まんぷく亭2
ガールズトークinベッド(朝)
㋕「皆さんおはよう」
㋹「おはよう」
㋷「うん、おはよう」
㋯「おはよう」
㋹「ユーク様はそろそろお目覚め?」
㋯「もう少しよ。まだよく眠っていらっしゃるわ」
㋹「そう!」
㋕「旦那様の寝顔って可愛いです」
㋷「ですよね、何時もの凛々しいお顔も良いですけどこのお顔も最高です!」
㋹「ユーク様のこの無防備な顔って私達しか見れないもの」
㋯「私達の側だと安心して居られるって証拠なのよ」
㋕「ですわね。とっても可愛らしくて抱きつきたく成りますわ」
㋹「ミーシャは良いわよね。毎日抱きつかれてるもの」
㋯「ご主人様に気に入られてとても幸せよ」
㋷「たまには私にも抱きついて眠ってくれないかな~」
㋹「それは難しいと思うわね。最初だけなら抱きついてくれるかもだけど、直ぐにミーシャの方を向いてしまうもの」
㋕「ミーシャさんと寝る位置を代われば抱きついて下さるかも」
㋷「良いですね。一度試してみませんか?」
㋯「構わないわよ。ご主人様は私にしか抱きついて来ないって解るもの」
㋹「すっごい自信ね」
㋯「自信というより確信だわ」
㋕「それでは今晩かえてみましょう」
㋷㋹「賛成~!」
㋯「もう 声が大きいわよ。」
㋷㋹「御免なさい。起きちゃった?」
㋯「大丈夫みたいだけど、そろそろ起きられるわ」
㋕「不思議だったんですけど、どうして毎日旦那様が起きるのが解るのですか?」
㋯「それはひ・み・つ」
㋴「う、う~~~」
㋯「ご主人様のお目覚めよ」
<ちゅっ>
「おはよう御座います。ご主人様」
「うん。おはようミーシャ」
<ちゅっ>X3
「おはよう」
「私とカーラは朝食の用意をしてきますね」
「うん。ありがとうレミー」
レミーとカーラは食堂へ降りていく。
「リオはベッドの手直しをお願いね。」
「はい」
「ご主人様は御召替えをしますからこちらに」
ミーシャが指示をしてリオもテキパキとベッドの乱れを直していく。
ユークはミーシャに寝巻きから普段着に着替えさせて貰うのが毎日の日課だった。
ユークの着替えが済むとミーシャとリオも着替えをするのだ。(目の前で)
着替えが済むとソファーで寛ぐ。暫くするとエマが呼びに来るのも毎日の事だった。
コンコンとノックの音が聞こえた。
「はい!」
ミーシャが答えると。相手は勿論エマだ。
「お食事の準備が整ったとレミー王妃様がお呼びです。」
「解ったわ。直ぐに行きますからエマは先に行ってて!」
「畏まりました」
エマの足音が遠ざかりミーシャが『行きましょうか?』と、聞いて来る。
「そうだね」
ユークは答えて立ち上がる。
リオは直ぐに扉を開けてユークを先に通してからユークの隣に並んで歩き出す。
ミーシャはユークと腕を組んでるのだがリオは手を繋ぐだけなのだ。
歩きにくいと言う理由からなので深い意味は無い。
食堂の扉はエマが待っていて開けてくれる。
「おはようエマ!何時も有難う」
「おはよう御座いますユーク様」
エマが扉を開けてくれたので中に入る。
「「おはようございます。ユーク様!!」
侍女達が一斉に挨拶をして頭を下げてくるのだ。
「皆おはよう、今日も1日よろしくね!」
ミーシャ達も同じ様に挨拶をされてユークと同じ様に侍女達に挨拶を返している。
夕食は皆バラバラに食べているのだが、朝食だけはユークより先に食べる者は居ないのだ。
以前少し寝過ごして遅い朝食になった時に侍女達のお腹が大合唱していた事が有った。
それから朝だけは時間通りに食べるようにしているのである。
遅くなる時は部屋で食べる様にしているので、侍女達の大合唱は聞かない様に成ったのだった。
「ユーク様、お昼はドリー様のお店で召し上がるのでしょうか?」
エマが聞いて来る。
「いや、ここで食べると思うけどまだ解らないかな」
今日は【まんぷく亭】のオープンの日なのだ。
ユーク達は国営店と言う事も有り全員呼ばれている。
「挨拶だけしたら帰って来ると思うけどもしかしたら昼は向こうで食べるかも知れない」
「解りました。一応準備だけはしておきます」
「うん、宜しく」
エマに返事をして侍女にも声を掛けた。
「皆も知ってる通り、ドリーさんの店が今日オープンします。定食がメインだけどカフェも有るから時間が有ったら利用して欲しい。料金は城で働いてる人は無料だから気軽に行ってみて!」
