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神様の棄児  作者: ryo-KK
3章 日常
42/88

アポリウス

地上界に転移したアポリウスは、フルール大迷宮にいた。


(最後に反応が有ったのがこの辺りね)


アポリウスは現在半透明な姿をしていた。


地上界の者に姿を見られない様にこの姿なのだ。


ダンジョン付近で魔物の反応が途絶えている事からダンジョンに隠れたと推測して、ダンジョンに入っていった。


1階層から反応を探る。


すぐさま魔物の特定が出来たのだった。


(ガーゴイルね。これなら後回しでも大丈夫ね)


簡単に片付くと判断して放置し、ユーリアの子の捜索に切り替えた。


転移してグラン山脈に行く。


崩れた山に降り立ち残留魔力を探っていく。


(この魔力は天界の物ね、間違いないわ)


他に手がかりが無いかと周りも調べていた。


アポリウスの突然の来訪に気づいた物がいた。


地竜だ。 自身のテリトリーに突然巨大な力が現れたのだ。


地竜は、アポリウスを群れで囲み威嚇していた。


しかしアポリウスは地竜程度は全く相手にしていない。


無視するアポリウスに地竜は吼え威嚇を続けた。


(五月蝿いわね)


騒がしさに思考が乱されて、アポリウスは右手を上げた。


突如吹雪が発生して辺り一面が氷山に変ったのだ。


当然地竜も瞬間凍結していた。


アポリウスは何事も無かった様に手掛かりを探していた。


残留魔力以外の手掛かりも得られず。聞き込み調査をする為に人型に姿を変えたのだった。


威圧感や魔力も抑えていた。


見た目は10代の女の子にしか見えないが、女神だと言われる位の美貌だった。(女神だけど・・・)


腰にユーリアから預かった黒耀剣を差して冒険者を装い、グラン山脈の主領地コンラット王都に転移した。


山が崩れたのは天災に寄る物と伝わっており、聞き込みの方向を変えることにした。


山を崩す程の力が有るなら有名な冒険者かそれに類似する者だろうとの判断だ。


冒険者ギルドに行き情報を集めた。


アポリウスの美貌のせいなのか情報は直ぐに集まった。


強いと言う点から唯一のSランク冒険者のガストンが最初に出てきたが年齢を聞いて違うと判断したのだ。


ガストンは40歳だが、アポリウスが転移させたのは16年前、成人に転移したとは考えられないので、16、7歳位だろうと考えていたからだ。


有名な冒険者をを聞いていくとユークに行き当たった。


(Aランクで、16歳、金髪でグリーンの目、美形)


