【7話 辻斬の猛者】
「No.0,,,ですか,,,」
それは複数国家を単独の実力だけで制圧可能な
程に強い老齢の男の殺害依頼だった。
「堕愚魔の創設主,,,か」
あのNo.1がNo.0を評価するとしたら,うちらを
支配する摂理と述べるそうだ,まぁ既に死んでいるから真偽は不明。
「力を抑制しているのか,普段は,え?それで
複数国家を単独鎮圧レベル?人間か?怪獣とか
じゃなくて?」
「はい,まじです,あらゆるものを刀代わりに出来て53mmの鉄とステンレスの合金製の鉄板を宙に浮かしてる状態かつ一呼吸半の時間すら経たずして,一枚のトイレットペーパーの切れ端だけで細切れにするほどの武器術がありますがね」
「ふ〜ん」
そうして依頼を受注してそいつ[No.0]の元に向かうのだった。
「山中の蛇湖に修行で行ってる,,,かぁ〜
僧侶の修行すら逸脱する修羅の道,それほどの
苦痛を与えて何をしたいんだか」
それは昔々の話,全盛期かつ鈍っていない
若々しい頃のNo.0の伝説。
その当時は無法地帯のカサンドラまたの名を
リンボは,フードと呼ばれるこれまた非常に強いことで有名な男が暴力による統治をしてい
た頃でした。
「この俺様こそが無敵なのだぁ!」
根っからの善人のフードが殺意に支配されて
闇堕ちしてしまうのもおかしく無いほど荒れていたのだ。
留学中に学校にテロリスト集団40人が突入
して来て銃撃戦が勃発した,大事な友人達は
大怪我をした。
まだ貧困だった故に改造されたもんで安物の
輸入品より悪質な銃だったが,毎秒約550フィートの弾速まで改造されていたリボルバー模造銃,つまりはモデルガンであった。
目に入ったりと非常に大変だったが,
涙を流して居た背後から至近距離のモデルガンを難なく躱し全体重が乗っかったナタの振り
下ろしを人差し指と小指だけで摘んで止めて
パンチして四十人を皆殺しにしまくった。
エセサイコパス[ソシオパス]が発芽するに
充分過ぎてしまったんだ,強い抑制不能な感情や欲求,衝動が人間の奥底に眠る闘争本能であり,通常の格闘家の闘気よりも暗く殺意等の存在
してはいけない感情を色濃く呼び覚ましてしまったんだ。
噛みつき,咆哮,野生を呼び覚ました。
「,,,」
学校だって毎日通えるほどじゃ無い,贅沢な
レベルだった, ゴミ山や森で過ごす日々が大半だったフードは戦い方,道具,場所のいずれ
も選ばずにどんな相手だろうと瞬殺可能な
レベルまで技術を磨き始めた。
餓死寸前の状態など何度経験しただろうか,生き抜くためにあらゆる草や昆虫や野生生物や時には腐敗した廃棄物すら喰らって来た,己の味覚と嗅覚だけを頼りに吟味し続けてきた。
徐々に成長と共に練磨された才能が出てくる,
殺気を隠して近付く才能,熊を縊り殺した,殺気で相手を怯ませる才能,熊の動きを止めた,本番に物怖じしない才能,始めての熊狩を成功させた,何より躊躇しない無感情の才能だ,故にして人を殺すことに躊躇がなく,拳銃の引き金を引くことにも躊躇がない。
「ガァァァ!」
忍足もナイフも銃も毒も武器を使わない素手の殺しも,一挙手一投足の全ての殺しの才能が
揃っていた。
語学センスすら抜群,訛りも再現可能,旧暦横島の話し方,ワダド![翻訳]ワァ!びっくりした
あだ?[翻訳]貴方は何をしてんの?
みたいな多田市のある横島県の横島弁みたいな
あまりにも難しい訛りなんかもだが,元から
使えて居たかの如く喋れる。
その人の気づいてない無意識にしてしまう
細かい癖,その人特有の香り,ミクロ単位の違和感に勘づく違和感察知,洞察力に優れ弱点すら
すぐに見抜けた。
一人天下に君臨していたフードこと万字丸俊太は統治せずして俯瞰して楽しむだけであった。
「チンピラの王様,ゴミの王座に君臨する居心地は最悪かな?」
そんなところに単身突っ込む更に頭のネジが無い奴がいた,そいつは本物だった。
戦いに理由は無い,強く成る為,ヤル気満タン,漲る殺意には,これぞまさしく本物[サイコパス]だった,絶え間ない悲鳴もご無沙汰も,全て無関係。
「はぁ?」
フードはそれを見て引く以外になかった。
「おいなんでお前が一番焦らない!」
「強酸が目にかかったからなんだってんだよ
ゴラァァァ!」
サイコパス,偽物じゃあ到達不可能な才能,
殺しの天啓,全てが自分の上を行っていた。
「他人が悪いことをしなければいいことができないだぁ? 狭い意見やな井の中の蛙君!」
「ガァァァ!」
結果として1万2500人死亡する,無数の人々を
引きちぎり素手だけで人の身体を細切れにした,
中にはNo.1や以上クラスもゴロゴロといた。
ボスは言う。
「このサイコパスには,お咎めなしってかぁ,,,えぇ⁉︎おい」
Noと350人の構成員はこの際に奪い去って
いた,No.0生きる伝説とはその方のことなり,
現在はPTSDと記憶喪失を患う。
