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【23】新たなる発見

 両親や幼馴染達に秘密を打ち明けた時のことを思い出していると、


「ちょっと、どっか行っちゃったわよ?」


 リーシェに声を掛けられてハッとする。どうやら、ボーっとしている間にビッグボアは何処かに行ってしまったようだ。


「あー、ごめんごめん。ボーっとしてた」


「まったく……」


 リーシェとテラリィに謝りながら立ち上がると、他の魔物を探すために森の奥へと入っていった。


 魔物を探しながら森の中を歩いていると、リーシェが急に俺の顔の前に立った。突然のことでビックリして立ち止まっていると、リーシェはジーっと俺の目を見ているようだ。


「……不思議ねぇあんたの目」


「まぁ……そうだね」


「聞いたことないわよLvなんて」


 リーシェが言っているのは、俺が最初から見えていた名前の隣にあるLvのことであろう。というのも、魔物を狩るようになってから気が付いたのだが、このLvというものは魔物を倒すことで上がっていくようであった。そして、HPやMPが見えるようになった時の経験から、HPやMPなどその存在を認識することで、新しいものが見えるようになると思っていた。しかし、どうやらLvが上がることでも見えるモノが増えるということに気が付いた。


「でも、困ることはないだろ?」


「確かにそうだけど……」


「ならよしだ」


 そう言って、リーシェを胸ポケットの中に入れると再び歩き出して、森の中を進んでいると再びビッグボアを見つけた。


「あれは……多分さっきのやつか」


「魔物の個体を見分けられるなんて、相変わらずすごいわね」


 やれやれといった様子で、呆れ気味にそう言うリーシェ。何で、さっきのビッグボアと同じ奴だと分かったのかというと、それは俺の見えているものが関係している。どういうことかというと、生物にはそれぞれ力の強さや足の速さといった能力が数値化されているようで、その数値を見ることで個体を見分けられるようになった。


「しかも、見えなく出来たりもするんでしょ?」


「あぁ、なんか、練習してたらできた」


「それが、意味わかんないのよ!!」


 見えるモノが増えてうっとおしいなぁと思っていたある日、消えろ消えろと念じていたら本当に消えてしまい、焦って戻れ戻れと念じると再び見えるようになった。それを繰り返しているうちに自由自在にステータスボードを消したり、戻したりできるようになっており、今となっては好きな時に好きな相手だけを見ることが可能なほどにまで成長していた。


「また見失っても困るし、無駄話はここまでにしとこうか」


「無駄話って何よ!!」


 リーシェの抗議を聞き流しつつ、ビッグボアまで一気に間合いを詰める。魔物を狩るのにも慣れたもんで、一瞬にしてビッグボアの命を絶った。


 ビッグボアの死体をテラリィが食べている横で休憩をしていると、ふと父さんの言っていた話を思い出す。父さんが言うには、この森にいるのは比較的弱い魔物だそうで、ここにいる魔物よりもはるかに強い魔物が存在しているのだという。


「戦ってみてぇなぁ……」


「……急に何よ」


 変なモノを見るかのようにこちらを見てくるリーシェ。


「ん?あぁ、声に出てた?」


「戦ってみてなぁって……。あんたあれね、あのー、そう!!戦闘狂(バトルジャンキー)ってやつね」


戦闘狂(バトルジャンキー)?ハハハ、そんな訳ないじゃないかぁ。ただ、強い敵と戦ってみたいだけなのにぃ」


 そう言う俺のことをリーシェはジトーっと見つめてくる。


「ふーん?三度の飯より?」


「強敵との戦い」


「心(おどる)る戦闘は?」


「命ギリギリの戦闘かな」


「そういうところが戦闘狂(バトルジャンキー)だって言ってるのよ!!」


「ハハハ、冗談冗談」


 そんなやり取りをしているうちに、テラリィの食事が終わったようでこちらに戻ってきたため、再び森の中へと歩みを進めた。


 しばらく森の中を静かに進んでいると、無言の状況に飽きたのかリーシェが話しかけてくる。


「しっかし、シェイドも大変ねぇ。こんなに魔物を狩るなんて」


「まぁ、テラリィのためだしな」


「それもそうね。でも、大きくなったわねぇテラリィ。契約した時はこんなだったのに」


 そう言って指で大きさを表現するリーシェ。


「そんな米粒みたいにちっさくは無かったぞ?」


「もう!!馬鹿にして!!小さかったってことを表現しただけに決まってるでしょ!?」


 ポカポカと叩いてくるリーシェを笑いながらなだめようとしたのが悪かったのか、リーシェは()ねてしまったようで、胸ポケットから出るとテラリィの背中に座った。


 でも、確かにテラリィと契約した時よりも2、3回りほど大きくなっていた。週に何度も森に行くのは大変であったが、新しく覚えたスキルや魔法を試せるのはもちろんのこと、テラリィの成長のことを考えると苦ではなかった。


「テラリィって契約前が本来の姿なの?」


 ふと気になってテラリィに尋ねてみる。


「本来の姿とは?」


「えーと、何ていうのかな。最終形っていうのかな?あの姿以上には進化しないの?」


 そう言うと、テラリィに俺の言いたかったことが伝わったようで、テラリィは小さく何度か頷いた。


「あぁ、そういうことでしたか。でしたら、答えは否です」


 テラリィが言うには、契約前の姿から変わることはあるが、それがどんな姿か分からないのだという。人間の姿になるかもしれないし、竜の姿になるかもしれないが、本質的には聖獣ということは変わらないとのことだ。


 聖獣って不思議だなぁ……。学校に通うようになったら調べてみてもいいかもな。


 学校に行ってからやりたいことリストの1つに聖獣について調べると記した俺は、あることを思い出してリーシェの方を見る。


「そういえば、リーシェは進化しないのか?」


 前にはぐらかされてしまったことを思い出した俺は、ちょうどいい機会だと尋ねてみるが、


「……」


 どうやらまだ拗ねているようで、リーシェはそっぽを向いて何も答えないでいる。


「……俺が悪かったから、機嫌直してくれよ」


「……」


 その後きちんと謝ってみるも、リーシェは無視し続けおり、テラリィはオロオロとしていたが特に何かを言う訳でもない。ここで、土下座する勢いで謝罪しても良かったのだが、変にプライドが邪魔してしまって普通の謝罪をすることしかできなかった。


 仕方ないか……。


 こうなってしまってはしばらく話してくれないなと、諦めることにした。以前にもこういったことがあり、その時もしばらくすると機嫌が直っていたため、今回もそっとしておくことにする。


 そんな状態の中、森の中を歩いているとお腹が空いてきたため昼休憩を取ることにした。

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