まぁミカンの重曹漬けはちょっとね
「ごめん、新規で正社員を採用した」
「えっ?」
「ってことで、今日までのバイト代です」
「え、あ・・・はい」
「じゃ、乙」
「お、乙です」
なんか、ついてないのかな?わたし。
今、人生2度目の解雇よ。
くらい部屋で、PCのブルーライトがわたしの顔を照らしていた。今夜も寝れなさそうだわ。
「おっきにーいりー」
とPCのお気に入りを開いて、『神様相談』というサイトをぱちっとクリックした。
「さてと、返信はっと」
【そうですか。でも、あなたにはまだ、何十年も余生があるのですから、なにか生きがいを探してみては?】
☆ ☆ ☆
わたしは3ヶ月前に、丁度昨年、やっと就職できた航空会社を解雇された。
理由は、ただの経営破綻。なんと200人の人員削減。わたしは運悪く、その中の一人となってしまったのだ。「解雇のおしらせ」郵便が家に届いてから、「昨日夏至だったのに、今日冬至になってしまった」みたいに即無職である。
まだ、ピッカピカの24歳なのに!
そして今朝解雇されたのは、「ひたすらミカンを重曹に漬ける」仕事。まぁミカンの缶詰を作る工程の要?(ただ、時給が最低賃金のギリギリじゃないのかってくらい低かった)
――そして、自ら命を絶つ事を考え始めた。
リスカとか首つりとか入水なんて、そんな安っぽいものなんて嫌。こう、ばばーんとドーンとたっぷりお金を使って、盛大な最期を迎えるのだ!ふはははは。
☆ ☆ ☆
と回想シーンに突入してしまった。
わたしは、そうやって自殺を考えた日から、『神様相談』というサイトにメールを送り続けている。「とっても目立つ自殺方法」を相談しに。
昨日送ったのが、〈最初から大量の血のりを撒いておいて、そこに飛び降りるのはどう思いますか?(わくわく)〉というメールである。
って、なんだ、【そうですか。】って!大量血のり自殺は無視か!【わぁ、オムライス食べたくなりますね】くらいの気の効いた返事はねぇのか?!
内心イライラしながら、軽い手さばきでキーボードを叩く。
【わたしには、これが生きがいですの!】
明日は、自殺に使うお金を貯める為に、もっと時給の高いアルバイトを探そう。
――佐竹零、24歳。2回目の無職です。
こんにちわ。
ずっと連載していた「16500回目の燃料切れ」は放置していてごめんなさい。
えー、テレビでコント番組を見たら、「なんかコメディが書きたい」と思いまして。
そしたら、この話のネタがぽんぽんと出てきたのです。
これからもよろしくお願いします。