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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
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戦技大会

戦技大会2日目の朝


「今日はミーシャとリオが参加する日だね」


「はい、頑張ります」


リオの意気込みにユークは頷いた。


「私は明日の無差別クラスにも出場しますので、今日は軽く肩慣らし程度にしようかと思ってます。」


「そうなの?」


「はい勿論勝つつもりでいますが、無理はしないでおこうと思います」


「そうだね、リオも無理はしないようにね!」


「はい!」


朝食を食べながらリオは大きく返事をした。


ミーシャと2人で私室に戻りお茶を飲む。


リオは気が早っているのかもう準備に向かってしまった。


カーラは客室のフルール王の所に行ってるしレミーは他の国王達の所に挨拶に行っていた。


「ミーシャが優勝すると解ってるけど無理しないでね。」


「ご主人様」


「Aランクにはあのフレイザーも出てくるから十分注意して」


「はい、承知してます。」


フレイザーの性格が簡単に治ってるとはミーシャも思っていない。


何かしてくるだろうとは予想しているのだ。


「あ、あの、お願いが有ります」


「なに?」


「誰も居ない今の内にキスしてくれませんか?」


ミーシャは顔を赤らめてユークを見つめて来る。


ユークは返事もしないでミーシャの腰に回していた手に力を入れてしっかりと抱き寄せ深くゆっくりとキスをした。


ミーシャも両手をユークの首に回してしっかりと抱きついてユークのキスを受け止めたのだった。


「有難う御座います。」


少し体が離れてミーシャが礼を言ってくる。


「礼なんて言わないで!、僕はミーシャとならずっとでもキスしていたいと思ってるんだから」


「ご主人様!」


ミーシャはもう一度ユークにキスをしてきた。


ユークも答える様にミーシャの舌を受け入れた。


塞がれていた口も離れてユークは優しくミーシャに語りかけた。


「ミーシャと模擬戦をするのを楽しみにしてる。頑張ってね」


「はい、ご主人様の相手も私の役目です。誰にも譲りません」


ミーシャの決意にもう一度キスをしてお茶の残りを飲み干した。


ノックの音と共にレミーとエマが入ってきた。


「2人で良い雰囲気作り過ぎです!」


開口一番、リオが言う。


ユークとミーシャは聞かれていた事を理解して、赤面してしまった。


「ミーシャ様もそろそろご用意をしますので」


エマに言われて逃げるように部屋を出ていくミーシャ。


「ご主人様?私も出場するのですから、ミーシャさんと同じ様にして下さいね」


言うなりリオもユークに抱きついてくる。


ユークはリオにも深くゆっくりとキスをした。


「リオも怪我をしないように頑張ってね」


「はい、ミーシャさんにも勝つつもりで頑張りますよ!」


そう言ってもう一度ユークにキスをして来た。


今度はしっかりと舌を絡ませリオを受け入れた。


ミーシャが戻ってくるまでリオとキスしてリオも満足なのだろう。


戦技大会の決勝はFランクから順調に進んでいった。


昼の休憩までには予定していたCランクまでは無事終了した。


全クラスで優勝はコンラットの騎士隊が獲ったが準優勝はセルトの騎士がCランク以外を獲っていた。


ユージンの元部下だ。


Cランクの優勝者はアリシアで準優勝はシャーリーが獲得していた。


昼食を取りながら騎士達の健闘を称えていた。


「食事が済んだらユージン様の出番ですね」


リオの言葉に近くに居たユージンが頷いた。


「任せろ、部下の手前負けられないからな!」


「やはりライバルはドロシー様でしょうか?」


ミーシャも気になって聞いてみる。


「そうだな、他にも強敵は多いが誰が怖いかと聞かれればドロシーさんで間違いないだろう」


「楽しみにしてますから頑張ってください」


昼食も終わりBランクの試合も順調に進んでいき、予想通り決勝はユージン対ドロシーと成った。



