集める。
「今から此処に高台を作ります。全員揃ってますね。」
「ああ、揃ってる」
ユージンの言葉を聞いた後ユークは範囲を指定しながら震地を唱えて少しづつ魔力を込めていく。
見てる間に地面が隆起して小高い丘が出来ていき海面5m程で魔法を止めた。
「ふ~、これ位で良いかな?」
呆気に取られる騎士隊には目もくれずにミーシャとユージンは頷いた。
「騎士隊の皆さんは丘に上がり待機してて下さい」
ユークは指示を出してユージン達と今後について話し合う。
「丘を作ったので津波はそこまで来ないでしょうが岸際はまだ危険ですね。」
「そうだな、丘から岩や土を集めて堤防でも作ると良いかも知れんな」
「堤防ですか、良いかも知れませんね。ですが僕の魔法では堤防みたいな細かい作業は難しいです」
「堤防作りは俺達騎士隊が請け負うさ」
「解りました。ですが作業は完全に津波が来なく成ってからにして下さい。材料は鉱山で出た残土を僕が運んできます。」
「解った。しばらく騎士隊は丘から津波の監視に当たらせる。ユークは城に戻り住居を直ぐにでも建てられる様に手を打ってくれ」
「解りました。ミーシャは僕とウィンを連れて戻る。リオはピエールともう少しだけ津波の監視で、もし丘よりも大きいのが確認出来たら直ぐに僕に知らせて。」
「「解りました」」
ユークはミーシャとウィンを連れて城に戻った。
ユージンは丘に登って騎士隊に指示を出している。
リオはクララとピエールで空から警戒しているがこの後は大きな津波が襲う事は無かった。
城に戻ったユーク達はウィンを休ませてセドリックの元に向かった。
「お疲れ様でした。ユーク様」
「カーラから話は聞いてると思うけど職人と村人の仮住居の手配は?」
ユークは念話でカーラに指示を出していたのだ。
「滞り無く手配は整ってます。それと村人と職人が相談出来る様に部屋も用意してますから村人の到着次第利用できると思います。」
「職人は?」
「既に部屋の方に待機させてます」
「有難う。それと堤防を作るのに騎士隊だけだと足りないから冒険者ギルドに依頼を出してくれるかな」
「解りました。で、工事は何時から始めますか?」
「家は今日から、堤防は津波が収まり次第に」
セドリックは頷いて部屋を出ていった。諸々の手配をしているのだろう。
(ご主人様)
(大きい津波?)
(いえ、津波は2回程有ったのですが、規模は段々と小さくなってます)
(そうか、もう一度位確認して、さっきより小さかったら戻って来て!)
(解りました)
「どうかなさいましたか?」
突然黙り込んだユークを気にしてミーシャが話しかけて来た。
「いや、リオからの報告だよ。津波が小さく成っているって」
「そうですか。ピークは過ぎたと言う事でしょうか?」
「僕も津波なんて現象を見るのは初めてだからはっきりとは解ら無いけれど、そうだと思うよ」
被害が数人で済んだのは奇跡なのかも知れないし多かったのかも解ら無いがこの様な悲劇を繰り返さない様に手を尽くすのも国の役目だとユークは思っていた。
海に面した国はコンラットだけでは無い。
他の3国も当然海に面した領地を持っている。
その他国はどの様に対策をしているのかもユークは気になっているが天才と名高いセドリックが調べてくれているとユークは確信していた。
村人が城に到着したとエマに知らされたが、既にセドリックによって、今後の話が行われて職人との話し合いも進んでいると言う事だ。
数名の職人は既に作業に取り掛かるべく漁村に向かっている。
これもセドリックが今後の為に騎士隊が常駐する為の監視小屋を作る為に先発で派遣したからだった。
木材の調達と運搬はドラゴン部隊によって既に開始されている。
堤防用の岩や土も既に連絡済みで何時でも運び出せる手はずになっている。
セドリック様々だ。
津波が発生した原因究明の為の調査隊の選抜にも既に取り掛かっている。
セルトの王立図書館司書長のラクトも既にコンラットに向かって出発しているだろうという事なので、本当に脱帽だ。
クララ達が戻って来た後もセドリックは情報を聞いて次にするべき事を考えているのだろう、何やらメモをとっていた。
この後ユークがする事と言えば堤防の材料の運搬だと思っていたが、それもセドリックが輸送隊を手配していて必要なくなった。
セドリックに言われたのは資金の確保で、魔物のアイテムを集めて欲しいと言われたのだ。
覚えているだろうか。コンラットのダンジョンは少し他のダンジョンとは様相が違う。その中の11階層の事を。
そう落とし穴だらけのダンジョンだ。
そこならマリルスネークが腐る程狩れるのだ。
ユークなら穴に落ちる危険もなく落とし穴1つだけでも1000匹以上群れているのだ。
マリルスネークのドロップアイテムの蛇皮は一つ200Gで売れる。
200X1000X(落とし穴の数)で軽く閃貨数枚は稼げるのだ。
翌日からユークは資金集めに行く事にして復興はセドリックとカーラに任せる事にしたのだった・・・・。




