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神様の棄児  作者: ryo-KK
3章 日常
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迫り来る影 

「護衛の任務もやっと終わりだね」


ユーク、ミーシャ、リオの3人はフルール王国の依頼で、護衛任務に就いていた。


商人の護衛で、マホガリアまで行って、帰ってくるだけの依頼だった。


その依頼も後数時間で終了を迎える。


20日と言う長期の依頼だったが無事にたどり着きそうだった。


「今回は長い道のりでしたね」


目前には、フルールの街が見えていた。


ここまで来ればもう安全だと行っても過言ではなかった。


街に付いて解散となり、そのままフルールの冒険者ギルドで、報酬の精算も済ませる。


金貨60枚60万Gの仕事だ。


少しレミーやアベル家の方々にお土産を買って行く。


フルール王国からの依頼も最近では増えていて、セルトの依頼との兼ね合いを考えて、少しづつ受けるようにしていた。


「アベルさんも良く頑張ってくれて、庭も見違えるように綺麗になったし」


「そうですね、クララちゃんも楽しそうに遊んでますよ」


「エルダさんのお料理とっても美味しいです」


「あはは、リオは色気より食い気か~」


「そんな事ないでしゅ」


(久しぶりに噛んだ)


「ですがご主人様、アベルさん達だけでも、離れの管理は大変だと思います。 早急に何か考えませんと」


確かにミーシャの言うとおり、まだまだ人手不足だと思った。


庭が綺麗になれば、その分余計に手間も増えてるし、子供の居る家庭なので、家の片付けもおざなり気味だとレミーも言っていた。


だが、セルトとフルールのギルドマスターにもお願いはしているのだが、アベルさんの様な人材は中々見つからないのも事実だった。


「方々聞いてはいるんだけど中々いい人が見つからなくてね」


アベル夫婦には、ガラスのペアカップを、クララには、名物のお菓子をお土産に買って、屋敷にワープした。


「ただいまレミー」


「お帰りなさいませユーク様」


「何事も無かった?」


「それが・・・・・」


レミーによれば、ここ数日、屋敷を伺う貴族が居ると門番から報告があったらしいのだ。


「詳しく聞きたいから呼んできて貰える?」


リオが呼びに出てくれた。


リオに連れられて入ってきたのはヒューゴだった。


「最近屋敷を覗いてる貴族がいるって聞いたけど知ってますか?」


「はい。その方は、カルロス伯爵だと思います」


聞いたことの無い名前なので、ヒューゴにどんな人物か聞いてみる。


「伯爵と言っても世襲の方で、今はたいした力も無い方だと聞いてます。あまり目立ちませんが、いい噂も聞いた事はありませんね」


「ヒューゴさんはカルロス伯爵がこの屋敷を覗いてる所は見られましたか?」


「私は目撃してませんし門番が近寄ると逃げるように去っていくそうで、誰も理由を知りません」


「良く解りました。 また見かけたら僕に知らせるか理由を確認して貰えますか?」


「了解しました」


今まで何もなかったがミーシャ達も帰って来たし何か有っても対応できるだろうと心配はしていなかった。


「僕は、アベルさんの所にお土産を届けてくるから、お風呂の用意お願い」


「解りました」


レミーが返事をしたので、任せて離れに向かった。


庭で遊ぶクララに声かける。


「ただいま、クララ」


ユークに気づいて駆け寄ってくる。


クララは最近ではユーク達にも良く慣れて、見かけると遊ぼうと寄ってくるように成っていた。


「おかえりなちゃい、ゆーくちゃま」


「クララにお土産買ってきたから一緒にお父さんの所に行こうか」


「おみあげなに~」


「おみあげじゃなくて、おみやげね」


「おみあげ??」


(まぁいいか)


 離れの玄関を開けて、声をかける。


「こんばんわ~、アベルさん居ますか~」


ユークの声にエルダが出てきた。


「ユーク様お帰りなさいませ。」


「ただいま帰りました。エルダさん」


「アベルは今、お風呂に入ってまして、呼んできますね」


「いえ、そのままで良いですよ、今日はお土産を持ってきただけですから」


「そんな、いつもいつもすみません、お給金も多く頂いてるのに」


「たいして払ってませんし、クララに渡すついでだとでも思ってください」


にっこりと微笑みクララからわたす。


「はい、クララ、お菓子だから、お母さん達と一緒に食べてね」


「うん」


「こら、クララ、お礼を言いなさい」


エルダのお叱りもどこ吹く風で、お菓子を胸に抱いて走っていってしまった。


「すいませんユーク様、躾が出来ていませんで」


「元気が1番ですから気にしないで下さい。 これはご夫婦で、使って下さい」


エルダにも土産を手渡し屋敷に戻った。


長旅の疲れを風呂に入って、ゆっくりと癒すのも実に気持ちのいいものだ。


夕食を済ませて、のんびりしているとクララとアベルが遊びにやって来た。


エルダは片付けをしているらしい。


依頼から帰ると時折アベルとクララが遊びに来る事がある。


アベルは、仕事の報告をする為にクララは単純に遊びに来るのだ。


「最近屋敷を覗いている貴族が居るらしいのですがアベルさんは何かご存知ですか?」


気に成る事なので、アベルにも聞いてみた。


「私は特に気づきませんでしたが」


「それなら良いのですが、何か気づいたら教えて下さい」


「はい」


美女と遊ぶ美少女も絵になるとユークとアベルはほのぼのと眺めていた。


一頻り遊んで、疲れたのかクララが寝そうに成ったので、アベルが抱きかかえて離れに戻っていった。


今度はユークが3美女達と遊ぶ番だった。


堪能するだけして、ユークは眠りについた。



ガールズトーク IN ベッド 念話バージョン


㋷(ご主人様はお休みに成られましたね)


㋯(そのようね)


㋹(今回の依頼はどうだったの?)


㋷(何もおきなかったわよ)


㋹(そうなんだ、じゃぁ結構簡単な依頼だったんだね)


㋯(そうね護衛自体は問題無かったけど、ずーと馬車に揺られて大変だったわ)


㋷(お尻が痛くなりました)


㋹(私はユーク様に会えなくて寂しかったわ)


㋯(毎日交信はしてたでしょ)


㋹(交信できてもやっぱり顔を見ていたいわよ)


㋷(帰ってきたらご主人様はレミーさんを1番可愛がってくれるじゃないですか)


㋯(そうね、でもレミーだって我慢してるのですもの、仕方ないわよ)


㋹(それでも途中の宿屋とかで、可愛がってもらってるでしょ)


㋯(滅多にないわよ、殆ど野営だし他の方も近くにいるもの)


㋹(滅多にって事はたまには有るんじゃない)


㋷(本当にたまにしか無いですから)


㋯(それより、屋敷を覗く貴族って何なのかしら?)


㋹(私も見た訳では無いから、良く解らないのよね)


㋷(ミーシャさんかレミーさん目当てだったりして)


㋹(リオかもね)


㋯(私には関係の無い話ね)


㋹(どうしてよ)


㋯(どうしてって、私にはご主人様が居らっしゃるから関係ないのよ)


㋹(それなら私だって)


㋷(私もです、ご主人様以外の男性なんて目に入りませんから)


㋯(貴族の方も色々居らっしゃるからお互い気を付ける様にしましょ)


㋹(そうね)


㋯(何か有ったら直ぐにご主人様に知らせる事だけは忘れないでね)


㋷㋹((うん))


㋯(今日はもう休みましょ、お休みなさい)


㋷㋹((おやすみ~))


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