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神様の棄児  作者: ryo-KK
2章 仲間
12/88

2人の奴隷

故郷の、ブラハ村から戻った翌日、今日は、ギルドの依頼を受けようと考えて、冒険者ギルドに来ている。


Cランクの依頼を、じっくり眺めていた。


※オーク討伐及び集落の破壊  報酬は一つの集落に付き10万G 破壊確認の後、依頼達成通知書の引渡し  詳細情報有り 


オークの集落位ならと、手を伸ばそうとして、横から伸びてきた手とぶつかった。


「あっすいません」

 

咄嗟に詫びを口にするユークだが


「ふんっ」


鼻息の後、睨まれてしまった。


「お前がこの依頼を受けるのは、10年早い 身の程を知れ」


随分な見下しだった。


もとより、怒ると言う感情の少ないユークなのだが、これには少し頭にきた。


「これでも一応はCランクの冒険者ですから」


強気の発言でかえす


「お前みたいなガキは、そこらのダンジョンで、小物でも漁ってればいいんだ」


どこまでも威圧的である。


「そこまで言うからには、余程の実力者なんでしょうね、おみそれしました。」


皮肉を込めて、言い返すのだが 見た感じ余り強そうには見えなかった。


(外に仲間でもいるのかな?)


そんな気になって、あまり関わるのも嫌だったし これ以上何か言われるのも鬱陶しかった。


「僕はダンジョンに行くことにします。 依頼達成頑張ってください。」


そう言い残し踵を返してギルドをでた。


朝からこんなケチが付いたので、今日の仕事は、休むことにした。


いきなりの休みに、やる事も無くて、ぶらぶらするのもどうかと思い、半年前に王都の商人のジルに頼んでおいた品物が入ったか気になって、王都に行くことにした。


頼んでいた品物は、マジックポーチだ。 今持ってるマジックポーチが有るから、別に必要ないのだけれど大きさ的に少し目立つのだ。


大きいかと言われると、そんなには大きくないのだが肩から襷掛けしていると目立つのだ。


仕事に行く時は、ジャッケットの御蔭で目立たないのだが、普段の買い物の時は、ジャケット等の装備は外しているので、否応なく目立つので、リュックに入れて持ち運んでいた。   


今回頼んでいたものは、財布位の大きさのマジックポーチで、品数もある程度は出回っていたりするので、持ってても目立たないのだ。


重さもそんなには、入らないのだが買い物分のお金位を入れて持ち運ぶのには丁度よかった。


近くの路地から、王都の商人ギルドへワープする。


商人ギルドを出て、東側に歩いて、曲がるとジルの店はある。


王都は、城の周りに有る貴族のエリアと、さらにその外側に、市民の住むエリアに分けられている。

貴族のエリアは、大きく4つに分けられており、北を中心に半時計回りに1~4の区画が有る。


市民エリアは更に8つの区画に分けられていて、同じように北から5~12の番地でよばれていた。


商人ギルドは、市民エリアの9番に有り、冒険者ギルドは7番にある。


王立図書館は、貴族エリアの4番に有り、目指すジルの店は、商人ギルドの近くの9番に位置していた。


ジルの店に着き、店番にジルを呼んでくれるように頼む。


しばらくして、2階からジルが降りてきた。


「いらっしゃいませ ユーク様 頼まれていた品物、取り置いておりますよ」


そう言って、カウンターの後ろの棚から、薄黄色の15cm角位の丸みのあるポーチを取り出した。


見た目も悪くなく、手に持っても邪魔にはならない感じがよかった。


「いいですね~」


「そうでしょう こちらは、マホガリアの職人が作った物で、軽くて丈夫に出来ております。 ユーク様のお持ちになってるマジックポーチとは、かなり内容量に差が出てしまいますが、これでも20Kgは、入りますので十分だと思われます。」


確かに20kgのお金となると相当な金額になる。 落とすことも考えられるので、そんなに入れておくつもりもないのだが、これなら金貨でも雄に1000枚は入ると思われる。


「これって、お金以外って、入れられないのですか?」


「いえいえ 口が小さいので大きなものは入りませんが、口より小さいものでしたら入りますよ」


普段使っているマジックポーチは、入れ口より大きい物でも、口に近づけると、吸い込まれるように入っていくのだ。


それに比べてこちらは、そうではないらしい。 母から貰ったポーチがどれほど貴重か関心させられた。


「おいくらですか?」


購入することにして、値段を聞く


「こちらの商品は、50万Gとなりますが 命の恩人であらせられますユーク様にお売りする為に買い付けてきました。 感謝の気持ちを込めて25万Gでお譲りしたいお思います。」


