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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
73/88

 模擬戦

おおかたの予想通りコンラットの選手が上位を独占する形で終了した戦技大会だが、無差別クラスの準優勝はガストン宰相が獲っていった。


それも想定内という事にしておく。


コンラットの騎士隊に希望する選手も予想以上に多かったが、準優勝までの副賞なので断ったのだ。


コンラット以外の3国はしっかりと選手をチェックしていたみたいで、スカウトにも余念が無かった。


午後からはドロシーとの模擬戦が有る。


その次はミーシャとの模擬戦だ。


立ち見まで出る程に会場は超満員で出場した選手達もユークの強さが間近に見られるチャンスとばかりにほぼ全員が観戦に来ていた。


立会人はユージンが務める事になった。


ガストンはミーシャとの試合で疲れ果てて観覧席でゆっくりしたいと言っていた。


「それではこれよりユーク様対Bランク優勝者のドロシー様の模擬戦を始めたいと思う。 ハンデ戦として、ユーク様は無手、ドロシー様は何でもありとします。両者宜しいですね?」


ユージンに聞かれユークもドロシーも頷いた。


余りにも大きいハンデだがドロシーはそれでも足りないと思っていた。


(どうせなら足枷も付けて欲しいよ!)


「ユーク、余り早く終わると盛り上がらんからそこの所頼んだぞ」


ユージンが小声でユークに言ってくる。


「出来るだけ頑張るよ」


ユークは返事を返しユージンの開始の合図を待った。


「それでは始めたいと思います。 試合始め!!」


ユージンの合図を待ってましたとドロシーは自身の近くに魔法を無差別に放出したのだ。


ユークが即効で突進して来てもどれかに足止めされるだろうと考えての戦法なのだ。


ドロシーの計算通りと言うべきかユークは出鼻を抑えられ、突進しようとしていたのだが止まるしか無かった。


ドロシーは直ぐ様ユークから遠い位置にワープしてウィンドストームの範囲攻撃を繰り出してくる。


200m以上離れた位置からの範囲攻撃は詠唱も全く解らず驚異の一言だった。


ドロシーの気配の消し方も見事だからだろう。


ユークがドロシーを探してると突然風の範囲攻撃が目の前に現れたのだ。


ユークは咄嗟にワープで範囲外に移動して魔法を躱す。


ユークが終始優勢のまま決着するだろうと思われた模擬戦だが初手の上手さからドロシー優位で模擬戦は進んでいた。


だからと言ってユークが慌てている訳では無い。


だからと言って遊んでいる訳でも無かった。


ユークはドロシーの気配をしっかり探り、探してる振りをしていきなりドロシーの真後ろにワープする。


しかしドロシーも落ち着いていた。


ユークが消えた瞬間にはすでに違う所にワープしていたのだ。


ユークは『流石母さんの仲間だ』と、全力で走ることにした。


ワープだと消えた瞬間に違う位置に姿を現すが、走っている間は全く姿が見えないからだ。


ドロシーはこうなると負ける事は解っていた。


ワープで移動している間はドロシーも負けないと思っていたが、走られると全く何処に居るか見えないのだ。


ワープを繰り返すしか躱す方法は無いと解ってるが、魔力量的に無理もあるしそこまでの体力もないのだった。


諦めたドロシーは最後の手段と自身の周りに範囲攻撃の魔法の用意とワープの同時発動の用意をしてユークの接近を待った。


ドロシーが立ち止まって2秒後に強い圧力を感じたドロシーは魔法を同時発動して移動したのだった。


しかしまだ何かあると思っていたユークは近付く振りをして既に距離を取っていた。


予想通りとユークはドロシーに近づき喉元に手刀を突きつけて模擬戦は終了と成った。


「それまで!!」


ユージンの声にも観客は静かなままだった。


余りにも早すぎる攻防に目が追い付かなかったのだ。


暫く沈黙が流れた後大きな歓声と共に2人に盛大な拍手が送られた。


「最初の魔法には焦りましたよ」


「あれで決まってれば良かたんだがね、それよりなぜ移動方法を変えたんじゃ?」


「ああ、ワープだと必ず一度は姿を見せてしまいますから、ドロシーさんならそこから反撃もあるだろうと見えない方法に切り替えたんですよ。 それでも一瞬喰らうかとも思いましたよ」