『始め』の合図と共にユージンが駆け寄った。


しかしドロシーはワープを使い瞬時に移動を繰り返しながら魔法を浴びせていく。


ユージンも上手く回避しながら距離を詰めようとしていた。


試合はユージンの体力が先かドロシーの魔力が先かと、切れた方が負けるだろうと誰もが予想していた。


しかし切れたのはほぼ同時だった。


しかしベテランのドロシーはその一瞬を待っていたと言う様にユージンに駆け寄り杖を一突きして勝負を決めたのだった。


「ユージンよ、まだまだ青いな!」


「初めから狙ってましたな?」


「体力は無くなれば動けなくなるが、魔力ならまだまだ動けるからね、お前さんは最後の詰めがまだまだ甘いのさ、余力を残しておかないといけないよ」


50を超えても現役に勝って見せたドロシーに会場から惜しみない拍手が送られた。


「続きまして、Aランクの試合を始めたいと思います。」


セドリックの言葉にガストンがトーナメントの組み合わせを発表した。


ミーシャとリオは決勝まで当たらないのだが、ミーシャは準決勝でフレイザーと当たることになる。


お互い順調に勝ち進みリオは決勝進出を先に決めた。


「ミーシャさん頑張って、2人で決勝を戦いましょう。」


「ええ、頑張るわ」


「ミーシャ選手、フレイザー選手リングへ」


セドリックの言葉に両者がリングに上がった。


「久しぶりだな!あの時の屈辱のおかげで俺は強くなれたよ、一応礼を言っておくよ」


「そうですか、それは良かったですね」


「相変わらずの見下しかよ、まあいいさ、勝つのは俺だからな、」


「挑発は慎む様に!」


ガストンの言葉にフレイザーは舌打ちをして下がった。


「始め」


ガストンによって試合が始められた。


「これでも喰らえ」


フレイザーは煙玉の様な物を投げつけ視界を隠したのだ。


ミーシャは目を閉じてフレイザーの気配に注意した。


しかし辺りから4人の気配が同時に接近してきたのだ。


当然ガストンも気づいていた。


元とは言えSランクのガストンをごまかす何て出来る訳がなかった。


フレイザーはバレてるとも知らずに味方に同時攻撃を命じてミーシャに襲いかかった。


ミーシャは一番強い気配に集中して一気に攻撃に回ったのだった。


フレイザーは相手が見えないのは自分も見えないとだけ考えていて仲間に一気に襲わせて瞬殺狙いしか考えてなかったのだ。


ミーシャはフレイザーの首元に剣を押し当てて一言声を出した。


「動くな!」


ミーシャの声がフレイザーの側から聞こえたのをフレイザー達はギョッとして立ち止まってしまった。


「フレイザー動くと首を飛ばしますよ」


ミーシャの声で勝負有ったと判断したガストンはウインドの魔法で未だに視界0の煙幕を吹き飛ばした。


リング上には対戦者以外に3Jの姿があったのだ。


「フレイザー選手の反則負け!」


ガストンが宣言しフレイザーに向けて話しだした。


「フレイザー、各国の王の前で反則などよくも出来たものだな。その命で償ってもらう事に成るだろう。」


煙が消える前に3Jは姿を消す予定だったのだ。


トリックとしては単純で、ジャネットがワープのスキルを使えるようになったから考えついただけなのだ。


ガストンの命令により4人に魔法封じの特殊な手錠が使われて騎士隊に連れて行かれることになる。


「だからやめておこうって言ったじゃないですか?」


「そうですよ!ミーシャ様に勝とうなんて無理だって言ったのに」


3Jは次々にフレイザーに文句を行っている。


3Jはまたフレイザーの奴隷になったものだから逆らえなかったのだ。


奴隷には罪は無いだろうと各国の王たちも言うのだがユークはどっちも同じ様な存在だと思っていた。


しかし各国の王の手前3Jを処罰する事も出来無いのでフレイザーの奴隷身分から開放することにした。


フレイザーは当然死刑だ。


直ぐに開放の儀式が行われ3Jは解放されたが、このままではろくな事をしないだろうと一時地下牢で拘束する事に成った。



中断していた決勝は再開されることになりミーシャとリオの試合が始まった。



