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【夏のホラー2025】錆、じゃない

作者: 花萌ゆる

あれは、地方での仕事を終えて、どこか古びた空気が漂っているビジネスホテルに泊まったときの出来事です。


疲れていたので、早くシャワーを浴びたいと思い、バスルームへ向かいました。

頭を洗っていたら、ふと、誰かの視線を感じました。

背後に、ぼんやりと白く揺らめくものが、鏡越しに映ったような気がして、慌てて振り向きましたが、そこには何もいませんでした。

きっと気のせいだろうと言い聞かせて、勇気を出して目を開けると、シャワーから茶色く濁った水が流れていて、思わず、声を上げてしまいました。


怖くなって、バスルームから飛び出ると、部屋に飾られた風景画が目に入りました。

普段なら絶対そんなことしないのに、そのときは、何故か絵画が無性に気になって、つい、額縁に手をかけて覗いてしまいました。

すると、お札のような紙が、隙間なく貼られていたんです。まるで、何かを封じ込めるように。


部屋に戻っても、どこかで人の気配がするようで、息を潜め耳を澄ませていると、

だれかが、すぐ近くでじっとこちらを見ている気がして、カーテンの隙間や鏡の向こうが妙に気になって仕方ありませんでした。


その夜は、もう眠れませんでした。


あの水は、本当に錆だったんでしょうか。

それとも、何か違うものだったかもしれない。

そう考えると今でも恐ろしくてたまりません。

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― 新着の感想 ―
シャワーから流れる水の色を目にしたときと、部屋であるものを見つけてしまったときに怖さを感じました。 ホテルのシャワーから錆が出るだけでも気味が悪いのに、そうでないとしたらと想像するだけで、怖さが増しま…
怖いですね……!! 無性に気になってしまうところに共感しながら拝読しました。 夏のホラーをありがとうございます。
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