「ああ、あの魔法は最後の捨て身で出したものでな、無理だとは思っておったよ、しかし本当に強くなったの」


ドロシーはユークの小さい時を思い出し感慨深げにユークを見ていた。


「今日は楽しかったよ、またやろうな」


「はい」


しっかり握手してドロシーは観覧席に歩いて行った。


「それでは20分休憩の後ユーク様対ミーシャ様の模擬戦を行います!」


ユージンの言葉にユークも一度控え室に戻る事にした。


控え室にはミーシャ達が既に待機していた。


「ご主人様。素敵でした。」


「有難うミーシャ、この後戦う訳だけど全力で掛かって来てね。」


「はい、足元にも及ばないと思いますが、私の全力をぶつけたいと思います。」


「勝ち負けは僕も気にしてないよ。ミーシャと手合わせするのは初めてだから楽しもうと思ってるんだ」


「私も楽しみです」


ユークはミーシャと手加減無しと約束したのだった。


休憩が終わりユークとミーシャが木剣を片手に姿を見せた。


「これよりユーク様対ミーシャ様の模擬戦を開始する!」


ユージンの宣言に会場が震えた。


「2人共良いか?」


ユージンが聞いて来るが、既に気持ちも準備も万端だ。


2人は頷いて、距離をとった。


「始め!!」


合図と共に仕掛けたのはユークだった。


ミーシャに駆け寄り木剣を横薙ぎに振るう。


ミーシャは軽くバックステップで躱し、直ぐにユークに詰め寄り同じ様に横薙ぎに斬りかかった。


ユークは木剣で受け止めてミーシャと見つめあった。


「いい動きだ!」


「有難う御座います、でもまだまだ行かせていただきます」


ミーシャはユークに宣言した通りに受け止められた反動で、体毎回転しながら連続で剣を振るって来る。


全ての動きが洗練された舞踏を見ている様に思わせる程の優雅な動きだった。


観客もミーシャの動きに見惚れているのは間違いなかった。


ユークは避けて躱したり剣で受け止めたりと全て回避しているのだが、ミーシャの攻撃は5分間止まることはなかった。


「流石にご主人様には当てられませんね」


「いやいや、凄かったよ。気を抜けば喰らってたかも知れないよ」


「お世辞でも嬉しいです。」


「それじゃあ今度は僕から行くよ!」


「はい!全て受けきってみせます!」


ユークは軽く地面を蹴ってミーシャに突きを放つ。


ミーシャは体捌きだけで躱すが、ユークの突きは単発では終わらなかった。


突きの速度も次第に上がりながらの50連激はさすがのミーシャも焦った。


観客も次第に早くなるユークの突きに前半こそ喝采を送っていたのだが、最後までユークの手が確認出来た者はミーシャ以外には居なかった。


静まりかえる客席、しかしミーシャはそれすらギリギリで躱して退けたのだった。


「ほ~この速さでも躱すんだね?」


「本当にギリギリですが、何とか避けられました。」


「ならもう少しスピードを上げるよ」


ユークは一歩下がりミーシャに見えない速度で斬りかかった。


ミーシャは見えたないのに剣で受け止めて見せた。


「凄いじゃないか!、見えてたの?」


「いえ、ご主人様なら私の顔は狙わないと解ってますから攻撃してくるなら肩口かお腹だろうと考えてお腹に山を張っただけです」


「そうなの?じゃあこう言うのはどうだろ」


ユークは更に加速して、一瞬で姿を消し次の瞬間には剣を捨ててミーシャに抱きつき大観衆の前でキスしていたのだった。


「参りました」


キスしていた口が開放されてミーシャは降参した。


大観衆の目の前だがミーシャに傷を付ける筈のないユークらしい決着の付け方だとミーシャは思った。


「それまで!」


ユージンが終了を告げ、理由を話しだした。


「ユーク様がミーシャ様を傷つけない事は皆様もよくご存知でしょう。ミーシャ様も気づかない間に口付けを奪われてミーシャ様は降参しました。よって、ユーク様の勝利と成ります!」