ユーリアの特徴と良く似ていた。


16歳でAランクと言う事もユーリアの子なら納得がいく。


間違い無いと推測して直接会いに行く事にした。


住居もギルドで聞けば直ぐに解った。


転移でセルト王都に移動した。


王都に転移したアポリウスは直ぐ様反応を探るのだが、ユークは普段は力を可能な限り抑えていたので見つからない。



その頃ユークはクララと庭で遊んでいた。


「ユークちゃま、み~ちゅけた~~」


「あはは、見つかったか」


隠れん坊の最中だった。


「クララ、後はミーシャとリオだよ、頑張って探して」


レミーは屋敷で片付けの最中なので、参加しているのはユーク、ミーシャ、リオ。クララの4人だけだった。


しかしクララは全く探しに行こうとしなかった。


「クララ、探さないと終わらないよ?」


「クララはユークちゃまを みちゅけたからいいの」


ユークにくっついて探そうとしない。


ミーシャ達も一向に探しに来ないので不思議に思い姿をみせた。


現れたミーシャ達を見て


「みーちゃんとりーちゃんみ~ちゅけた~~」


クララの作戦勝ちだった。


そんな時に凄まじい力をユークは感じた。


ミーシャやリオも流石に違和感を覚えたみたいだ。


ユークは慌ててミーシャとリオにクララを屋敷に連れて行くように言った。


ミーシャはユークが何か行動を起すだろうと解ったので、リオにクララを任せてユークの側に駆け寄った。


「ご主人様、この力の波動はご主人様に似てます。」


「うん、何者か解らないけど並の力じゃ無いからミーシャも出来るなら屋敷に居て欲しい」


ミーシャの安全が第一と屋敷に待機して貰いたいのだが、ミーシャは聞かない。


「私はご主人様と共に有ります。何処までも御一緒します。」


「戦うと決まった訳では無いけど、もしもの時は逃げてくれると約束するなら連れて行くよ」


全く逃げる気は無かったが、頷いて付いて行く事にするミーシャだった。


力の波動は平民区から流れてきていた。


ユークはミーシャと共に平民区に急いだ。


その人は直ぐに見つかったのだ。


威圧感で、周りの人達は気を失って倒れていたのだ。


中心に10代と思える女性が1人立っていた。


ユークはミーシャを離れた位置で待機させて女性に駆け寄った。


「ここで何をしてるのですか!町の人達をどうするつもりですか」


アポリウスは目の前に立つユークをじっと見つめて言葉を発した。


「あなたがユーク?」


何処までも透き通るような声で、ユークに訪ねてきた。


「そうですが、貴方は?」


アポリウスは答えずに考えを述べる。


「ここでは目立つから少し移動してお話が聞きたいの」


「ここでは出来ない話ですか?」


「ええ、あなたの出生に関する事よ」


自身の出生に関わると言われ納得するユークだが見ていたミーシャが声を掛けた。


「ご主人様」


「少しこの人と話をして来るからミーシャは屋敷に戻ってて」


ユークの言葉に頷く事は無かった。


アポリウスは『控えなさい』とミーシャに向けて更に威圧したのだがユークが間に立ち遮ったのだ。


「ミーシャに手を出したら許しませんよ」


少し苛立ち力を解放したのだ。


アポリウスはユークの力が自分を超えていると直ぐに判断して、威圧を止めたのだ。


「何もしないし、する気も無いわ、ただ普通の人に聞かせる話では無いから少し気を失って貰いたかっただけよ」


「ミーシャは僕の大切な人だから聞かれて困る事は無い」


「そう、あなたが構わないなら良いわ、貴女も来なさい」


言うなりアポリウスはユークとミーシャも一緒に人気の無い草原に転移した。


パーティーでも無いのに一緒に転移させたのだ。


「この力って・・・」


「神がかりの転移よ」


<神がかり>と聞いて2人は絶句した。


「ユーク、あなたが先程発した威圧は人が出せる物ではないわ」


「先程貴女は僕の出生に関する事だと言いましたね」


「ええ」


「僕は一体何処の誰なのですか?、育ての親からは捨て子だったと聞いてます。」


「ある意味では正解ね、ユークをこの世界に捨てたのは私よ」


アポリウスの発言に言葉を失った。


「貴女がご主人様のお母様なんですね」


ユークの替わりにミーシャが問いかけた。


しかしアポリウスは首を振った。


「私はアポリウス、ユークの本当のお母様にお仕えする者よ」


「では、ご主人様のお母様は何処の誰なのですか?」


少し考えアポリウスはユークに問いかけた。


「ユークが本当に知りたいのなら教えましょう。しかし知ったからと言って会う事は適いませんよ」


ユークは気を取り直しアポリウスに告げた。


「アポリウスさんが、僕を捨てたと言いましたが母の指示ですか?」


「いいえ、ユークのお母様は最後まで反対されてました。」


「では、貴女が独断で僕を捨てたのですか?」


「そうですね、それしか方法が無かったですから」


黙った聞いていたミーシャがアポリウスを批難した。


「酷すぎます。ご主人様のお気持ちを考え無かったのですか、赤子が親と引き離されるなんて酷すぎます」


「貴女方には理解頂けないでしょう、しかし理由を聞きたければ話しますが全ては出生からの事に成ります。も一度聞きますが知りたいですか?」


ユークは聞きたいと答えた。


「解りましたお話しましょう。 ユークはこの世界の人間ではありません。貴女の母は天上界の頂点にして絶対の神ユーリア様、父親の事は私の一存では教えられないので聞かないで下さい。 貴女は神界では生まれてはいけなかった子共だったのです。ユークの出生は天上界を争いに導く引き金に成り得るため抹殺も考え地上界に転移させたのです。その時ユーリア様がユークの事を思って人族に転生させたのが始まりです。」


「ご、御主人様が神様の子供・・・」


にわかに信じがたいが目の前のアポリウスからはただならぬ気配が漂っていた。


「僕が神の子って言う証拠は有りますか?」


「証拠ですか、先程<神がかり>と聞いて驚いてましたね、ユークも使えるのでは?」


ユークは頷いた。


「使える事が証拠です。神がかりは天上界にしか存在しませんし上位の神にしか扱えません。」


アポリウスの説明は全てが納得の出来るものだった。


架空の話で誤魔化してるなら違うとも思えるのだが、目の前で姿が半透明に成ったりもしていた。


「アポリウスさんが神だと言うのも納得しますが母親に会えない訳はなんですか?」


「ユーリア様は天界そのものです。意思が天界と繋がってるので離れる事が出来ません。 ユークを連れて行くと騒ぎに成るのでそれも無理ですから会えないのです。」


こっそりとも考えたが結界を通る時に解るから無理だそうだ。


「僕はこれからどうなるのでしょう?」


「どうにも成りませんし私達神族も何もしません。ユークの寿命が通常の人間と同じかは解りませんが地上界で暮らす事は変りません」


アポリウスの言葉に安心するユークとミーシャだった。


「ユークがどのような行動を起しても天界からは関与出来ない決まりも有ります。ですからユーク次第ですね。ユークの力は私をも超えているみたいですから、この世界なら無敵でしょう。私達天界としては、地上界を統べる王に成って貰えるともしもの時には都合が良いのですが、ユークが決めれば良いことです。」