「ユーク様!無料なんですか?」
「うん、国営店だからね。国の機関で働いてる人達は証明書を見せれば食事も無料だから行ってみて」
ユークは言い終わると食事を済ませて私室に戻った。
「旦那様、何時頃お店に行かれるお積もりですか?」
ソファーに腰掛けてお茶を飲みながらカーラが聞いて来た。
「あと1時間位したら向かう予定だからそれに合わせて用意してくれる?」
「解りました」
エマが答えて部屋を出ていった。
用意と言ってもユークは普段着のままなので何も必要は無い。
しかし王妃の妻達はドレスに着替える様にとセドリックに言われていた。
面倒だとミーシャ達は言っていたのだが国営店の開店セレモニーだから当然正装をするものだと言われて渋々納得していたのだ。
(ユークは良いの?)と、言う意見も聞こえて来そうだが、ユークは普段着が正装みたいなもので他国の王に会う時も変わらない。
ましてやユークに無礼だと言える者もおらずいつの間にかそれで良いと定着してしまっていたのだ。
「お土産の用意も完璧だよね?」
「はい。準備は出来てます。マジックポーチはエマが持って行ってくれますから大丈夫です」
開店祝いに城に保管してある食料(肉)を大量に届ける予定なのだ。
ふとカーラが思いついたのか、思い出したのか、聞いて来る。
「そう言えば旦那様ってお酒は飲まれないですよね?」
「そうだね、飲んだ事は無いよ」
「飲めないでは無くて飲んだ事が無いのですか?」
「うん。って言うか皆の飲んでるところも見た事無いんだけど」
「そうですね私も飲んだ事がありません」
ミーシャとリオは元々奴隷だったので、お酒は飲んだ事が無いと言う。
冒険者時代も飲む機会は有ったのだが、飲まなかったそうだ。
レミーは年齢的にもよく飲んでたらしいしカーラも王女として晩餐会等の公式のパーティーで薄めたワインをよく飲んでいたと言う事だ。
「でも飲んでるところを見た事もないよね?」
「それは主人のユーク様が飲まないのに私達が飲める訳ないでしょ」
レミーが言うには侍女もユークがいる席では我慢してるらしいのだ。
「気にしないで飲んで良いのに」
ユークは皆にも飲んで良いと言うのだが酒臭いのも困ると思い程々ならと許可をする事にしたのだが、ミーシャが言葉を止めたのだった。
出かける手配に一時部屋を出ていたエマが戻って来るのを待って話し始めた。
「エマ」
「はい」
「ご主人様から食事時の飲酒が許可されました。侍女達も飲んで良いと言う事ですから後で知らせて下さい」
「畏まりました」
ミーシャはエマに告げたのだが『ただし』と話を続ける。
「好きなだけ飲んで構いませんが、仕事に支障をきたしたり酔ってご主人様や他の方に迷惑をかけたり後はご主人様の要求を聞けない場合は厳罰を与えると言っておいて下さい?」
「要求?」
疑問に思ったのかレミーが聞き返す。
「ええ、これはレミーやカーラもそうだけど、ご主人様が抱きたくなった時に応えられないなど以ての外ですから」
「それって、要求って言うより欲求じゃないの?」
「どちらでも同じです。レミーやカーラ、勿論私達もですが、ご主人様の要求に応えられないなら妻の資格すら有りませんから当然離縁も考慮に入れた厳罰を与えるつもりです」
流石にそれで別れさせると言うミーシャの意見にはレミーは納得いかなかった。
「そんなのユーク様が決める事だし、逆にユーク様が酔って私達の要求に応えられない場合も有るかも知れないじゃない」
「レミーは何か感違いをしているみたいですね」
「勘違い?」
ムっとした様子でミーシャに聞き返す。
「ええ、私達はご主人様の優しさでかなり自由にさせて頂いてますが、本来奴隷と言う立場です。もちろんカーラは違いますが、奴隷という立場を受け入れて此処に居る事には変わりありませんね?」
ミーシャの言葉にカーラも頷いた。
カーラはユークの屋敷に来る時にミーシャ達奴隷の立場と同じで良いから側に置いて欲しいと納得してフルールを捨てた格好になるのだ。
「奴隷の立場でご主人様に意見するなど以ての外ですしご主人様の要求に応えられない等奴隷の価値すら有りません。王妃だ妻だと周りに持て囃されてご主人様と対等等と考えてるから勘違いだと言ったのです。ご主人様は特に私達には雲の上の存在なんですよ!例えどの様な辱めで有ろうとご主人様の命令は絶対なのです。」
