昔話
おまけ投稿!
僕の異能を確認した先生達は苦い顔を見せる。
どうしたんだろうか。
「どうしたんですか?」
「いやぁ」
「これは言わないほうが」
「いや言っておくべきだろう。」
先生達が何かあわてている。
何かマズいんだろうか。
「慶介くん。虚という漢字の意味を知っているかい?
中身がない。からっぽ。からにするという意味だ。
いつだったかな、二人の男女がいた。彼らのことを本当の天才というのだと思うよ。片方は狂気的なまでな努力家。片方は天性の才能を持って生まれた怪物だったな。
二人は性格が真反対でね、片方は自分は凡人だと語っている。
確かに才能自体は周りのやつより劣っているかもしれない。だが諦めずに努力する事以上に強大な才能はないんだよ。彼にはそれがあった。あれをどう見たら凡人と言えるのか教えて欲しいね。
彼は紛れもない天才だよ。
その反対でもう一人は超がつくほどの自信家で、自分が史上最高である事を疑いもしなかったな。
天上天下唯我独尊そんな言葉がよく似合う女の子だった。
彼を努力の天才と呼ぶならその努力をも凌駕しうる才能を持った理不尽の体現者とでも呼ぼうか。彼女の才覚は本当に凄まじかった。もう2度と生まれないかもしれない逸材だよ。
そんな二人だったが異能には恵まれなくてね。片方は《人》片方は君と同じ《虚》だったんだ。
彼女達はバカにされひどく落ち込んだ。
『人に人の力があったとこで結局無能じゃーん』
『空っぽで何にもないが能力?天才様もここまでか笑』
そんな言葉が彼らを嘲笑うかのように教室で飛び交っていた。
普通の人間ならそこで堕ちていくだろう。
だが彼らは他とは次元が違ったんだ。その年は豊作でね、獅や雷、毒など強力過ぎる能力者達がいたんだ。彼らには才能もあったし異能力も十分すぎるほどに強かった。
あの世代はやばかったね笑私たちの手もおえなかったよ笑
さて、ここで問題だ。その代の首席と次席は誰だっただろうか。
答えは
首席は《人》を得た彼。
次席は《獅》を得た現在NBA選手の
みんなも知っている赤城 毅だ。
赤城も強かったな。相手が悪かっただけだよ。例年なら余裕で主席だ。
まー待て。お前の気になることは知っている
気になるだろう?虚を得た彼女がどうなったかだろ。
結果を一言で表すなら
________破滅だ。
彼女は彼と会ってから努力を覚えたんだ。
天才が努力をしたら手に負えなくなる。はずだったんだ。
だが、彼女は努力をするたびに弱くなっていったんだ。文字どうり‘空っぽ’になっていったんだよ。
今まで勝ってきた人には負け、自分の能力の衰えを痛いほど感じる。それはまだ子供の彼女には残酷過ぎた。
肉体の全盛期はまだ先。彼女は近い将来最強になるはずだったが、現実は違った。
彼女の才覚は虚に喰われたんだ。凡人に成り下がった彼女は本当に弱かった。才能だけで勝ててきた分その才能に頼り切ってきた彼女は壊れた。天才はここで終焉を迎えたんだ。
彼女の卒業時点の強さは最下位だったよ。
そして君の異能はなんだい?
《虚》だろ?
まぁ厳しいね。あの天才に無理だったから厳しいとは思う。
だが私は応援しているよ。」
先生は昔話を終え半ば諦めたかのように僕にエールを送った。
いまの先生の話をようやくするとこうだ。お前の異能はゴミ異能だ。
まさかそんな最悪な異能を引き当てるとは…
だけどそんなことは関係ない。
天才にできなかった?そんなことも関係ない。
応用性。僕の憧れる《人》の異能力者はそれで成り上がったんだ。
絶対にあきらめない。
虚にだって活路はあるはずだ。
僕はただ一言。
「最後に勝つのは僕ですよ」
とだけ残し保健室を去った。
なんか教室をでる前先生達の顔がこわばっていたような…?まぁいっか!
次回 アレ