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神様の棄児  作者: ryo-KK
2章 仲間
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ブラハ村

パーン商都に来てから1年が過ぎたユークは16歳になっていた ランクもCランクと上がり上級の冒険者として指名依頼なんかも入ってきていたのだが限界も感じていた

実力はまだまだ余裕なのだが孤独感に耐えられなくなっていたのだ 冒険者としての大先輩である母の意見も聞きたくて実家に帰ることにした

パーン商都から普通なら10日、いまのユークの足でも、歩いて5日はかかる道のりを、ワープを使い一瞬で移動する。いきなり村に現れると、騒ぎに成りかねないので、サラスの森の近くに転移した。


1年前に1度、魔法の練習の為に訪れて以来だ。 懐かしさに、はやる気持ちを抑えきれず足早に村に向かった。


村は、まるで時間が止まったままのようで、何一つ変わっていなかった。


村の人達と、すれ違う度に挨拶を交わし、懐かしい顔に涙を浮かべる人もいたりした。


家の玄関も1年前のままだ。 嬉しくなる 玄関の扉をノックする。


「は~い ちょっとまってね~」


なつかしい母の声だ


しばらくして、出てきた母は、ユークを見て、すぐさま抱きついた。


泣いてるわけでもないのだが、声が震えていたのが妙に耳に残った。


「ただいま 母さん」


1年振りの我が子の声をきいたアルバは、抱きしめる腕に力を込め「おかえり」と言ってくれた。



余談だが、今のちからで抱きしめられたのが、父だったなら多分複雑骨折はしているだろう・・・・・



玄関先で抱き合ってるアルバとユークを見てセイは、何もそんなところに居ないで中に入りなさい。と二人を家の中に強制連行していった。


子供の頃からの定位置に座り、この1年の生活の事を色々話した。 尽きない話が、ダンジョンや護衛のことになると、アルバは、うんうんと昔を思い出しながら頷いていた。 1年で、冒険者ランクがCになったと知ったときは、アルバもセイもビックリしていたが、無理したんじゃ無いの?怪我とかしてない?と心配させたりもした。


冒険者として、生活の目処がたち収入もワープのおかげで人一倍多くなっていたのだ。 そうだ と想い旅立ちの日に渡されたお金を母に渡した。 別に貸してた訳じゃ無いから返さなくていいと言われたが、そう言われるのは、百も承知していたので、用意していたセリフを言う


「わかってる これは、父さんと母さんの誕生日に、何もして上げられなかったからその穴埋めにして、 何か好きなものを買ってくれると嬉しい、本当は、何か買ってこようかとも思ったんだけど、父さん達が、今何が欲しいか想像できなくて」


そう言うと両親は、眼に泪をためて「ありがとう」と受け取ってくれた。


久しぶりの父の手料理に満足して、自分のへやに入った。 出て行った時のままなのだが、きれいに掃除はされていた。


そんな両親の愛情に、涙が出てきたが隠すように、布団に潜り込んだ。 その夜は、なかなか寝付けなかったのは言うまでもない。


翌朝母に起こされる


「いつまでたっても子供なんだから 早く起きなさい」


嬉しそうに言う母の声に目が覚めた。今日は、母と久しぶりの戦闘訓練が行われた。 今のユークには、いかにアルバとはいえ勝てる道理は無かった。 冒険者ですら無かった頃に、既に引き分ける実力がユークにはあったのが今は、現役のCランク冒険者になっているのだ。


「強くなったね」


母の一言が何より嬉しかった。


最近は、ゴブリンよりオークが増えて困ってるのよ! ちょっと手伝って、と言うアルバと連れ立ち サラスの森へ向かった。ポーチから愛用のエストックを取り出す。 防具は付けていないがアルバは何も言わなかった。


サラスの森に入り、探索のスキルを発動すると結構な数の魔物が引っかかった。 アルバに方向を指示してそちらに向かう

目視で確認出来たそばから、サンダーを放っていく。 ほぼ一撃で倒れるオークを見て、アルバは、威力の大きさに呆れていた。ざっと20匹ほどオークを狩り村に戻る


家に戻り、ソロでやっていて、討伐自体は問題ないが孤独感で、限界を感じていることも言った。


実際この1年で、何度かパティーを組んでみた事も有るのだが、報酬の分配の時に、年齢が低いからと少なくされた事も有ったし、ダンジョンでユークを盾にして、逃げていった者もいた。 人間不信に成りそうにもなったりしたのだ。