聞いた話で、50万Gが相場と知っていた。元値も同じなのだがいきなりの半額引きは、流石にユークも気が引ける


「いいんですか? 利益出ないんじゃないですか?」


「構いません、私の命の値段と考えればやすいものです。 これからもご贔屓頂きたいですし、25万Gでお受け取り下さい」


命の値段と言われると押し返せなかった。


リュックからポーチを出し、金貨25枚で支払った。


昨日ブラハ村に帰った時に、母に言われたパーティーを組むために、戦闘奴隷を探したいのだと、ジルに言うとオークションか奴隷商人から買うのが良いだろうと、教えてもらった。


オークションは年2回春と秋に開催されるらしい。 この世界は1年は6ヶ月に分かれていて、1ヶ月は60日で一年は360日有る。 新年が1月の春にある。 季節といっても1年を通して、あまり変化はないのだが、冬の5月辺りは、山の方だと雪も降ったりしている。


春と秋の25日に、毎年開催されているから、そう言われても今は、1月の後半で、既に終わった後であり、次の開催までは、半年近くある。


そこまでは待てないと、ジルが信用できる奴隷商人を紹介して貰えないかと、頼んでみた。


「商人ギルドでも紹介してもらえますが 個人の紹介の方がよろしいでしょうから 紹介状をお書きしましょう」


そう言われしばらく待つと、2通の紹介状を手渡された。


「なんで、2通もあるのですか?」


疑問に思い聞いてみたが、単純にユークがパーンに住んでるので、パーンの奴隷商と、王都の奴隷商を紹介してくれたのだった。


お礼と、また来ますと言葉を残しジルの店を後にした。


王都の奴隷商は市民エリアの南西区画7番に有るらしい。


(看板が首輪って、解りやすすぎ・・・・・)


見た目からして、奴隷商と解る看板の店に入っていった。


母から聞いた奴隷を持つ話しで、気持ちが少しは落ち着いているのだが、16歳のユークにとって、女性との面識も数える程しかない。 村では、子供か年寄りが大半だったし、パーンに1年住んでいるが、女性との会話なんて宿屋のリーンとギルドのレミーの他は、商店のおばさん他数名しか無かった。


恥ずかしい気持ちも、もちろん有るのだが、ユークも年相応の青年であり、当然異性に興味もあるし、性欲もある。


この世界の成人年齢が低いのは、魔物も住む世界なのが原因である。働き盛りの青年は、冒険者に成る者が多くて、死亡率が高いからであり、早く成人させて、出生率を上げるのが狙いであった。


成人が15と、なれば、当然に結婚適齢期も低くなる。 男性は、20歳で、女性は、23歳が平均的であった。


冒険者は、男性が圧倒的に多いからである。


これは、人族だけの話であって、他種族はまた少し違ってたりする。


いい例だとエルフ族と獣族がわかりやすい。 どの種族も平均寿命は大差ないのだが、エルフ族は、衰えが来るのが遅くて、50代になっても20代の見た目のせいで、結婚適齢期が遅いのだ。


逆に獣族は見た目が12歳位で、成体となるので、13歳で成人するらしい。


したがって、結婚適齢期も当然低くなるのだった。


奴隷商の扉を開けて、入っていく。


見た感じは、普通の宿屋のような感じだ。


建物が大きかったのは、ここが王都の店だからなのか、奴隷商で扱ってるのが人だからなのかは、解らないが、

同じ商店ながら、先ほどのジルの店の倍以上あった。階数も3階だての立派な建物だ。


カウンターには、見た目も弱そうな男が立っていた。


「いらっしゃいませ 本日は、買い付けですか? 販売ですか?」


なるほど 奴隷や自分を売りに来る場合もあるのか と納得した。


「戦闘奴隷をさがしてます」


 と簡単に告げ ジルに書いて貰った紹介状を渡した。


少々お待ちを、といい男は、カウンタの奥に有る部屋をノックした。


中からは男の声が聞こえてきたが、ここからでは何を話しているのかは聞き取れなかった。

受付にいた男は、ユークから受け取った紹介状を、中の男に渡した。


しばらくすると、奥の部屋から40代位の男が出てきて、ユークの方へ歩いてきた。 

        