観客達は突然ユークが消えたと思ったら次の瞬間にはラブシーンを目撃していた。


そのままユージンによって終了の宣言まで出されて、試合がどうなったのか解らなかったのだ。


ユージンの説明で観客達は理解して、ミーシャ達に何よりも優しいユークとその力量に盛大な拍手や賛辞が送られていた。


「お疲れ様、凄く良かったよ」


「有難う御座います。ご主人様がどの様に決着をつけるのか楽しみでしたがまさか公衆の面前でキスされるとは思ってませんでした」


「恥ずかしかったよね、御免ね。でもあれしか考えつかなくて」


「いえ、恥ずかしい事など有りません。皆に祝福されたみたいで、とっても幸せです。」


ユーク達は腕を組みながら控え室に戻っていった。


画して3日間におけるコンラット戦技大会(スカウト大会?)は盛大な盛り上がりの中終焉を迎えたのだった。


王都ではまだまだ露天や酒場で大盛り上りの様相が見られている。


城でも各国の首脳達との祝宴が開かれていた。


セルトのレイチェル王女やマホガリアのフィオナ王女からはユークとミーシャに『素晴らしい模擬戦を見せて頂いたのと2人の愛を湛えて』と、キスのプレゼントを頂いた。


其々の国の宰相の話では、スカウトも順調で20人程採用出来そうだと言っていた。


それとコンラットの騎士の強さに今後は軍事教導を頼みたいとの話も出ていた。


ユージンは預けてくださるならお受けしますと自分の部下が認められて嬉しかったのだろう、各国の申し出を勝手に引き受けていた。(別に構わないのだけど・・・)


