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「私とあんずが一緒にアイドルをするの!?」とみゅうは(すごく驚いて)言った。
「うん。そうだよ」と無表情のままで、あんずは言った。
「先生に迎えに行ってこいって言われた」とあんずは言った。
そんなあんずの言葉を聞いて、みゅうは、個性と個性のぶつかり合いだよ。同じグループだとしてもね。ライバルなんだよ。みんなね。仲間であると同時にライバルなんだ。
みゅう。あなたは優しすぎるよ。そんなんじゃ、きっといつかあなたは不幸になるよ。とても大変なことになると思う。もっと本気になりなさい。心の底から。欲しいものはちゃんとしっかりと自分の手で手に入れなさい。そうしないと夢は叶わないよ。
少し前に、そんなことをグループ練習のときにあとから呼び出しを受けて、先生に言われたことを思い出した。
みゅうとあんずはとりあえず大きな自然公園の近くにある喫茶店に入ることにした。ドーナッツとコーヒーがとても美味しいと評判のテラス席のある喫茶店だった。
その喫茶店でみゅうはいちごのドーナッツとアイスコーヒーを頼んだ。あんずはナッツとチョコレートのドーナッツとホットコーヒーを頼んだ。そのテラスの席でドーナッツを食べているときにあんずはそんなことをみゅうに言った。
みゅうはミルクをたっぷりと入れたアイスコーヒーを一口飲んで落ち着いてから、目の前に座っている無表情のあんずを見た。あんずもじっとドーナッツを両手で持って食べながらみゅうを見ている。(あんずの口元にチョコレートとナッツがくっついているのが、すごく気になった)