【3話 得た力の活用方法】
城崎茂は,あの事件後から復讐に満ちた8年間を過ごした,身体を鍛えて鍛えて鍛えて続けて,様々な武術を体得して居た。
「フン!フン!フン!フン!フン!」
自重筋肉訓練,毎日毎日狂ったように,24時間
腕,足,胴体,頭,何から何まで回数を気にせず
フォームを気にせず機能美を重視した限界訓練。
「殺す!殺す!殺す!」
成長期故に有り余る体力と時間だけは腐るくらいあった,気絶して,起きてすぐに訓練,気絶して
訓練,もはや死ぬに等しい訓練を積み続けた。
「水,水,水ゥ〜」
泥水時には野生動物の糞尿を這いずり啜り木の皮を齧り尽くすほどに飢餓状態,もはや筋肉は
つかない,筋と皮だけ,内蔵に水が溜まり抑える
筋肉すら残っては居ない,極限状態。
ブドウ糖に変換し続けた,体脂肪は皮下も内蔵の
脂肪も消費し切った,もはや水すら枯渇し切った,そこで初めて知覚する,自身の真髄に。
「ガッゴガ[翻訳]やっとだ」
[骨立/BONE・FOOT]喋ることすら難しい,そんな満身創痍,完全にスタミナが尽きた状態にて,骨だけで立つと言う感覚を掴んだのだ。
「はぁっはぁっ」
そこからはマジで死ぬからって虫を食って,
一度山を降りて何日間も食事療養をした。
体重が元に戻る頃,己の肉体を直感的に感じれる
様にまで成長していた。
「筋肉が,まるで波打っているみたいだ」
筋肉の繊維の一つ一つを隆起させられて肉割の
様な模様が身体全身に刻まれる,引き締め固める筋肉制御,深々と掘られた筋肉はまるで石像に
肉を削った彫物が如しスレンダーマッスルコントロール。
「フンッ!」
歯を食いしばる。
力瘤が身体全身を駆け巡るが如し膨らませて
大きな部位ごとに動かす筋肉制御,筋肉の隙間が
一切見えなくなるほどに膨張させられる
ビルダーマッスルコントロール。
「この二つを合わせて見る,,,か」
極致的精密性を必要とする肉体制御能力と
筋肉操作を必要とするマッスルコントロール。
その名は,[バルクモンスター/IMPOSSIBLE・PHYSICAL]自由自在に筋肉操作を可能と
する完璧な遅筋と速筋の比率を得た肉体,
骨立がもたらした肉体の完全な理解が
もたらした天啓,内蔵を動かしたり心臓を
止めたり脳つまりは思考回路や伝達速度,
情報処理速度を制御可能と成る。
この8年間のうちの6年間は身体の修練に勤しんだ。
「この肉体を最大限に活用する方法,,,」
そうだ,フリがいらないんだ,だからこそ他の人が振りかぶる余分な余剰空間は自身の筋肉が
リカバリー可能,ならばそれを極めればいいんだ
っとその時初めて武術体得が頭の中に浮かぶ。
「ならば僕に向いてるのは,特定の領域内の
戦闘,,,近接格闘,,,CQC!」
そこから1年間,CQCを調べて肉体を極めた,
その最中に。
「俺の肉体運用には,勁道がピッタリじゃないか!」
偶々格闘技の本を漁る際に見つけたのだ。
そしてCQCの間合いを手に入れるのと平行して勁道を体得する訓練を積み続けた,そして
最終的に体得するに至る。
「ハァァァ,は!」
チュドバゴーン!
[零寸拳/ZERO・IMPACT]
最も至近距離,拳と打撃を与える対象との隙間が
一切合切存在しない完全な零距離からの打撃,
丹田を主軸に全身を連動させて繋がる連鎖
を拳の一点にインパクトを集中させて,対象に
息を一気に吐くと同時に放つパンチ。
一撃で体長2.3m体重0.5tの山の猛者猪の
頭蓋骨を貫通して脳みそを貫通して更には
後頭部から拳が突き出る。
「ドラァァァ!ふぅ〜,,,腹圧を溜めるのが
予備動作が必要に成るなぁ,,,まぁ良いか」
勁道とバルクモンスターを流用した体術を
生み出すに至る,過去にはこんな事があった。
時は経って2000年,2月12日,32歳の城崎茂はと言うと,鍛えた肉体を活用して悪人専門の暗殺業に勤しんでいた。
「俺の弟と同じ様な悲劇は生まない」
そんな絶対的に揺るぎない信念の元,動いて
居た。
「今日もまたか,,,つまらない奴しか居ない」
暗殺業を生業としながら悪人を殺し続けた。
「死ね」
「ガハ」
「今日も明日も明後日もきっと弱いやつしか
居ないんだろうなぁ」
なんて思うが一つ彼にも楽しみがある,それは。
「瞑想〜」
脳内に再生してリプレイして幾度として強者を
猛者を叩き潰し続ける,幻想内[シャドーファイト]の
架空の格上に下剋上をし続けていた。
「何⁉︎」
「へへ!」
零寸拳が通用しない,回避されてしまうんだ。
こいつの想定は,全身の関節を外されながら
アームバランス状態,更に耳栓と目隠しされて
全身を完全に拘束されている状態から,0距離で全方位から機関銃を放たれても擦りすらしないで完璧に避けられる,偶々ではなく幾度だろうと。
「どんな回避力してるんだよお前!」
「貴様の零寸拳とやら,何がしたいんだ!」
城崎茂は脳内の戦闘を楽しんで居た。
「その体術いただくぜ!」
「そんな簡単にこの城崎茂の零寸拳は奪えな」
「フン!」
「んな⁉︎」
バゴーン,それは正真正銘の零寸拳であった。
「獄の門番,三頭犬ンンン!貴様との戦い,退屈
せんぞ!」
獄の門番,三頭犬,想定されて居る奴は,落雷すら楽々回避可能なボクサーだ。
「戦いの中で進化せねばならぬと言うわけだなぁ,,,」
そこで初めて思いつく,早打ちの要領を拡張した
ノーモーション打撃,腹圧の事前準備を敵に寄る
最中に完了させる神業。
「(そんくらいしなきゃ勝てないんだったら!)