3時間程で祝宴はお開きとなりユーク達も私室にもどった。


「ユーク様らしい終わり方だったわね」


レミーがソファーに座ると言ってきた。


「そうですね。ですがミーシャさんだけ羨ましいです。私もみんなの前でキスして欲しいです」


リオの言葉にミーシャ以外の女性陣は頷いた。


「ミーシャに剣を打ち込む何て出来ないからね。あれしか方法が見つからなかったんだよ」


ユークが言い訳をしたのだが、ミーシャが自慢げに話しだした。


「とても力強くて優しいキスで、あの瞬間に全ての力が抜け落ちたしまいました。一生の思い出です」


「旦那様?私達にもキスしてください」


カーラの言葉にミーシャ以外の全員が寄り添ってくる。


クララは解るが、何故かエマまでが同じ行動をしていた。


「ミーシャが頑張ったご褒美だと考えてよ!皆の事も大切だし贔屓してる訳じゃ無いから、今後のご褒美と思っていまは我慢してね」


そう言いようやく平静を取り戻したのであった。


その後はクララも一緒に風呂に入り何故か一緒にベッドに居たので、全員を可愛がり深い眠りについた。



ガールズトークinベッド


㋷「お休みになられましたね」


㋯「ええ、可愛い寝顔よ」


㋹「ミーシャも今日はお疲れ様、ユーク様との模擬戦どうだった?」


㋯「そうですね、全く勝てる気はしなかったけれど、私の攻撃を受け止めてくれてた時は嬉しかったわ。」


㋷「止められてたのにですか?」


㋯「ええ、ご主人様に全て受け止めて貰えてるってそれも優しく包み込む様に受けてくれてたの。ご主人様の私への気持ちそのもので剣を交えながら幸福感で満たされていたわ」


㋗「そんな事も有るんだね、ミーちゃんとユーク様楽しそうだったもん」


㋕「そうねミーシャさんの剣技もまるで踊っているように素敵でした。」


㋯「あれも相手がご主人様だから出来たのよ。流れを止めるでも無く綺麗に受け流されてまるでご主人様とダンスを踊っている感覚だったわ」


㋷「私もご主人様とそういう風になれるのかな?」


㋯「必ずなれますよ。ご主人様が全て受け止めて下さってますから」


㋹「最後のキスが一番驚いたけど一番納得したのも確かよね」


㋗「納得って?」


㋕「レミーさんが言いたいのはユージン様が言ってた事でしょ」


㋹「ええ、ユーク様がミーシャに傷を付ける筈が無いって事よ。」


㋗「なるほど~確かに無いですね」


㋷「ミーシャさんに限らず私達全員にですけどね」


㋯「勿論よ、ご主人様に愛されてる限り私達を大事にして下さるわ」


㋷「嫌われたらどうなるのでしょう」


㋯「嫌われる事は無いと思うけど。そうね、どうなるかは解らないけど私達がご主人様を愛し続けてる限り嫌われる事は無いのは確実よ」


㋹「そうね、ユーク様を嫌いになんて絶対なれないから考えるだけ無駄よ」


㋕「そうですね、旦那様は世界一素敵な旦那様です」


㋷「でも不思議な方ですよね。何時まで見てても見飽きないどころか知れば知る程好きになって行くのですもの」


㋹「それは謎だわね。ユーク様って普通の人とは違う感じがするのよね。」


㋗「違う感じですか?」


㋹「ええ、冒険者としても不思議な所は沢山あるもの。例えばステータスの能力値も同ランクの人と比べても数値が異常に高いし、ランクが上がるのも早すぎるのよ」


㋷「それは私も思いました。一緒に居る私達までランクが上がるの早くなってます」


㋹「そうよね、ミーシャとリオのAランクだって普通なら10年は先の筈よ。」


㋷「普通ならそうですね。最年少記録でも28歳とかでしたから」


㋹「でしょ、それなのに17歳でAランクって考えられないもの。それにユーク様のスキルよ」


㋕「神がかりですか?」


㋗「神がかり?」


㋹「クララは知らないのか。ユーク様のスキルは<神がかり>って言うスキルなの」


㋗「そうなんだ」


㋷「クララちゃんこれは私達ご主人様の妻だけの秘密だから誰にも言ってはだめよ!」


㋗「秘密なの?」


㋷「うん、珍しいスキルでね。ご主人様も言いふらさない様にしてるから。私達が誰かに話すと困らせる事になるわよ」


㋗「解った。誰にも言わない」


㋯「アベルさんやエルダさんにも秘密よ」


㋗「うん」


㋹「そのスキルもラクトさんが言うには神族専用スキルだろうって言ってたもの。」


㋕「旦那様が神族だとでも言いたいの?」


㋷「そうですよ、ご主人様はどう見ても人族では有りませんか」


㋹「私も人族だと理解してるわよ。腕輪は誤魔化せないからね。ちゃんと人族ってでてるし」


㋯「ご主人様がどの種族でも関係有りません。ご主人様はご主人様です。それ以上でも以下でも無いのですから」


㋹「ミーシャは気にならないの?」


㋯「気になりませんよ! もしご主人様が隠しているのならその内話して下さるでしょう。それに隠してるとするなら知られたく無いのでしょ、私達が疑って調べたりするとご主人様が悲しまれるわよ」


㋕「そうですね。ご主人様はご主人様です。私達が信じていれば良いだけですものね」


㋯「そうよ、それだけでご主人様は私達を幸せにして下さるの、これ以上を望む必要はないの」


㋹「確かにミーシャの言う通りかもね下手に詮索しても嫌われるだけだもの」


㋯「案外聞けば教えてくれるでしょうが、聞くだけ無駄だと思うはわ。レミーに避妊術をさせた事からも人族だと証明してるもの」


㋷「そうですね私達は誰もしてませんが妊娠しませんもの」


㋹「そうね、人族意外なら誰かが妊娠しててもおかしく無いわね」


㋯「ご主人様が獣族だったらどれだけ嬉しいか」


㋕「それを言うならエルフであって欲しいわよ」


㋹「それだと人族で正解だからこのままでいいわよ」


㋯「でしょ、考えるだけ無駄なのよ。さあそろそろ休みましょ」


㋷㋹㋕㋗「は~い。お休み~~」


㋯「お休み~」


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