「ジル殿の紹介状を確認させて頂きました。 お待たせして申し訳ありません」


頭を下げてきたのだが 思わず笑いそうになったのをユークは必死に我慢した。


何故かと言うと、頭のてっぺんに10円ハゲが有るのだ、こちらの世界には、10円ハゲなどという言葉はもちろん無いのだが、毛の無い部分だけが、油でも塗ったようにキラリと輝いていたから 尚更可笑しかった。


何とか態度と顔に出さずにすんだ。


「立ち話も 何ですからこちらにお越し下さい」


と2階に有る会議室みたいなタテヨコ15m四方の部屋に通された。


真ん中にソファーとテーブルが有り、座るように勧められたので、腰を下ろした。


商談には必要なのだろう ソファーの座り心地は最高によかった。


座ってから間もなくして、商人の奥さんと思われる女性が 紅茶の入ったカップを持って入ってきた。


持ってきたカップをユークと商人の前に置き、お辞儀をしてから退室していった。



「戦闘奴隷をお探しと伺ったのですが特に何か希望は、ございますか?」


希望と言われても、自分より同い年位で、怖そうでない人くらいしか考えつかなかった。


「申し遅れました。私、当奴隷商の主で、マルリと言います。」


思わず、マルイ と聞き違え 頭のハゲが浮かび、飲みかけてた紅茶を吹き出しそうになった。


なんとか咳払いでごまかした。


「ご丁寧に有難うございます。 僕はユーク パーンで冒険者をしてます」


「失礼ですが ユーク様は奴隷をお持ちになるのは、初めてでいらっしゃいますか」


その通りなので、肯定する。


その後奴隷を持つことについての注意事項を聞いたが、母に聞いたこととほぼ同じだった。


違うことと言えば、今年の奴隷の税金は、もう払ってあるので、必要無いという事なのだが、今年も始まって間がないので、金額に上乗せされるのだろうと 概ね予想もできた。


ここまでの話に解らない事はないかと聞かれたのだが、母にも聞いていたので、大丈夫と答えた。


「先程も伺いましたが、ユーク様のご希望を教えてたいただけると、紹介もしやすいので、些細な事でも構いませんから、希望をおっしゃってくださいませんか?」

    

些細な事でも良いならと 先程考えた 自分位か年下で、戦闘出来て、男の人だと怖いので、出来れば女性が良いと希望を言った。


「若い女性の戦闘奴隷ですね!失礼ですがユーク様のお歳を伺っても宜しいですか」


「奴隷を持つのに年齢の制限とかあるのですか?」


若いとダメなのかと思い、聞いてみた。


「ユーク様の同年代か年下とお伺いしましたから、確認しておきたかっただけなのです。 奴隷を持つのに年齢による制限などは、有りません」


納得して16だと教えた。


マルリは、手元に有ったメモに条件を殴り書きして、先ほどの奥さんらしき人を呼びメモを渡した。


しばらく雑談やジルとの経緯等を話して時間を潰す。


扉を叩くノックの音が部屋に響いた。


「用意が整った様ですので、付いて来て頂けますか?」


マルリに付いて部屋を出た。3階に上がる。 3階も2階と同じように廊下を境に 左右に幾つかの部屋が有った。


聞いた話だと 2階は男の奴隷ばかりで3階は女の奴隷ばかりなのだそうだ。


緊張で変な汗が出てきていたのだが、楽しみも湧いていた。


一番手前の部屋を素通りしていく。


「この部屋は?」


「こちらは、戦闘に不向きな家政奴隷が集まっておりますので、ユーク様のご希望に添わないかと」


なるほど と納得し後を付いていく。


2つ目の部屋の扉を開けて、中に入る。 マルリに続いて部屋に入った。


「こちらのお客様が戦闘奴隷を探しておられる! 整列するように」


部屋の中には10人程の女性達がいた。 マルリに言われた通りに整列して、ユークを見ていた。

ユークは、髪も金髪なのだが顔もすごくカッコイイ いわゆるイケメンなのである。

普段でも、街中では目立つ存在なのだ。 


ユークを見ている女性の中には、自分より年下で、コイツかね持ってるの?的に見ている人もいた。

顔は良いのに残念だ。


マルリは、ユークに気に入った者が居ればあとで個別に面談させますからと耳打ちしてきた。


あまり真剣に見つめるのも恥ずかしいので、ざっと見てみたがどの女性も普通だと思った。


「次の部屋に参りましょう」


これで終わりじゃないの と思ったがあと2部屋御座いますと教えられた。


次の部屋でも、同じように整列させて、ユークに見せる。 一人可愛い子がいたので、彼女の面談を希望した。


部屋を後にして、廊下で立ち止まる。


「こちらが最後の部屋になりますが こちらの女性は男性経験が無い処女ばかりでございます」


(しょ ショ しょじょ~~~~)