リオが魔法で牽制しつつ移動攻撃を仕掛けるが、リオの動きはユークのそれよりも遥かに遅くミーシャの目を誤魔化す事など出来無かったのだ。


リオが移動した先にミーシャが待ち構えると言った場面が多く見られリオは全く歯が立たないと諦め降参したのだった。


ミーシャは結局く一度も剣を抜かずに決勝を制したのだった。


割れんばかりの拍手の中ミーシャの手をリオは高々と掲げてミーシャの優勝を喜んだのだった。


「やはりミーシャさんには手も足も出ませんでした。」


「そう、リオの攻撃も鋭かったわよ。ただ動きの見える私にはあの作戦は失敗だっただけ、魔法の集中砲火なら私でも避けられ無かったと思うわ」


「動体視力までは気が回りませんでした・・・」


「明日の無差別クラスも期待していますね」


「有難う精一杯頑張るわ」


ミーシャ達はリングを降り2日目の予定は全て終了を迎えた。


城ではフレイザーの打ち首が行われ様としていたがユークが止めたのだった。


「フレイザーさん僕への恨みは消えませんか?」


「・・・・」


「もし世界の為に頑張るのなら命は助けると約束しますよ。」


ユークの言葉にフレイザーは頷くしか無かった。


ユークはガストンにフレイザーの主人になるように頼んでいたのだ。


「フレイザーさんはこれからガストン様の奴隷として生きて貰います。」


「そういう事になった。お前にはマホガリアの精鋭としてダンジョンに入って貰う。」


ガストンの説明にフレイザーは頷きその場で奴隷儀式が執り行われた。


勿論奴隷身分なのでAランクとしての貴族待遇は取り消された。


3Jはと言うとドリーの奴隷として新しく作る店の使用人になる事に決まった。


ドリーを呼び出し理由を話す。


「・・・と、言う訳で、彼女達3人をドリーさんの店で使ってもらいます」


「それはユーク様がお決めになる事ですから私は構いませんが、逃げ出す可能性も有りますよ?」


「ええ、ですから彼女達はドリーさんの奴隷にします。」


「それって、彼女達が何かすると私も危ないって事ですよね?」


「判断はレミーに任せてますが、しっかり監視して欲しいですし可愛がってくれれば彼女達も根は良い人達ですから」


ドリーは自分次第で自分も死ぬかも知れないとはっきり言われた事が怖かった。


『レミーが母親を』とは考えたくは無かったが、ユークの為ならとも考えつくのだ。


「解りました。一生懸命育てたいと思います。」


「宜しくお願いします」


ドリーは3Jと奴隷の儀式を終わらせて自分の家に連れて行った。


「あんた達が今までユーク様にしでかした事は全部聞いたよ。前の主人の命令だからって無茶やったものだよ!」


「すみません。今回も皆で反対派したのですが、逆らえなくて・・・」


「ああ、それも聞いた。今後は店の為に頑張って貰うよ。店はコンラットの国営店だからあんた達が頑張って繁盛させたらユーク様の為になるんだからね」


3Jはユークの為になると聞いて本気で頑張ろうと思っていた。


「もしかしたらあんた達も頑張ったら侍女にも取り立ててくれるかも知れないよ!」


「そうなんですか?」


「ああ、侍女ならユーク様にお情けも頂けると聞いてるからね!」


「お情けもいただけるのですか!」


「侍女達からはっきり聞いたから間違いないよ月に1度は必ず抱いて下さるそうだ。見た所あんた達もユーク様に惹かれてるんだろ!」


3Jは顔を赤らめて頷いた。


「私も狙ってるから皆で足を引っ張るでは無く強力してユーク様に認めて貰おうじゃないか!」


3J達は大きく頷いてしっかりと握手をかわした。


翌日3日目の無差別クラスの試合が行われた。


各階級の優勝者+ガストンも参加して行われたのだが、予想通り決勝に残ったのはミーシャとガストンだった。


元Sランクのガストンは流石に強く中々決着はつかなかったが、最後は引退して体力の衰えたガストンが急にストップしてしまいミーシャが追い詰める形で決着したのだった。


Aクラスと無差別クラスの2冠のミーシャとBクラスの優勝者のドロシーが午後からユークと模擬戦をする事に成ったのだ・・・・。


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