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第四話 モフモフは世界を救う!?

「わあ……! 空を飛んでるよ!」


 さっきまでいた森が、下の方に小さく見える。それに、眩しいくらい太陽が近い。空は抜けるような青空で、全身に当たる風が少しひんやりとしていた。


「ふう……なんとか飛べたみたいだな。おれっちも神獣になったばかりなのに、なかなかハードモードだぜ」


 助かると分かってホッとしたのか、背中にいる子供たちも抱き合って喜んでいる。中には安心で泣き出す小さい子もいて、私は優しく頭を撫でてあげた。


「シロちゃん……本当に本当にありがとう!」


 私が体にギュッと抱きつくと、シロちゃんはちょっと照れくさそうな顔をした(背中からだと、よく顔が見えないけど。私には何となく分かるんだ。)


「いいってことよ。おれっちはロッティの『使い魔』だからな。ロッティもなかなか良くやったぞ」


「『使い魔』って……なに? そういえば、どうしてシロちゃんは動けるようになったの? それに、忘れてたけど……ここは一体どこなの!?」


「待て待て、質問が多すぎるぜ! ええっとだな……最初から説明すると、この世界の神は、カワイくてモフモフなものが大好きなんだ。だけどそれを作るのがすごく下手で……それで、ロッティの出番ってわけさ」


「え? 私?」


「そう。神はロッティの裁縫の腕と『カワイイものを生み出す才能』に惚れ込んで、この世界に呼び出したんだ。そして、《裁縫》のスキルを授けた。世界に一人しか持っていない、特別なスキルをな」


「そうなの? お裁縫が上手くなる力なのかな」

 

「上手くなるなんてもんじゃないぞ! ロッティが作ったぬいぐるみは、神の使いの『神獣』となって動き出すんだ。おれっちみたいにな」


 シロちゃんは少し顔を上げて、得意げな様子だ。


「すごい! みんなシロちゃんみたいに、しゃべったり動いたり出来るようになるってこと!?」


「そうとも! まあ、おれっちはその中でも特別だけどな。すっごく強いし、神の声を聞けるんだ。それにとびきりカワイイ!」


 普通、自分でカワイイって言う? って思ったけど、シロちゃんがカワイイのは私も同意だ。だって私が作ったんだもんね! もしかしたら、ちょっと親バカかもしれないけど。


「それに神獣は、魔獣の邪気を浄化する力を持っていて……まあ、難しい話はいいや。とにかく神は、ロッティにカワイくて強いぬいぐるみをたくさん作ってほしいんだと。世界がモフモフでいっぱいになれば、この世界が平和になるらしい。そうしたら、元の世界に戻してくれるってさ」


「うんうん、分かる。モフモフは世界を救うもんね! ……でも、ぬいぐるみ作るのって大変なんだよ? いっぱいなんて、いつになるのかな……」


 シロちゃん一つ作るのにも、ものすごく時間がかかったんだ。ぬいぐるみ作るのは大好きだけど、おばあちゃんになっても元の世界に帰れないかもしれない。


「そこは大丈夫だぜ! 《裁縫》のスキルがあるんだから。思いのままに、ちょちょいのちょーいで作れるんだ! まあ、素材や魔石集めがすこーしだけ大変だけど……」


 シロちゃんの最後の言葉はよく聞こえず、私はワクワクに胸を躍らせた。


「ほんと……? 好きなぬいぐるみが、思った通りに作れるってこと?」


「そうだぜ! ロッティ、お裁縫やぬいぐるみが大好きだろ? この仕事、引き受けてくれるかい?」


 そう言うと、シロちゃんは地上の方に急降下し始めた。いつの間にか、視線の先に町のようなものが見え始める。良かった、本当に助かったんだ!


「うん、私やってみるよ。頑張って、たくさんぬいぐるみを作る!」


 その言葉にシロちゃんはニッコリと笑って、小さな手を差し出した。私はその手をギュッと握って、しっかりと握手をする。

 

 この時私の胸にあったのは、少しの不安と大きなワクワク。

 魔法の世界で思うままにお裁縫をして、たくさんのぬいぐるみとお話したい! あわよくば、モフモフを堪能しちゃったりして……うふふ。


 そんな気持ちで、軽く引き受けてしまったけれど……この時私は、思いもしていなかった。

 

 まさか私が、ぬいぐるみ作りのために、世界中を巡る旅に出るなんて。

 そして本当に、モフモフで世界を救ってしまうなんて!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!


こちらの作品は、短編児童小説コンテスト応募用の作品です。

もし好評なら、選考に関わらず続きを書きたいなと思っているので、

少しでも続きが読みたい!と思って下さった方、面白かった!と思って下さった方は、

フォローと評価、感想などいただけますと、とってもとってもうれしいです……!


改めまして、お読みいただきましてありがとうございました。またロッティと一緒にお目にかかれる日が来ますように…!

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