冒険者
「止まれ! 身分証を確認させてもらう!」
パーン商都の警護をしている騎士っぽい人に止められる
「冒険者になる為 やってきましたユークと言います ブラハ村から来ました」
「こちらに記帳を!」
騎士に示されたとおり記帳した
「ようこそパーン商都へ 冒険者も大変だろうけど頑張ってくれ!」
「冒険者ギルドは入って右へ道なりに進めば有る くれぐれも街中で問題を起こしてくれるなよ」
騎士に頭を下げ街中に脚を踏み入れたユークはその町並み 人の多さに歩くのも戸惑っていた
兎に角ギルドに向かうべく騎士に聞いた方向へと踵をかえした
パーンの街はユークが育ったブラハ村の20倍以上の大きさがある 見たことも無い露天の数々に目移りしながら目的のギルドに向かった
しばらくして目的の冒険者ギルドに到着した 見た目も去ることながらその佇まいに入るのも躊躇われたが 冒険者になる為にここまで来たのだからと生唾を飲み込み両手で軽く頬を叩き、気合を入れ直し中に入っていった
中は入って左側に小さなカウンターが有ったここでアイテムの売買ができるみたいだ丁度 冒険者らしき男の人が
皮っぽいものを渡していた
右側には依頼とかが貼ってある掲示版があり数人の人達がみてるところだ
正面の大きいカウンターまで進んで
「冒険者になりたいんですけど」
気後れしているのを気取られないように平然を装い声をかけた
「冒険者登録希望の方ですね 登録に際してこちらの用紙に記入いただけますか?」
「はい」
記入するのは名前・年齢・種族だけだ なんとも少ない記入欄に(これだけ?)と思いながらも書き終え
受付のお姉さんに渡す
「ユークさん 15歳 人族の方ですね それでは、証明の腕輪を用意しますのでしばらくお待ちください」
そう言うとカウンターの奥で事務仕事している人に記入した書類を渡し戻ってきた
「腕輪が出来るまでに当ギルドの説明をしたいのですが かまいませんか?」
「はい おねがいします」と返事を返す
「まず登録仕立ての冒険者はFランクからと成ります ランクはFからSSとなりますが現在は、SSランクの方はいらっしゃいません。 目安としまして、Dランクからが一人前の冒険者とみなされダンジョンの探索も認められます! Cランクからは、指名の依頼等が入るようになります Bランクになりますと貴族との謁見時にも帯刀が認められてます。Aランクですと王族との謁見でも帯刀可能になります。現在Aランク冒険者の方は8人しかおりませんし伯爵扱いとなり重婚も認められます。Sランクともなりますと公爵と同じ扱いになり爵位も授与されます。こちらは現在1名のみで、マホガリア聖王国を拠点に活動されております」
「ランクを上げるのは、簡単で、覚醒する度に上がります。 ただ覚醒出来る様になるまでは、大変なので、頑張って上げて下さいね」
「ここまでで、何か質問はありますか?」
「覚醒ってそんなに難しいんですか?」
「そうですね~ このあとお渡しする証明の腕輪があれば覚醒のタイミングは簡単に判断できるのですが、個々の能力の成長が止まった時が覚醒のタイミングなので、持って生まれた潜在能力によってかなり変わってきます! もともと Dランクまでしか潜在能力が無い人だとそれ以上は上がりません」
「どこまで上がるか分からないのですか?」
「いえいえ 確かに最終的にどこまでが限界なのかの判断は出来ませんが 現在の2つ上のランクになれるかどうかは、判断できます! これは腕輪ができてから説明しますがよろしいでしょうか?」
「わかりました」
色々謎ものこるのだが後で教えてくれるらしいので先を促した
「次に依頼ですが当然ランクに合ったものしか受けられません。 受けたい依頼があれば、貼ってある依頼書をこちらに持ってきて頂ければ結構です。」
「もし誰かとパーティーを組んで依頼を受けられる場合は、その中で1番高い方のランクの依頼まで受けられます。 ですが一番低いランクの方の事も考えて、受けることが一般的です。」
(確かにFランクの人がいきなりBランクの依頼なんて無理すぎる。 足で纏いどころか下手したBランクの冒険者も危険に晒される可能性がある)
「依頼書に載せてある報酬は予めギルドが手数料として、10%引かせて頂いた額が書いてあります。 この10%の手数料でギルドの運営が行われておりますのでご理解下さい」
「あとギルドでは、基本冒険者どうしの諍いには関与しません。依頼絡みの場合はこれに含みません、もし何か依頼で問題が有りましたらお知らせください」
ここまで聞いている間に証明の腕輪が出来たらしく 受付のお姉さんは取りに行ってくれた
「では、こちらが冒険者ギルドの証明の腕輪です。利き腕の反対の腕にお付けください」
お姉さんから腕輪を受け取り左手につけた。 白色で剣の紋の入った、見た感じただの腕輪なのだが全く重さも感じずに違和感も無い 何がしかの魔法が掛かっているのだろう
「証明の腕輪の説明に入ってよろしいですか?」