レミーはようやく思い至ったのだが、引っ込みがつかなく成ったのかミーシャにくってかかった。
「それならミーシャは衆人観衆の前でもユーク様が裸で歩けと言ったらその通りに出来るの!」
「勿論!私はしますよ」
全く躊躇わずにミーシャは言ってのけた。
「ご主人様が言う訳無いのは解ってますが、もしそう言われたらその通りにしますし今直ぐ死ねと言われるのならそう致します」
この言葉にレミーは何も言えなくなってしまった。
「そうですね、ご主人様の優しさに甘え過ぎていたのは事実かも知れませんね」
リオもミーシャに賛同して言葉を繋げた。
黙って聞いていたユークは流石に雰囲気が悪く成ったと察して二人を落ち着かせた。
「流石にそんなことは言わないし、させないけど余り飲みすぎない程度にすれば良い訳だから考え過ぎない様にね。ミーシャとレミーが仲違いする方が僕には辛いからここらで収めてくれないかな」
ユークに言われてミーシャがそれ以上言う訳もなくレミーも黙るしか無かった。
「そろそろ用意してきて」
ユークの言葉にエマとミーシャが着替えに退室した。
「レミーもカーラも余り気にしないで好きに飲んでいいからね」
ユークは言うが流石にミーシャの言葉が間違って無いと思い知っていたので何も言えなかった。
「旦那様はお酒を嗜む女性はお嫌いですか?」
「別に気にしてないけど酔って記憶を無くすとかは勘弁して欲しいかな」
カーラは元々薄めてしか飲まないので酔う事は無いらしいのだがレミーはかなり飲むらしいのだ。
「程々にね」
ユークはレミーに笑顔で注意して頭を撫でた。
順番に全員の着替えが終わった。(クララもだ)
店までは歩いても10分程度で行ける距離なのだがドレスを着て歩くのも変だとエマが馬車を用意していた。
「こんなの有ったんだ」
ユークは初めて見る馬車の豪華さに驚いていた。
「はい、普段は使われないので仕舞ってありますが、フルール王国からの頂き物で御座います。」
ユーク達は普段近くなら歩きだし遠くならピエールかワープで移動するので馬車を使う事が無くなったのだ。
馬車は2頭引き10人乗りの大きさで扉や屋根、窓にも装飾が施されている煌びやかな物だ。
10人乗りなのはユークと妻5人(クララを含む)に侍女が乗れるようと気を使っただからだろうとカーラが言う。
街の交通網の整備のおかげか馬車の性能のおかげかは解らないが、全く振動もなく馬車は進んでいく。
椅子と言うよりもソファーに近い座り心地でユークは気に入ってしまった。
「今度の遠出はこれで行くのも良いかも知れないね」
「ご主人様とご一緒出来るならどの様な乗り物でも私は嬉しいです」
ミーシャが答えて居残りのレミーとカーラ、クララは不貞腐れて答える。
「馬車で移動したら時間が掛かって私達はついていけないので淋しいです。」
ユークはクララの言葉に皆で遠出しようと言い直して機嫌を収めてもらった。
5分程走ると馬車は【まんぷく亭】に到着した。
店の玄関から赤い絨毯が馬車まで敷かれて最初にエマが降りる。
エマが手を差し出しユークの手を取って馬車から降りる補助をした。
ユーくは「有難う」とエマに笑顔で答えて馬車を降り、向き直ってミーシャ達に手を差し出した。
ミーシャ・リオ・レミー・カーラ・クララと順番に馬車から姿を見せるとセレモニーに集まった人達が大きな喝采を上げた。
入り口前ではドリーと3Jにセドリックが立っていた。
セドリックの横にはユージンも控えていた。
「本日はまんぷく亭の開店セレモニーにお越し下さり誠に有難う御座います。」
ドリーが代表して答えて深々と頭を下げた。
「お招き頂き有難う御座います。コンラット国営店の先駆けと成る様に頑張って下さい」
ユークーがドリーに言葉を返すと聴衆は一斉に拍手で祝った。
「ユーク様、王妃様店の中へどうぞ!」
ジャネットが扉を開けてユークを促した。
「集まって下さった皆さん本日の正午から皆さんも利用可能となります。この国だからこその火竜の肉等も取り揃えておりますので是非ご賞味下さい」
ドリーが聴衆にも一声掛けてユーク達をお辞儀で迎え入れる。
ミーシャはユークに腕を絡ませて横に並んで歩いた。
リオ達はその後ろを付いて行く。
最後にユージンが店内に入った所で扉は閉じられてユーク達はホッと溜息を付きクスクスと笑った。