ヤッテヤラァァァァ!!!」
そこに新たな要素を加えたパンチが完成する。
[完全零寸拳/CERTAINTY・HITTING・THE・TARGET・STRIKE]確定必中の打撃,
モーションの予備動作の必要空間すら削り
取った本質的な段階に回避不可能な一撃,
どれだけの回避力,あらゆる回避方法,その
全て無意味。
バゴーン。
「よっしゃ!当たっ,,,は?」
「おい,まさか当てたら勝てると思ってたのか?」
「ひぃ⁉︎」
バゴーン! そのパワーは凄まじく,拳一振りで辺り一面のコンクリートを割り砕いたり地震を
起こす。
[震撃/ZEARTH]
床の物質を圧縮する程のパワーでぶん殴り
地震を発生させる一撃,あたり一体の地面に
デカデカとクレーターを形成するほどの
破壊力。
「あっあああっあ」
顔面に直撃してしまった。
「はぁっはぁっはぁっはーーー,,,妄想内で
助かったぁ〜」
「地盤を陥没させるパンチ,,,か,確かに当てる
だけで勝てるなんて甘い考えかたをしていた,
奴が言った当てるだけで勝てると思うなよって
のは核心をついていた」
そこから再度山に入る。
「妄想の完全零寸拳,,,アレをモノにする,感覚は
骨立が模倣している,だからあとは実践だな」
こうして完全零寸拳を放って見るが。
「うぉあぁ!」
体幹やバランス能力が必須であった。
「そりゃそうか,一才ブレず一直接に打撃を放つ
集中力が必要なのにその隙間に腹圧の集中と
言う真逆の行動が必要なわけだしなぁ」
そんなこんなで山に到着してすぐに体幹と
バランスのトレーニングが始まる。
ピアノ線並みに細い弛む,向上な上に風で揺らぐ足場の上を棒を手に持ち,異なる質量の水入り
バケツを持ち,頭と両足の甲に紙コップ表面張力ギリギリに注がれ,口にも棒と異なる質量の水入りバケツを持ち,とにかく進む。
だがしかし。
「ウグゥ,ック,なんと言う難しさ」
感覚的な軸,筋肉じゃあないバランス,バルクモンスターでは辿り着けない領域,初めは一歩
も歩けず,すり足すら叶わなかった。
1週間後,次第にコップから水を溢すのだが,数十kmの糸の上を,渡り切れるようになってきていた。
「まだまだだなぁ,,,」
更に2週間後,既に水を一滴も溢さないで
往復で何回も渡り切れる様になった。
「よっしゃ,それじゃあ早速,完全零寸拳,
放ってみるか」
そこから放つ対象を探していた,ガサゴソ,
遠くの茂みがガサゴソと騒めく,すると山中から
巨大な影が映る。
「アレは,,,熊か?」
驚異的な視力で遠くのナニカを発見する,それは中林山岳特有の熊,ナカバヤシグマ,体長は4m,体重は3tと,平均よりやや小さいがまぁ平均的な個体だ。
「グルルル」
6から7kmと離れた位置から感じ取る匂い,
熊はこの時理解してしまう,自身は既に自身を
超越した怪物の一撃の間合いに立っていると
言うことを。
「ギャンギャン!」
その恐怖から逃げだしてしまう,だが。
「ギャン⁉︎」
その速さ,もはや見えない,なんと熊の背後に
既に居たのだ。
「やぁ,熊[オモチャ]さん」
確実に1409.6m/s約マッハ4.1は超えた速さ
だろう,,,いや間合いとは一歩の事,つまり
更に速さが必要と成るだろう。
そう言ってニッコリと笑うのは,みんなお馴染み
城崎茂君です。
CQCの間合いの歩法,領域とは近接格闘に置いて一歩で届き拳または足が当てられる意味の事,
その間合いが射程距離と成る。
「それじゃあ早速ゥゥ!」
バゴーン,放たれた一撃,それは誰が見ても
明らかな完全零寸撃だった。
バゴーン,放たれた一撃,完全不可避の打撃。
「ありゃすまねぇ」
なんとあの分厚い筋肉の装甲を一撃で貫き,
拳は心臓を貫通して更に大胸筋中央から
背骨に至る肉と骨を貫く。
「脆い熊[オモチャ]さんだったなぁ」
この日この時,遂に完全零寸拳が完成する!
ワンインチパンチを凌駕する零寸拳の
完成版が!