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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
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ハーデスの使者

「ヨルム、ユーリアの返事はまだか?」


「はい、まだ届いておりませぬ」


ハーデスはユーリアにラブレターを送り続けたいた。


内容は単純に『お前の体が忘れられない。もう一度だけでも良いから俺にお前の美しい体を見せて欲しい』と言った要はやらせろと言う内容の手紙だった。


当然アポリウスの所で処分されてユーリアには全く届いて無いのだった。


魔族の女には飽きてしまっているハーデスはせめて神族をと、度々神界を訪れるのだが対応するのは男ばかりで、女神は全く姿を見せないのだった。


「こうなると地上界から連れてくるしかないか」


ハーデスの言葉にヨルムはギョッとする。


「それだけは絶対になりません。神界との盟約をお忘れですか?」


「んなこた~わ~ってるよ!、だがなぁ、ユーリアは天界から出れね~だろ」


「そうですが・・・」


「なら、怖いのはアポリウスだけじゃね~か」


「アポリウスに勝てるのはハーデス様しか居ませんよ?」


「おうよ!だから俺がアポリウスをたおしゃぁ~いいんじゃね~の?」


「しかし結界を開くとユーリア様が直ぐに来ますよ」


「俺だけ地上界に行ければ問題ね~よ」


「残された者達はどうなるのですか?」


「そんなのしらね~。死ぬんじゃね~の?」


「そんな無責任な」


ハーデスは地上界を支配したいと考えてる訳では無く地上界の女とムフフな事をしたいだけなのだ。


「ハーデス様が魔界の同族を捨てると言うならユーリア様に報告しますよ」


「うげっ、おめ~それは汚いだろ~」


「ハーデス様の欲求の為に種族が滅ぶ等考えられません。私は心を鬼にしてでも種族を残しますよ」


ハーデスが本気に成ればヨルムでは止められないし時間稼ぎにもならないのだが、ハーデスはヨルムに手を出さない。


何故ならヨルムはハーデスが弱い頃から何度も命を守って来ていたからだ。


「では、地上界から数人連れて来る位なら良いだろ?」


「それもアポリウスが直ぐに出てきますよ?」


「楽しいじゃねえか、アポリウスが勝つか魔族が先に連れて来るか賭けようぜ!」


「後で問題になりますよ?」


「ちょっと買い物に行かしたとか言っとけばバレね~よ!」


絶対にばれるとヨルムは思った。


「そうなるとだ余り強い種族だと面白くねーな」


「ですが地上界の最強種が火竜クラスですよ、あれより弱いとなると難しいですね」


「そうだな、知力も高くね~といかんからな」


結果、淫魔のムリルを行かせることになった。


ムリルは地上界の強さで言うならA+位で知力も高い。


「冒険者とやらに倒される可能性も有りますね。」


ヨルムの指摘にハーデスが答える。


ムリルを倒せるとしたら軍隊がいるだろうとハーデスは答えた。


ヨルムも聞いた話では火竜クラスの魔物を倒すのに国が軍隊を派遣しても倒せる確率は20%も無いと聞いていた。


「もしムリルが倒されるとしたらアポリウスが出て来た場合だろ。その時は賭けは負けでいいさ」


「その場合ムリルは倒されますが?」


「ああ、勝手に地上界に行ったことにしておけば問題ないだろ」


「ムリルがアポリウスにバラしたら終わりですよ」


「それは無いな」


ハーデスの話だとムリルの両親は過去の神魔大戦で神族に殺されていて神族を恨んでいるらしいのだ。しかも倒したのはアポリウスだと言う。


だから女を連れてくる理由までは絶対に喋らないと言う事だ。


しかもチャンスが有ればアポリウスを殺していいと言えば喜んで行くだろうと言う事だ。


ハーデスはムリルを呼び出した。


「ムリルよ俺の為に地上界から女を数人攫って来てくれ」


「また女ですか~私も忙しいのですわよ。誰か様が懲りずに直ぐ子作りなさるから大変ですの」


「そう言うな!上手く行けばお前も身ごもらせてやるさ」


「本当ですの?」


「ああ、それにお前が地上界に行けばアポリウスが出てくる。殺してもいいぞ!」


ハーデスはニャっと笑ってムリルを見た。


「「ほ、本当?」


「ああ、出てきたらだがな」


ムリルは喜んで引き受けた。


見つかっても口を割らないという条件で戦うことを認められてムリルは準備にとりかかった。


ムリルは準備が整い結界の近くで待機していた。


ハーデスが結界をこじ開けムリルを送り出す。


「いい女を連れてこいよ」


「はい、ハーデス様の好みは良く知ってるもの、任せてね」


ムリルは結界をくぐり地上界に向かった。



同時刻、神界では結界が開かれた事がアポリウスに報告されていた。


「またハーデスの仕業ね」


アポリウスは直ぐ様ユーリアに報告に向かった。


「ユーリア様、またもハーデスに結界が開かれました。」


「え~~~また~~~。この前からそんなに経ってないわよ~~~」


「そうですね、今確認させてますが、ハーデスは残ってるみたいです。」


「も~~何回叱ったら大人しくなるのかしらん」


「今回は誰を送りますか?」


「面倒だしアポリウスが行ってくれば~」


「また、私ですか?」


「だって魔族が誰を送ったか解らないし~、弱いと負けちゃうじゃな~~い」


アポリウスはほとほとハーデスには悩まされていた。


「解りました。私が向かいますが、ユーリア様もハーデスの対応策を考えて下さい」


「そうだついでにね・・・」


「はいはい、ユーク様の様子を見てくれば良いんですね」


アポリウスはユーリアの言いたい事を先回りして答えた。


「え~どうして解ったの~、アポリウスすご~~~い」


アポリウスは溜息をついて用意を始めたのだった。




その少し前地上界についたムリルは何処で女を探すか思案していた。


(余り早く探すとアポリウスが来る前に終わちゃうものね)