「じゃあ早速,千鳥神社行きますかぁ〜」
そうして早速,城崎は向かうのだがその途中。
「オラァ!」
蹴りの一撃で警察官を吹き飛ばし車を横転
させる。
手錠を両手に掛けられていたが無理矢理引きちぎりそのまま叫ぶ。
「オラァ!我が無敵の紅林党座様じゃああ!」
「こらこら,そんなことしてはならないよ」
「あぁ!なんだジジィ!」
条件反射で自身に向かってくる奴をぶん殴る
違法暴走集団の隊長紅林党座。
「ムン」
「な⁉︎」
避けられるとは思わなんだ,そのパンチは地面に
直撃する。
コンクリートの道路に直径20mのクレーターを形成する。
「へぇ,軽くそれをやるか」
「ジジィ!避けんな!」
「うぉ⁉︎うるっさ!」
少し強めに喋る風圧だけで一般人なら鼓膜潰して敵を吹き飛ばすに十分だろう轟音。
「フン!」
「うぉ⁉︎」
手首を掴んだままクルクルっと宙を回転させられる城崎,地面にそのまま叩き落とされてる,が。
バゴーン,地を踏み抜いて勢いを殺して着地
する。
「まさか合気かぁ?」
「,,,(こいつこの爺い!そのまま潰すつもりだったのに飛んで勢いを殺したな!関節の可動域が広すぎて関節技が効いてないじゃねぇか!)」
「なら私が見本を見せてやろう」
そうして一瞬にして紅林が吹き飛ぶ,だが歩くついでに壁をぶち破るまるでそこには何もないように。
「すまない不可抗力だ,あまりに脆く小さくて
なぁ,まぁ諦めないで頑張ってくれたまえ,
つまりは死ぬ気で来いってことだ」
「さっき投げられた警察官いる場所に投げちゃった,あいつ歩くついでにビルぶっ壊すじゃん,
まずいなぁ」
紅林の肉体は相当に強かった。
「オラァ!」
「うぉ低空飛行突進⁉︎ラグビーかい?それか
ブラジリアン相撲かな?」
「んな⁉︎どんな体幹してる爺い!」
ズズズーっと道路の真ん中に出ると。
プープー。
「おい!邪魔だろ!」
邪魔なヤジが入るが二人同時に叫ぶ。
「うるせえ!」
「黙っていただきたい!」
「ヒィ⁉︎」
そこで偶々あった信号機を紅林はへし折る。
「ふ〜む,,,あそこに傘,いや俺の髪で良いか」
そうして城崎は髪を使った白兵戦闘が始まる。
「オラァ!」
「ホイ」
髪一本で紅林の全力の棍棒[信号]振り回しを
受け取る,凌ぐどころか余裕かつ完璧に捌き切る。
「なんで髪だけで受けてんだよ!もういらねぇ!」
信号をぶん投げて歩行橋をぶっ壊し倒壊させる。
「お前片親かなんかかぁ!」
そう煽る城崎。
「,,,」
「え?ありゃ?,,,」
偶々のコンプレックスを刺激してしまった。
「あ,ああ,あぁ,貴様にアドバイスしてやる!慢心は足を救われるぜ謙虚にな!な⁉︎見た目で判断する事の愚かさをs」
「ダラァ!洒落セェ!」
その覇気まさに重圧,辺りの地形を吹き飛ばす。
「マジかよ」
「こっからは百万馬力だ,武器に素手じゃなく
信号機を使っていた今が生きて帰るチャンスだったことを知りやがれぇ!!!」
紅林党座,過去が鮮明に映る。
彼の生まれはヤクザの銃撃戦が度重なる
住宅街だった。
その中に生まれた怪物だったんだ。
拳銃やライフルの弾を皮膚で弾き,戦車を破壊できるバズーカ砲すら片手で防ぎ,戦争に実践導入された旧式機関砲台No.008の砲撃をふーっと息を吹くだけで止め。
パンチ一発だけで戦車を吹き飛ばし横転
させ,銅の装甲を貫き,大砲を喰らってヒビ一つ入らない特殊加工された現代の警官の盾にも使われてる防弾ガラスを貫通して腕の骨を折る。
更に砂をぶっかけられて目潰しされても正確に敵の位置が分かる。
彼の本気は武器術じゃ無い,素手こそが紅林の
一番の武器だ!
瞬間。
「チェッリャァァァ!」
チュドバゴーン!!!足をスタンプして地形を踏み抜く,辺り一体の物体は吹き飛び宙を舞う。
準備や事前の知らせなしの急襲,残像の見える
ほどの速度で背後に回る,残像の抜け殻,,,影すら踏ませては貰えぬ。
桜の花弁が舞い落ちるまでに100回の拳を叩き込む,[百花繚乱]舞い散る花が如く直線的と
右往左往の方向から刹那の速さで対象に打撃を
叩き込む技。
だがしかし,大人の意地を見せる。
「んな⁉︎じじ,,,い?」
ポッケに手を入れ目の端にも入れないノールック状態で全て指一本で受け切る。
「天道の防ぎだぜ坊主,やりすぎだ」
[空気功撃/AIR・MASTER]
もはや空気と言う環境を武器にした武術,パンチを思いっきり音の壁をぶん殴って空気を圧縮
してぶっ飛ばす遠距離攻撃。
初めに吹き飛ばす。
「うぉ⁉︎」
宙を舞うやつに向けてバゴーン,指で点を打つ。
「カヒュ⁉︎」
バタン,心停止させて気絶させる。
「すまねぇ,な!」
バゴーン!心臓部に再度点を放つ。
心臓は動き出す。
「カハ,スー,スー,スー」
「寝てりゃ子供なんやがなぁ,,,」
こうして紅林を倒して端に寄せて,千鳥神社に
向かうのだった。