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【29】発表会-2

 レシリアの番になったのだが、レシリアはどこかうーんと唸りながら何やら考えている。いつもであれば、パッと始めるのに今日は何やら問題があるようだ。


「どうしたの?」


「うーん、それがね――――」


 レシリアが言うには練習したのは毒治療(ポイキュア)とのことで、感覚的に上手くいっているとは思うけど毒に侵された人間や動物に試したことがないそうだ。そのため、毒治療(ポイキュア)が本当に成功しているのか分からないとのことであった。


「なんだ、そんなことか」


 俺は毒針(ポイズンニードル)を発動させると、魔力でできた毒針(どくばり)を掴んで自分の腕に刺した。


「ちょっと!!何やってんのよ!!」


 レシリアは慌てて駆け寄って俺に毒治療(ポイキュア)を唱える。すると、毒針(ポイズンニードル)の毒で青紫に変色していた俺の肌が少しずつではあるが肌色へと戻っていく。


 数秒も経つと俺の腕もすっかり元の色に戻り、先程まで感じていた指先の痺れも無くなっていた。


「おぉ、ちゃんとできて……」


 パチンっと乾いた音が響く。俺の両頬がレシリアの両手で挟まれたという状況を把握するのに数秒かかった。突然のことで驚きつつもレシリアの方を見てみると、今までに見たことがないほど怖い顔で俺のことを睨んでいる。


「……シェイド」


 あ、これはとんでもなく怒っているなと声色ですぐに分かった。


「はい……」


「……私が怒っているの分かるわよね?」


「はい……」


 変に言葉を返しても余計に怒らせるだけなので、ただただ俯いて、はいとしか返事をするしかできない。


「……何で怒っているのか分かる?」


「はい……」


「……じゃあ、何で怒っているのか教えてよ」


 今までの自分の行動からすると……。


「……俺が自分の体に毒針(ポイズンニードル)を刺したからですか?」


 一応、毒の量も大した影響が出ないように調整したし、自分でも毒治療(ポイキュア)を使えたし対策は出来ていた。


「……正解」


「でも!!」


 言い訳をしようと顔を上げたのだが、レシリアの顔を見た瞬間、口にしようとした言葉を飲み込んだ。


「……でも?」


「いえ、なんでもないです……」


「……そう」


 しばらくの間俺とレシリアの間には沈黙が流れた。ガレント達に助けを求めようとチラッと横目で見てみるが、2人とも俯いてまったくこちらのことを見ていない。


 2人とも助けてくれよぉ……。特にガレント!!


 4人の誰も言葉を発さない気まずい雰囲気の中、ただただ時間が過ぎるのを待っていると、


「……はぁ」


 レシリアは大きくため息をついた。


 また何か怒られるかと思って恐る恐る顔を上げてみると、レシリアの顔は先程とは違っていつもの優しい顔に戻っていた。


「……もうやらないって、約束してくれる?」


「はい……。今度からはちゃんと相談しま……」


「そういう問題じゃないでしょ?」


 食い気味に俺の言葉を遮ってきた。


「はい、もうしないです……。多分」


「ん?何か言った?」


「いえ、何も言ってないです!!」


「ん、それじゃあ、約束は守ってね」


「はい……」


 何とかレシリアに許してもらえたようで、ようやくこの居心地の悪い空気から解放された。


「次はシェイドだから頑張ってね」


 レシリアは俺の肩をポンっと叩いてガレント達の元へと歩いていく。何もしていないのにどっと疲れたが、気持ちを切り替えて自分の発表の準備をすることにする。といっても俺の発表はそんなに派手なものではないため、コッソリと仕込んでおいた。


「ガレント。ちょっとこっち来て」


「ん?ああ、いいけど……」


 ガレントは不思議そうにしながらもこちらに向かって歩いてくる。はめられているとも知らずに。


「いったいどうしたんだ……」


 ガレントがある場所に足を踏み出した瞬間、その場で膝をついた。


「え!?」


 スレイアとレシリアは突然のことで訳が分からないといった様子で、口をポカーンと開けていた。上手くいったことを確認した俺は、ガレントの元へと歩いていく。


「大丈夫か?ガレント」


 ガレントに手を当てて麻痺治療(パラキュア)をかけると、ガレントはゆっくりと立ち上がる。


「なんだ?今の……」


 ガレント自身も自分に何が起きたのか訳が分からないといった様子であったため、3人に今起きたことを説明することにした。


「今のは電撃地雷(サンダーマイン)っていって、生き物を捕獲するのに役に立つ魔法なんだよ」


「ふーん」


 今までの魔法とは異なり、攻撃というよりかは罠に近い魔法ということでガレント達は不思議そうにしていた。


「へぇ……。魔法ってこんな使い方もあるんだねぇ」


 剣術にしか興味が無いガレントは興味なさそうではあるが、スレイアとレシリアは興味津々といった様子であった。


「……これって、難易度何なの?」


「これは……、確か2だったかなぁ」


「やっぱり難易度が2ぐらいになると色々な種類の魔法があるんだねぇ……」


 スレイアの言う通り、難易度が上がっていくほど魔法の種類も様々なものになる。実際、今回のような罠系の魔法は難易度1には無かった。ただ、その分習得まで難易度1とは比べ物にならないぐらい難しくなってくる。


「私も早く難易度2に挑戦してみたいなぁ」


「レシリアならすぐに覚えられるよ」


「そうかなぁ……」


 レシリアはどこか不安そうにしているが補助術師という特性のこともあり、補助魔法に関する習得は俺よりもかなり早い。そのため、補助魔法であればすぐに難易度2も習得するんだろうなぁと思っていた。


「そうだよ。レシリアは補助魔法に注力しているし、すぐに覚えられるよ。俺も手伝うし」


「ふふ、そうね。シェイドが」


 こちらに微笑むレシリア。なんだか照れくさくなってしまって慌てて話を逸らす。


「そうだ、ガレント。あのスキルだけど……」


 その後は発表したお互いのスキルや魔法について話したり、今後やりたいスキルや魔法の話をしたり、日常の何でもない話をしたりして発表会は終わった。

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