脳内でなにかが弾けた気がする


気のせいなのだが・・・・・


扉を開け 中に進む、処女だと聞いてただけで2割増に綺麗に見えた。


その中で頭に垂れ耳が付いている、獣族の女性に目が止まった。

身長はユークと同じか少し低いかと思われる。 

 

ただ目を引くのは耳では無い、顔がもの凄く綺麗なのだ。ユークと歩けば誰もが美男美女と振り返るだあろうレベルの美女であった。


彼女ももちろん面談の候補だ。


もう一人、この部屋で、エルフ族の女性も面談候補にした。理由は、僕はメロンが好きだからである。


3人との面談希望して、2階の部屋に戻った。


しばらくして、一人目の女性が現れた。


人族で16歳の同い年、冒険者として働いていたが、ランクがDで成長が止まったらしく、ユークのランクが上がって、足で纏いと思ったら家政奴隷として頑張るとアピールしていた。


簡単にいえば良くもなく悪くもなくと言ったところだ。


一人目の退室と入れ替わるように獣族の女性が入ってきた。

どこの角度から見てもすっごい美人だ。

    

名前はミーシャ 16歳 獣族 見た感じだと犬系だと思う。 獣族は隔世遺伝で、どの系統に産まれるのか解らないらしい ミーシャの親も 兎と猫で違っているそうだ。

戦闘は近接戦闘が得意で料理や家事も堪能だそうだ。冒険者ランクは、現在Eで白なので、最悪Cまでは確定している。       


ミーシャが退室すると三人目の女性が入ってきた。

 

最後はエルフ族の女性で、名前は、リオ 15歳、とにかく メロンだ。

顔も 悪くない 戦闘は、魔法が4属性使えて、家事も得意だそうで、冒険者ランクもミーシャと同じだ。


3人との面談を終了して、女性が退室したのを確認して、マルリは話しかけてきた


「如何でしたか?」


一人目の女性は無いなと思っていたのだが、まだ言わない。

それぞれが、いい女性だなと告げておいた。


「3人共、若くて、この先長く働いてくれる事でしょう」


悩むのは、仕方ないのだが ミーシャとリオで、答えが決まらない。

決め兼ねるので、全員の値段を聞いてみる。


最初の人は除外しているので、聞き流し ミーシャとリオの値段に耳の神経を尖らせた。


「次のミーシャ 獣族のお値段ですが 彼女は、この春のオークションの目玉商品でして、少しお高く御座います。 金額の方は、処女ですし100万Gで如何でしょう?」


100万Gと言うと閃貨1枚か、金貨100枚ってことだ。先程の人族が30万Gほどだったと思うので三倍以上の値段だった。


「最後のリオ エルフ族のお値段ですが 彼女も処女ですので、少しお高くなりますが こちらは、70万Gで如何でしょう?」


ミーシャより30万も易い お買い得ではある。

30万有れば、王都に大きい家も数年借りられる金額だ、リオにするべきかやっぱり悩む


悩んでるユークに追い討ちが来た。


「3人共性奴隷になる事も了承しておりますので、お若いユーク様には、お勧めかと・・・」


「・・・・・」


言葉が出ない


「ただ、人族同士ですと子供ができる可能性もございますので、その分、お安くなっております。」


「他種族だと、子供は出来ないんでしたよね?」


「左様で御座います。 ですから相続等で揉める事もございません。 結婚を望まれていないのであればおすすめできるかと」


「結婚は今はまだ考えてないけど 奴隷と結婚って、やっぱり多いんだ」


「そのようでございますね。 当商館にも家政奴隷で、結婚目当ての者も多ございます。」


そうなんだと納得して、考えをまた2人にむける


「どうなさいます?」


結論を出すときが来ていた。

ここは正直に言うしかないと思い、2人で悩んでいると告げた。


「ミーシャとリオですか、ユーク様の懐具合にも寄りますが 2人を同時に持つのも悪くない判断かと思います」


「いやいや流石に2人同時は無理があります」


特に金銭的に無理という訳ではないのだが、初めて他人と住むのに、それも女性2人と同時に住むのは、ユークの心臓が持ちそうになかった。


マルリは、ユークが2人同時には、購入するお金が無いと思ったのか、第2案を提示してきた。


「それならば、本日は1人お買い上げ頂いて、2ヶ月の間、予約として取り置くと言うのは、如何でしょう」


「そんなことして貰って、いいのですか?」


「ええ 構いませんとも ジル殿をお助けして下さったユーク様は、我ら商人ギルドに登録している商人にとっても恩人にあたります。 そのような方がお困りなら最大限猶予させていただきたいと思います。」