頷き説明を受ける
「証明の腕輪はその名の通り 身分証の代わりになるものです。保護の魔法が掛かっていますので壊れる事は有りません。 次に身分証についてですが、こちらは名前・年齢・ランク・種族・パーティーメンバーとその種族 身分が表示されます。」
「身分?」
「はい 今はお一人のようですが、この先パーティーメンバーが増えた場合 一般の冒険者と戦闘奴隷のどちらかと組むことになると思います。 一般の冒険者の場合種族だけですが、戦闘奴隷の場合、身分が解るように所有奴隷と出ます。逆に奴隷側の腕輪には所有者と出ます。」
「なるほど!」
「それでは、一度ステータスと念じて見て下さい! 表示された名前等に間違いがございませんか?」
言われたとおりステータスと念じてみる
「でた!」
ちょっとびっくりしているとお姉さんはよくある事みたいで、笑顔を向けていた。 表示されたステータスを一通り確認してみる
「大丈夫みたいです」
間違いがないと告げると話を続けた
「ランクの色に注目下さい!今の色は多分白色で書かれていると思うのですが?」
確認してみると赤色だった
「赤色ですけど?」
「えっ赤ですか!」
お姉さんはしばし何か考えてから納得したようにこちらを見て聞いてきた
「もしかして何処かで魔物とか退治してたりしました?」
ここに来る前サラスの森でも魔物退治はしてたので肯定した
「だから 赤色なんですね」
納得したように話を続けた
「たまに居るのですが、登録前にFランクの経験値分を討伐していて、登録してすぐEランクに覚醒して行く冒険者が・・・ で覚醒は後で確認するとしまして、続けますね。先程潜在能力がどうしてわかるのかと話しましたが、このランクの文字が赤なら覚醒可能で黒なら覚醒終了で成長が止まったとなるのです。
黒の前には、青色になるので、青色の時に覚醒しますと覚醒後は黒になり成長が止まったとなる訳です。ですから赤ならまだまだ成長出来る。で、青になったら次のランクが上限と解るのです」
「なるほど」
「後、腕輪には、任意で表示される能力値と所持特技と言うものがあります! あくまでも任意での表示ですので、個人での確認位で、他人に無闇に見せるものでは有りません。仮に見せびらかしたりしますと、その能力を利用しようとする人が現れたりする事もありえますので、気をつけてください」
「説明は以上ですが 何か質問はありますか?」
色々と難しいことも有ったのだが取り敢えず大丈夫ですと返事しておいた
「確認ですがランクの色が赤色という事ですので、覚醒なさりますか? 覚醒なさるのでしたら10万Gが秘宝代としてかかりますが」
まだ何も依頼を受けていないので正直10万Gは持ってない 家から持ってきたお金も金貨5枚5万Gだけだ
「あの~今すぐに覚醒しないとダメですか? あまりお金持ってなくて」
「構いませんよ!当然依頼を受けても今の能力より上がりませんが、赤のままでお金が貯まるのを待つ冒険者の方も大勢いらっしゃいます」
しかたがないのでそのままでお金を貯めてからと告げた
「最後になりましたが わたくし レミーと言います!何か有りましたら気軽に声をかけて下さいね」
「はい 有難うございます よろしくお願いします」
「では、以上になります。ご活躍期待してます!」
オススメの宿屋の場所を聞き冒険者ギルドを後にした
勧められた宿屋はリーンの宿と言い、来た道を少し戻ったところに有りギルドにも近くべんりそうだった。
入口を押し、中に入る 中には、小さなカウンターに割腹の良い女性が座っていた
「いらっしゃ~い 初めて見る顔だね~ 泊りかい?」
「はい! さっき冒険者になってレミーさんにここを紹介されたので来ました」
「なんだレミーの紹介かい じゃあ断れないね~ でどうする 部屋はあいてるよ。」
断られることも有るの?と疑問を抱きつつも聞かなかった
それじゃあ と1週間分、朝・夕の食事込で2100Gを銀貨2枚半銀貨1枚で支払った
ちなみに通貨は半銅貨1G 銅貨10G 半銀貨100G 銀貨1000G 金貨1万G 閃貨100万Gとなる
「飯は適当な時間に来てくれたらいいよ」
と奥の扉を指差された。風呂は部屋にあるらしくかなり豪華な宿の様である。大抵風呂は、共同が一般的で個別に有るのは王都等の豪華な宿くらいなのだ 聞いたところ このリーンの宿も元貴族の保養地として有ったらしく、貴族がいらなくなったから売ったのを居抜きで買ったので、全部ではないが何部屋か風呂付きの部屋が有るそうだ! 本当は1泊600Gのところ他に空いてる部屋がないとのことで通常の300Gで貸してもらえた!
出かける時は鍵をカウンターに預けるように とか 洗濯や掃除は別料金で1回3Gとか説明を受けた
部屋は3階の一番奥で、入ると20畳位の広さがあり別に風呂とトイレがある ベッドも元貴族の家らしく かなり大きいものだった
ひとまずリュックを降ろし、装備を外して、ベッドに腰掛け今後の行動を考えるのであった。