ムリルは地上界を飛びながら探していたのだった。


ムリルは現在マホガリア上空をセルト方面にむかって飛行中であった。


アポリウスが来ても良い様に上空に注意を払い飛行していたのだがそれが間違いの元だった。


確かにムリルを倒せる存在など居ないとムリル自信も思っていた。そうある1人を覗いての話だ。




卵の捜索を終えて帰国の途中だったアリシアとクレアそしてピエールがムリルの後方200mを飛行していたのだ。


「隊長、あれって人ですよね?」


「そうね見た感じだと人だけど凄い力を感じるの」


アリシアはムリルの威圧感に只者ではないと感じて警戒していた。


「ピエール、もう少し高度を下げて離れてくれる」


ピエールは小さく頷きスピードを落として下降していった。


「このままだとセルトの方に行くみたいだから急いでユーク様に報告に行きましょう」


アリシアは決断して追跡をやめてコンラットに向かった。


「何者ですかね?」


「解らないわ、感じ的にユーク様に近い力を感じたけどもっと邪悪な感じもしたし、兎に角急いで報告しましょ」


「尾行しなくて大丈夫ですかね?」


「あれだけの威圧感ならユーク様が近くに行けば気づくわよ」


ピエールに全力で戻る様に指示してアリシア達はムリルが飛行していった方向を眺めていた。


王都に戻った2人は直ぐにユークに知らせに走った。


その時ユークはミーシャ達と風呂に入っていた。


浴室の前でアリシアは声を掛けた。


「ユーク様、入浴中に失礼します。取り急ぎ報告したいことが御座います。」


「ん?アリシア、お疲れ様、もう少しで出るから部屋で待ってて」


「いえ、本当に急用ですからこのまま報告致します。」


「解った。何?」


「30分程前ですが、マホガリア上空をコンラットに戻る為に飛行してた時に、人がセルト方面に向かって飛行していたのを目撃したのです。」


「魔物じゃなくて、人だったの?」


「はい、少し距離は有りましたが羽の生えた人でした。」


「羽があったの?」


アリシアは間違いないと言う。


慌てて風呂から上がり着替えに向かう。


アリシアが丁度の位置に跪いていた。


モロに顔にぶつけてしまったがアリシアは嫌がるでもなく恥ずかしそうにしていた。


ユークも恥ずかしかったが、緊急事態だと割り切り直ぐ様クレアも呼んで詳しい話を聞いた。


ユークの頭にはガーゴイルと言う言葉が浮かんでいた。


勿論ミーシャも同じ考えに至ったようだ。


セルト方面に向かったと聞きミーシャだけ連れてピエール毎セルトにワープした。


リオを連れて来なかったのは魔族だとしたら危険だからと言う事ではなく、アポリウスが来るとまずいからだ。


ユーク達はセルトに先回りした形になり遠くから近づいてくる威圧感をひしひしと感じていた。


ようやく姿が確認出来るようになってユークは考えていた。


「聞いてたガーゴイルと違うような気がしない?」


「そうですね、見た感じ女性のようにみえます。」


「アポリウスでもないよね?」


「そうですね、アポリウスさんの気は神々しい神族のものですが、彼女のは禍々しい魔族のものだと思います」


「だよね、僕もそう思うんだけど話を聞いてみようか?」


「言葉が通じれば良いですけど」


ユークとミーシャはピエールにまたがり空に飛び上がった。


突然ムリルの目前に一匹の火竜が立ち塞がる。


ムリルはユーク達に気づかづず火竜に告げる。


「下等な魔物が私のじゃまするつもり?」


ユークは言葉を発してるから通じるだろうとムリルに話しかけた。


「僕はユーク、冒険者だ。貴方は魔族の人だな、何しに地上界に来たか教えてもらいたい。」


ムリルは声の方向を凝視してユークとミーシャの存在に気づいたのだ。


「人間が私の邪魔をするなんて命知らずね」


ヨルムは言うなり攻撃を仕掛けてきた。


ピエールは空中で回避してユークの合図を待っていた。


「ほ~、その火竜はなかなか手ごわそうね」


ムリルは言葉を発してミーシャを見た。


「その女も中々の上玉ね、一人目は貴方にするわ」


ユーク達は意味が解らなかった。


「ミーシャをどうするつもりだ」


「魔界にご招待するのよ」


「お誘いは嬉しいですが私はユーク様の妻ですからお断りしますわ!」


「あら、貴方の奥さんなの。そうねあなたの命を見逃して上げるからその娘を置いて逃げなさい」


ユークの逆鱗に触れてることにムリルは気づいていないのだ。


「魔界に連れて行ってどうするつもりだ。」


「私が知るわけないでしょ。魔王様が楽しむ為だと思うけどね」


「つまりミーシャを嬲るってことだよな?」


「そうね、でも貴方の奥さんは幸せ者よ、魔王様は素敵な方で夜もお強いから魔王様の子供を沢山生んで上げてね」


ミーシャには【プチッ】っと、言う音が聞こえた気がした。


ピエールも震えていた。


「降りろ」


ユークはムリルに向かって一言告げて地上に降りた。


その頃アポリウスは結界を超えた所だったのだ。

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