嬉しい申し出に有り難く頷く事にした。


「本日は、どちらの女性をお求めになりますか?」


実際どちらでも良いのだが、2ヶ月後にお金があるかどうかも解らないので、今お金が有るうちに高いミーシャから買うことにしした。


部屋にミーシャとリオの2人が呼ばれて戻ってきた。


「お客様はお前達2人で、かなりお悩みになられたが、今日は、ミーシャを選ばれた。」


マルリの言葉にミーシャが笑顔になり ユークにお礼を言ってきた。

ミーシャの挨拶が終わるとマルリがリオに予約の件を言う。


「お客様は、リオの事も気に入っておられる。 特例ではあるがリオは予約済みとして、2ヶ月間、取り置く事に成った。 売約済の部屋に今日から移るように」


そう言われ リオもユークにお辞儀した。

予約していたとしても心配な事もなくはなかった。


「2ヶ月後に迎えに来るつもりなんだけど もしこれなかった時は、どうなるのですか?」


「その時は別のお客様に買って頂くだけですのでお気になさらず」


「そうなったらごめんね」


リオにそう言うとリオは、真剣な顔で、ユークを見て


「大丈夫です! ご主人様が迎えに来てくれるまで、待ちます」


淀みもなく宣言されてしまった。


「できるだけ頑張るから」


「はい お待ちしております!」


是が非でも迎えに来なければと思うユークだった。


リオが退室して、金貨100枚で100万Gを支払った。



「それでは、腕輪に名前を入れますので、腕輪を前にお出し下さい」

 

言われるまま左手を前に伸ばすと、ミーシャも左手を前に伸ばしていた。


マルリがミニチュアの石像を取り出し、奴隷名と所持者の名前が書かれた紙を石像の下に置く。


石像がかすかに光っったかと思うとすぐに消えた。

どうやら終わったらしい。


「ご確認ください」


言われて ステータスと念じる 



ユーク 16歳


ランク C (白)


人族


パーティー なし


奴隷 ミーシャ 獣族


と出ていた。



納得しているとミーシャが


「ご主人様、お確認下さい」


と左手を向けていたので確認した。



ミーシャ 16歳


ランク E (白)


獣族


パーティー なし


所有者 ユーク 人族


と成っていた。



確認が終わると、マルリがユークの血を1滴求めてきた。 これは誓約の紋を奴隷の躰に刻む儀式で使うからと言われ、ナイフを借り指にあてがいすっと引き、出された小皿に血をたらした。


血の出た指をミーシャは、口に運び、吸い出したのには、心臓が止まるかと思った。


「私の為にお体に傷を付けさせてしまい、申し訳ありません」


「気にしなくていいよ! 必要な儀式なんでしょ」


既に血は止まっているのだが もういいとなかなか言えなかった。


儀式をはじめるので、と言われ、ミーシャは立ち上がった。


マリルは、小皿に指を入れのばす様に指に塗っていき、呪文のようなものを唱えミーシャの背中に手をかざした。


当然服の上からである。

 

ミーシャの背中に魔法陣が浮かび躰に吸い込まれるように消えていった。ミーシャは、瞬間的に痛そうな顔をしたが直ぐに収まったのか今は、普通に笑顔である。 美人の笑顔の破壊力をこの時初めて実感した。


「これで、全て終了です。本日は有難うございました。 2ヶ月後をお待ちしております。」


マリルに挨拶をして、商館を出た。

ユークの後ろをミーシャは、付いてきていた、手には、小さなカバンが一つだけだった。


「荷物ってそれだけ?」


「はい この中に服が1着だけ入ってます」


貸して、と荷物を受け取る。


「ご主人様 荷物は私がお持ちします リュックもお渡しくださいませ」


いいから いいからと受け取ったカバンをリュックの口に入れると吸い込まれるように消える


「えっ」


驚くミーシャにマジックポーチが中に入っていることを教えて、納得させた。


一度宿に戻るからとミーシャを連れて、ひとの居ない路地に行く、 決して、如何わしい事をするつもりで、連れ込んだのではない。


路地に入りミーシャの手を握り、聞こえる様にワープと声に出して言う。 説明が面倒だからワープを使ったと知らせる為だ。


パーンの冒険者ギルドの倉庫に出る。


  


  

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