「堅苦しいのは緊張しますね」
「そうですね」
セドリックが答えた所で笑いがこぼれたのだ。
「ユーク様、今日はお越し頂き有難う御座います。心尽くしでは御座いますが楽しんで下さい」
「有難うドリーさん僕からもお祝いを用意しました。受け取って下さい」
ユークはミーシャに視線を送る。
ミーシャは直ぐにエマに伝えてドリーと共に食在庫へ移動して肉(火竜・翼竜・熊)をマジックポーチから取り出した。
200kg近くの肉は流石に圧巻だったらしく食料庫から戻ってきたドリーは仕切りにお礼を言っていた。
セドリックとユージンは1時間程で仕事が有るからと城に戻った。
もうそろそろお開きになろうかと言う時にジャネットがユークに声を掛けてきた。
「あ、あのユーク様」
「ん?どうしたの?」
「お聞きしたいことが御座います」
「何?」
「このお店で頑張ったら城の侍女に迎えられるかも知れないと聞いたのですが本当ですか?」
「えっ?そんな事言ってないと思うけど誰に聞いたの?」
「違うのですか?噂で聞いたので誰からとは解りません」
「うん。全くそんな話はした事がないんだけど、それに侍女の方が仕事的には大変だと思うよ」
「そんな事は有りません店の店員より城の侍女の方が地位も高いですし市民には憧れの職業です。」
「そうなの?」
ユークはミーシャ達に視線を送るが解らないと言う。
「そうですね、コンラット国で言うなら街で働くよりは城で働く方が地位も高いし女性なら憧れを抱くと思われます」
エマが代わりに答えた。
「そうなんだ」
「はい、この国は良くも悪くもユーク様の力で成り立ってます。ましてやユーク様は自身の家臣には慈悲深いと世界中が承知している事実が有ります。男性は少ないし女性が安心して働けると言う意味でも憧れる仕事だと言えるでしょう」
「そうなんです。確かに私達は罪でこの店で働く事が決められましたが、もしお許し頂けるなら直接ユーク様に恩返しをしたいとも思っています。直ぐにとは申しません。このお店で頑張って認めて頂ければ侍女として登用していただけませんか?」
「それは構わないよ。それにこの店を侍女の修行場みたいに考えるのも悪くないかも知れないね」
エマの考えにジャネットが意見を言いユークは良い考えが浮かんだと意見を言いミーシャ達を見た。
「そうですね。良い考えかも知れませんね。侍女が足りないのも事実です。しかしいきなり働かせるのも無理が有りますからこの店で行儀と仕事を覚えさせるのは良いかも知れません」
「ミーシャ達も納得したみたいだし、じゃあそう言う事にしようか!レミーの方で調整してくれる?」
「解りました。城に戻ったらセドリック様と話してみましょう」
3Jが喜んだのは当然なのだがドリーが一番嬉しそうにしていた。(店長が侍女になれるわけもないのに・・・)
「土産の肉は暫くオープン価格と言う事で安く出して上げて下さい。後、仕入れはドリーさんに任せますが、火竜の肉等のドロップアイテムは城に取りに来て下さい。足りなくなる前に補充しておきますから。それと職員の請求は週または月単位でお願いします。」
「解りました」
職員は身分証明書で無料といったが無制限と言う事では無い。伝票を持ち帰りセドリックやレミーが認めた分は経費で落とすと言う事だ。
そこまで厳しい事も言わないので、職員が支払うことは皆無なのだが、友達を呼んで宴会等をすると当然自腹になる。
きちんとドリーも解っているので問題は無い。
ユーク達はそろそろ引き上げようという事になり店を出て馬車に乗り込もうとした所で呼び止められた。
「ユークちゃん」
ユークをちゃん付けで呼んだのにはミーシャと護衛の騎士が最初に反応した。
ユークも声の方向を振り向く。
声を発したのは見たことが有る様な無い様な歳の頃20前後の女性と成人したかしてないかの女の子2人だった。
当然無礼だと騎士に取り押さえられたのだが、ミーシャが騎士に放す様に告げて2人に語りだした。
「あなた達はご主人様の知り合いの方ですか?」
ミーシャは2人に話しながらユークを見たのだがユークは思い出せないと首をかしげていた。
「兎に角丁重に城の方にお招きして下さい」
ミーシャは騎士隊にそう告げてここでは開店に迷惑だろうとユークを馬車に乗せて城に戻る事にしたのだった。