黙って聞いていた母が、何げに一つの解決策を告げる。


「ソロでやるのが嫌なら、結婚するか戦闘奴隷をやとってみれば?」


「結婚は、相手がいないし 奴隷っていうのもなんだか・・・」


まだまだ子供のユークは、結婚なんてとんでもないと思っていたし、そんな相手も居なかった。 それに戦闘奴隷についても良くわからない。 16歳の自分より年下の奴隷なんて想像もつかない。 まして、年上の人を奴隷として使うのも考えられなかった。 そんな考えをアルバに言うと


「あはははは」


と大声で笑われた。


「結婚はともかくとして、戦闘奴隷は冒険者だと常識なのよ! 確かにユークより年上が多いだろうけど 15.6歳の奴隷が、いない訳じゃあないから、探すのも一つの手なのよ! オークションに行けば、15・6歳の奴隷なんて直ぐ見つかるはずよ」


「でも何か怖いし」


「あら 可愛い女の子も多いわよ!」


「母さんは、僕が奴隷を買ってもいいと思っているの?」


「別にいいんじゃないの ユークはもう立派な冒険者よ! 大人だわ さっき見た腕輪の色からしてAランクになれるのは、確定してる訳だし Aランクになれば伯爵扱いになり重婚 この場合は一夫多妻ね! も認められるわ」


「何もすぐに結婚しろって言ってるわけでもないのだから ゆっくり決めればいいのよ」


「で でも奴隷と結婚て有りなの?」


「ユークは何か勘違いしてるみたいだから言って置くけどね、奴隷って、別に差別の対象じゃ無いのよ 犯罪奴隷は別として、普通の戦闘奴隷や家政奴隷の人は、生きるために奴隷に成っただけで、法でも守られているのよ。 だから奴隷といえど、結婚したくなったら奴隷から開放して一緒になればいいのよ! それにきちんと解放された奴隷は、奴隷であった過去の記録も消されるのよ」


「だから、貴族や王族の奥方にも元奴隷って、女性は多いのよ。 玉の輿ねらって奴隷になる娘もいるらしいし」


「そうなんだ」


「それにね、開放されるまでは、奴隷の人たちって、体内に誓約の紋章が刻まれるから、主人を殺したり勝手に離れたりは出来ないのよ。 たまに扱いが悪くて、違う主人を探して買い取ってもらう奴隷も居るらしいけど、大事に扱っていればそんなことも起きないわ」


「もし刺されたりしたら、どうなるの?」


  

「殺してしまえば自分も死ぬ! 仮に、複数の奴隷がいる場合、他の奴隷にも同じことが起こるの 魔物に主人が殺された場合も、奴隷は死ぬから必死で守ってもくれるのよ」


聴いてる限り、奴隷を持つ事には何のデメリットもないように聞こえた。


「いい事だらけなのにどうして、奴隷を連れてる冒険者って余り見ないんだろ?」


「それはね、金銭面の問題だと思うわよ」


「金銭面??」


奴隷の値段が高いのかと単純に思ったのだが、それ以外にもあるらしかった。


奴隷の値段は、種族や性別 年齢によってかなりの差があるらしい 後 顔 いわゆる見た目にも大きく左右される。

それ以外に税金、ユークはギルド員なので、税金は免除されているのだが、奴隷を持つと免除対象から外れて、自分の税金と奴隷の分の税金、そして奴隷の衣・食・住の義務も発生する。税金は、仮にユークが奴隷を買ったとすると、 ユークの税金が年10万G、金貨10枚に奴隷の分が1万Gで、金貨1枚。 年に金貨11枚必要になる。 そのほかに、食事に住む所と衣服とくれば、確かに金銭面で辛い。


今のユークの稼ぎは、ダンジョンで倒した魔物のドロップアイテムや、ワープの魔法がある為にギルドから直接、配達依頼を受けたりもしているので、月に金貨50枚は稼いでいたので、かなり余裕がある。


まして、天性の素質の為、1年前の装備のままで、お金も掛かっていなかった。


ポーチの中には、金貨が500枚以上入っている。


母の話に納得してから父の手料理で夕食を取った。 母には、特殊スキルの事も話しているので、今日中にパーンに戻ることを告げ、部屋から移動することにした。 父と母に、また帰ってくるからと簡単に挨拶をしたが母に、何時までも親に甘えていてはいけないと釘を刺された。 だが年に1度は帰ってきて欲しいとも言われた。


2年に一回くらいは帰ってこようと思い、パーンの冒険者ギルドにワープして宿屋に戻った。

 

 

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