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目神I  作者: 星
1/1

はじまり

 「ほらほら〜!さっさと死ねよ」

 バシャッ!

 苦しむのはもう嫌。

 トイレに逃げたって、バケツの水をかけられ寒い思いをする。

 嫌、こんなのは別にいい。

 嫌なのは、自分の心に傷ができていくこの虚しさとこの恥ずかしさを感じることだ。

 お母さん、お父さんごめんね。

 そうやっていつも隠れて泣くしかなかった。

 いじめるヤツの気が知れなかった。

 私は部屋の明かりを消して、パソコンをつけて、あるサイトで自分の悩みを知らない人に聞いてもらうことが日課になったいた。

 ある日、いつも会話をしていたパンダさんから奇妙なコメントが来た。

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 そのコメントにゾワっとした。

 なんで名前を知ってるの?

 私名前言ったことないよね‥

 このサイトではウサギって名乗ってるはずなのに。

 恐怖を覚えた私はパソコンを勢いよく閉じた。

 バタン!


 桜月(さつき)side

 学校に行くのは憂鬱だ。

 特に何かされるわけでもないが‥

 「見てみて日野(ひの)さんが学校に来てるよ」

 「本当じゃん」

 「今日は暇だったんじゃない?」

 「有名人気取ってるのに疲れたとか?」

 聞こえるように言ってんだろうけど、なんだかな‥

 すごい気分悪い。

 自分が言われたらどうなの?

 一人じゃ何もできないくせに。

 教室に入るとみんなの視線が集まった。

 そして、お決まりかのようにこそこそ話し始める人達がいた。

 そんな中、私に話しかける人がいた。

 「おはよう、日野さん。久しぶりね。ノートコピーしたら机の中あんなことなっちゃったんだけど‥」

 加藤(かとう)さんが指指した方をみてみると机の中に紙がぎっしり詰まっていた。

 紙が悲鳴をあげてる気がした。

 私あんなに休んでたのか加藤さんのノートの取り方に少し問題があるのか。

 嫌、私のためにノートを取ったくれたのにそんなこと言ったらだめだ。

 「ありがとう、加藤さん」

 「それはいいのだけれど、もう少し学校には来れないのか?」

 テストではいつも学年一位で、学級委員長を務め、私にも気を使ってくれる真面目な加藤さん。

 私が学校に来れないことでどんな立場にいるのかを分かって、どうにかしようとしてくれているんだろう。

 「うーん、努力はするよ」

 加藤さんは真面目で優しいな。

 ホント、ありがとう。

 加藤さんは私の目をじっと見るとそのまま自分の席に戻った。

 呆れられちゃったよね。

 だってさ、私と関わったら加藤さんまで何か言われるの嫌だから。

 「加藤さんって本当に変わってるよね、あんなやつに話しかけちゃうなんて」

 ホントにごめんね、加藤さん。

 「よー桜月〜」

 廊下の窓から顔をっひょっこり覗かせたのは

 「一軍の二階堂(にかいどう)さんじゃん」

 「ってかなんであいつ?」

 「ホントに」

 話しかけるのは仕事だけでお願いって頼んだはずなんだけどな〜

 二階堂がその要求を飲んでくれると思った私が馬鹿でした。

 「久しぶりの学校捗ってる?」

 まだ、朝のホームルームすら始まってないんですが?

 「ちょ、トイレ行きたいんだけど、一緒にどう?」

 この女!

 みんなの前でそんなこと言って恥ずかしくないのか?

 ってか、私を連れションにさそうな!