「関与出来ないのにアポリウスさんはどうしてここに?」


「私がここに来たのは2つの理由が有ります。表向きはフルール王国のダンジョンに巣食う魔物の討伐ですが、ユークの事も調査したかったのが裏の理由よ」


「フルールのダンジョンって、羽根の生えたゴブリンみたいな魔物ですか?」


「知ってるのね、あれはガーゴイル、でも気にしなくて良いわ私が処分するから」


「僕の調査って?」


「ユークを転移させた責任も有るから生きてるのなら調査するのも当然でしょ」


アポリウスに真実を聞かされて動転していたが必死に理解しようとしていた。


<神がかり>についても詳しく教えてもらった。


ワープや念話も相手を選ぶだけでパーティーとかは全く関係ないらしい。


試しにアポリウスに念話を送ると通信できたのだ。


念話は顔と名前さえ知ってれば良いと言う事だった。


ワープは名前だけでなく範囲を指定して丸ごと転移出きるそうだ。


最後に母ユーリアからだと黒耀剣をアポリウスから受け取った。


ユークはアポリウスにユーリアへの伝言を頼んだ。


「一緒には居られ無いけど元気だと伝えて下さい。それと黒耀剣有り難う大事に使うからともお願いします。」


アポリウスは最後にユークを抱きしめ「ごめんね、また会いましょう」と囁き消えたのだった。


残されたユークはミーシャとその場所に座り話をしたのだ。


「ミーシャ、僕の出生も解った訳だけど僕にはどうして良いのか正直解らない。ミーシャが僕を怖いと思うなら此処で別れてもいいよ」


「ご主人様は私がお嫌いですか?」


「そんな事有る訳無いじゃないか!」


「でしたらその様な事仰らないで下さい。私はご主人様が神様の子だと聞いてドキドキしました。 ご主人様の強さは神様の力だと理解できて嬉しいです。 ご主人様が私を捨てると言っても私は絶対に離れませんよ」


「ミーシャ」


「私は既にご主人様に身も心も捧げてます。ですから別れる様な事は2度と言わないで下さい。リオやレミーも同じだと思いますよ。」


ミーシャの優しさや愛情がユークの心を優しく包み込んでいく。


何も無い草原で、2人は抱き合い何処までも優しくキスをしたのだった。



その頃アポリウスはガーゴイルと対峙していた、


「$%$&$&$&(’&(’&」


「%+&%&’=*#*+L&」


言葉も解らないが会話しているようだった。


アポリウスが頷いた後、ガーゴイルと共に姿を消したのだった。


屋敷に戻ったユークとミーシャは何事も無かったかの様に過ごしていたのだ。


ユークは寝室に寝転び母から送られた黒耀剣を見つめていた。


吸い込まれる様な漆黒の片手剣で、験しに振ってみると重さも感じさせない位に軽く残像が怪しく光っていたのだ。


もう一度剣をみつめてユーリアに有り難うと呟いた。 



ガールズトーク IN キッチン


㋷「ミーシャさんあれからどうなたのですか?」


㋯「ご主人様にお話が有ったみたいで、少しお話したら帰っていかれたわ」


㋹「何の話?」


㋷「さっきの凄い力の波動に気付かなかったのですか?」


㋹「??」


㋷「少し前に凄い力を発した何かが有ったんですよ、ミーシャさんとご主人様が力の方に向かって行ったから」


㋯「ご主人様に届け物を持ってらしたのよ」


㋹「あっ、さっきユーク様が持ってた剣?」


㋯「そうよ、凄く珍しくて貴重な剣らしいわ」


㋷「ご主人様ってこの前にも剣を頂いてましたよね」


㋹「ええ、セルトの王様からね」


㋯「今度の剣はもっと凄い剣だと思うわよ」


㋹「あれってオリハルコンの剣よ、あれより凄いって聞いたこと無いわよ」


㋯「レミーが詳しいのは知ってるけど世界は広いのよ」


㋷「王様から頂いた剣ってどうするのかな?」


㋯「マジックポーチにしまって置くか私達が使うかでしょうね」


㋷「それならミーシャさんですね、私は魔法ですし」


㋯「剣の事はご主人様にお任せしておけば問題ないわよ」


㋷「そうですね」


㋹「ところで、その剣をくれたのって何処の国?」


㋯「私は聞いてないわ、ご主人様に聞けば教えてくれるでしょうけど、私達には関係無いから」


㋷「そうですね、ご主人様に付いて行くだけです。」


㋯「そうね」


㋹「私も勿論付いて行くわよ」


㋯「当然よご主人様ほどの男性は一生出会えないわよ」


㋷「確かに私やレミーさんもご主人様が大好きだけどミーシャさんって、そう言うレベルを超越してる感じがしますね」


㋹「そうね私も相当ユーク様に迫ったけど、ミーシャって別次元でユーク様の事を愛してる様に思えるわ」


㋯「あはっ 2人とも何言ってるのよ、私も2人と同じよ誰よりもご主人様を愛してるだけよ」


突然クララが話しに入ってきた。


「わたちも、ユークちゃまだいちゅき、およめたんになゆの」


クララのライバル宣言にもミーシャ達はまだまだ子供だと微笑んでいたのだ。



本年の更新はこれで最後になります。


次は2,3日になると思います。


応援して下さった皆様本当に有り難う御座いました。来年も頑張って書いて行きますので応援宜しくお願いします。 皆様にとって良い年で有りますように。

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