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異能

さあ今回は2人の異能が、判明?!



入学式。

そう聞いて何を想像するだろうか。

初々しい新入生?

そうじゃない。ここに初々しいなんて感じられる生徒なんて一人もいない。選ばれし歴戦の猛者だらけだ。

美人な女性教師?

これはまぁうん。否定はしない。

だがどれもこれも全然違う。  

じゃあ何かって?


答えは校長の長ったらしい話だ。

今僕は校長式辞を聞いている。正直言って眠い。凄く眠い。

周りのやつも何人か寝ている。 

だが天下の栄冠。どこで何が見られているか分からない。もう勝負は始まっている。

気は抜けない。もしかしたら大事な事をいうかもしれないとずっと聞いてはいるが、どこかで聞いたような文章をずっと喋っているだけだ。意味のない時間とはこのような事を言うのだろう。

「では最後にーー」

どうやら終わったみたいだ。


「圧倒的な勝者であれ。」


その言葉に皆圧倒された。大したことは言っていない。ただそれだけの威厳と風格があった。本能で神経が叫んでいる。寝ていたものも飛び起きるほどにさっきののほほんとした校長とは別人だった。


僕は背筋が凍る感覚を覚えた。






校長の式辞も終わりいよいよ今から異能診断儀式《gifted ability》のために別教室に移動中だ。


「少し緊張するな。」


ここでどんな異能を取得するかで僕の目的に大きく影響する。なんとしてでも強い異能《文字》を手に入れれなければ。


手を水晶にかざすと漢字一字が浮き出てくる。例えば《水》なら水に関する異能が使えるだろう。所有者の解釈によりその応用性は大きく変わる。

17年前、ある少年は弱いと思われた文字を授かりひどくバカにされていた。

少年は落ち込んだ。強い異能を得るために死に物狂いで努力してきたのだ。少年は決して天才ではない。秀才止まりの優等生。中学の先生にも栄冠行きを止められたそうだ。悔しかっただろう。でも確かに事実だった。悔しいが少年は2番手止まり。実力不足だった。ただ、人よりちょっとだけ諦めが悪かった。諦めないことは誰でもできることかもしれない。だが少年のそれは完全に常軌を逸していた。その様子を見た少年の友人は言ったそうだ


助けてあげて。____壊れてしまう、と。


少年の努力は実り無事合格した狂った努力それが奇跡を類い寄せたのだ。

沢山のを捨ててきた。だからこそ強い異能が欲しかった。


少年の得た異能は《人》


人間が人の能力を得たところでどうなるのか。

結局変化なしじゃん

無能力者


と皆が嘲笑った。

彼は忘れていたのだ。悔しさを。思い出してしまったのだ。


そして___怪物が目を覚ます。



少年は人が変わったかのように狂い努力した。これをゾーンというのか?いやゾーンにしては長すぎる。少年のそれがなんなのか誰にもわからない。そこから何があったのかは誰も知らない。ただ、1つだけの真実。それはその世代の栄冠の首席卒業はその少年だった_____。



今でも語り継がれる伝説。

この事象が物語っていることは、異能の強さだけが全てではないこと。解釈の可能性だった。



僕の憧れ。昔お母さんからこの話を聞かされずっと憧れていた。僕とどこか似ていたからだ。決して天才ではない。凡人。だがこの人はその現実を覆した。

なんてかっこいんだろうか。

僕は鳥肌が立つほどの感動を覚えた事を今でも覚えている。あの頃は良かった。綺麗なものしか見えてなくて。

僕は汚れてしまった。あの頃の純粋さなんて存在しない。

ただ憧れだけはなくならなかった。

ただひたすらに名前もわからない誰かを目指し突き進んできた。


あの人のようにはなれないかもしれないけど、僕は諦めずに努力を続けた。

そんな僕の努力が報われるか報われないかがこの瞬間にかかっている。

だからできるだけ強い異能が欲しい。

自然系でいうと雷。生物系でいうと獅のような強力な異能が。

異能取得儀式を待っていると前の方から歓声が聞こえる。



「えーー‼︎秋ちゃんやばぁ! 皆んな秋ちゃんの異能聞いた? 《神》だって。絶対最強じゃ〜ん笑まじこんだけ可愛くて、勉強出来て、異能強くて、おまけにバトミントン世界ランキング1位って笑

どんだけ神様に好かれているんだか〜笑異能も神だし」


「小薗絵さんやば〜」

「主席は小薗絵さんかな?」

「小薗絵ちゃん可愛」


僕は素直に困惑した。おいまじかよ。神?聞いた事ないって

もう強さは保証されたようなもんじゃん。

秋はすげーな。主人公じゃん。


やはり僕の元幼馴染は異能学園でも最強なようだ。




秋が助けて欲しそうにこっちを見ている。そりゃそうだ。秋は極度の人見知りだ。

入学早々初対面の人がたくさん寄ってくるのだ。そりゃあきついだろうさ。

だが僕は助けたりなんかしない。

もう関わらないと決めたんだ。



あ、次は僕の番だ。

慶介は助けを求める秋をよそに教室に入った。



「えーっとー?名前は士道慶介か!じゃあ慶介って呼ぶわ!

私生徒の名前は下の名前で呼ぶ主義なんだ!」


美人な先生に名前で呼ばれ少しドキっとする。


「まぁ〜座れ」


「これから慶介の異能を診断する。掌を水晶にかざしてくれ。」


例の美人な教師は保健室の宝城朱実先生というんだな。もう1人の先生はうーん、パッとしないな。

今男子内ではこの話題で持ちきりだ。可愛すぎる。愛くるしい瞳に魔星を感じさせる程のオーラ。整った顔立ち。今まで見た中でも2、3位を争うレベルだ。

1位?それはノーコメントだ。


僕は雑念を振り払い手をかざす。

でた異能は…


《虚》だった。

次回

昔話

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