 私は自分の席から立って廊下に出た。

 二階堂にちょっと来いと誰にもバレないように合図をした。

 「なんだ〜桜月もトイレ行きたかったんだ」

 「行きたかないわ」

 「いいツッコミ」

 嬉しくないわ。

 「気使ってくれてるのは嬉しいけど、話しかけないでいいから」

 「え?」

 二階堂がキョトンとした顔をするから私も釣られてキョトンとした。

 「いやいや、私は気使ってなんかないよ〜。ただ、桜月と仲良くなりたいだけ」

 ブッリコかのように言った。

 な、なんでこんな恥ずかしいことをいとも簡単に言えるんだ。

 「桜月顔真っ赤」

 「うるさい!」

 「桜月はなんか何でも屋のみんなとは楽しく明るくはしゃいでるのになんで学校ではそうじゃないのかな〜ってちょと不思議なこともあるけど、そこがいい」

 どこがよ。

 「しかも、私ってちょっと特別じゃない!?」

 「何が、どこが!」

 「私にだけ冷たいところ」

 ドM‥

 「顔顔」

 顔が引き攣るのは当たり前だ!

 

 教室に戻るとみんなの視線がやっぱり痛かった。

 だけど、あんまり気になんなかった。

 それは多分、二階堂のおかげだと思う。


 「ただいま戻りました〜」

 リビングにつながるドアを開けた。

 「おかえり〜久しぶりの学校はどうだった?」

 「普通ですね、なんとも言えない感じ」

 「ま、久しぶりだとそうなるわよね〜明日学校行ったら?」

 「考えときますよ、美愛(みあ)さん」

 「行きたい時に行けばいいと思うよ」

 「はい」

 美愛さんはすごく優しい。

 何でも屋の最年長でリーダー。

 何でも屋っていうのは名前のまんま。

 なんでもする所。

 私はこの仕事がまあまあ忙しくて学校に行けてない。

 このことは学校の校長先生だけが知っている。

 「そうだ、今日依頼人来るから」

 「了解しました。、じゃーお茶っぱ切れてたんで買ってきますね」

 「うわ、助かるーサンキュー」

 

 何でも屋からコンビニまで約5分。

 ここまでの坂道が地味にきつい。

 「きゃー誰かーあの子が落ちそうよ!」

 その声はすぐ目の前にいるおばさんのものだった。

 その場にいる数人の視線の先には‥

 10階建てのマンションから落ちそうになって屋上の柵を掴んでいる女の子がいた。

 見た目からして年齢は小学校低学年くらいだ。

 そんな子が柵にぶら下がる力なんて‥

 「きゃー、誰かー」

 案の定女の子の手が柵から離れた。

 人が数人いるけど、何でも屋も近いことだし。

 「目に宿し水の神」

 水を糸状にして女の子の体に巻きつけた。

 女の子は無事地面に。

 ここに目神いなかったらどうなってたか。

 ほんとよかった。

 でもなんで女の子あんな所に?

 私の考えすぎかな?

 あ、やば。

 周りの人たちの記憶消してないから変な目で見られてる。

 あんなのどうやって出したのか、変なやつー的な感じで。

 

 私は美愛さんをここに呼んだ。

 「目に宿し記の神よ」

 無事に周りの人の記憶を消せた。

 これで、元通り。

 「お茶っぱ一緒に選ぼっか」

 「ですね」

 もうコンビニは目の前。

 「本当にどこで何があるのかわかんないよね」

 「ですね」

 「なんで‥」

 コンビニの路地裏から女性の声が聞こえた。

 「なんで、いやー!?」

 路地裏から出てきた女性、いや、女子高校生は路地裏を向いて膝から崩れ落ちた。

 「どうしたの?」

 私と美愛さんは駆け寄った。

 私と美愛さんは女子高校生の手のひらを見て顔を見合わせた。

 女子高校生の手のひらは真っ赤に染まっていたから。

 「それって血、だよね」

 「何があったの?」

 女子高校生は暗い路地裏を指さした。

 あの暗闇の中に何があるっていうの?

 私と美愛さんは恐る恐る近づいた。

 「何この臭い」

 「血の臭いですね」

 この距離で匂ってくるってことは。

 次の瞬間。

 「うっ‥何これ」

 「これは酷すぎるわね」

 目の前には女子高校生四人が山積みのようにされて上から下へと血がダラダラ流れていた。

 出血がひどく辺り一面は血の海だった。


 

 

 

 

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