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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第3章
88/102

陰の呪詛 陽の符巫

こんばんは( ´ー`)


後、5話ほどで終われるかなーと思って書いてたのですが、もう少しだけ増えそうで‥‥‥まとめきれなくて(´Д` )


素人で、プロットもなく書いてるもので‥‥‥(_ _(--;(_ _(--;


ということで今夜はとりあえず2話投稿させていただきます。


皆さんの気晴らしになってくれたら嬉しいなー。

「島田先生、ミチルたちが蓮津姫と那津姫の物語を演劇にしたものを今、見てきました。」


 馬白はテーブルを挟み正面に座っている島田の表情を窺ったが、島田にはその事に対して特に何らかの懸念は持っていないようだ。 


「ああ、あの牧野家のお嬢さんが我が校にいるとは私も知らなかった。あの郷土研究家で古文書コレクターのお孫さんが脚本を書いたそうだね。」


 実際、島田はのばらの存在は知っていたがあの牧野家の娘だと知ったのは錦鯉研究部の演劇の噂が流れてきた先月10月初めの事だった。


「錦鯉研究部の演劇には特に問題は無いよ。藩主について詳しいことは語られていない。それよりも牧野氏の真意がどこにあるのか知りたい所だ。どこまで知っているのか。」


 島田は眉間を押さえた。


「戦争時に失われた物もあるが、残ったあの姫たちに関する古文書はほとんどあの牧野大鏡(だいきょう)氏が収集してしまっている。だからこの街の図書館にすらない。たぶん、他にあるのはここにある蓮津姫がしたためたあの落花生の菓子レシピの巻物と‥‥‥‥‥君のあれと。‥‥‥‥‥例の対の巻物は大鏡氏が持っている確率が非常に高い。」


「‥‥‥‥‥私の持つ落花生(おかき)城藩主清瀬川里見が今際(いまわ)(きわ)に記し遺した『(いん)の呪詛の巻』。私があの時‥‥‥‥霊界に落ちた時に図らずも受け継いだことは島田先生とユミしか知らない。それと行方知れずの『陽の巫呪(ふじゅ)の巻』が揃えばこの我々の郷土は外部からの、特に政権中央からの横暴と呪詛に対する守護をさらに強固にするでしょうね。揃えばまだ知り得ぬ魔力が発揮されるかもしれませんね!」


 馬白は高ぶった声で言った。



 不意に図書準備室の扉がノックされた。


「島田先生‥‥‥‥土方さんと密談ですか?」


 地衣が中からの返事を待たずドアを開けて入って来た。


「地衣先生!」


 島田がガタンと立ち上がった。

 馬白も立ち上がると声がした方に振り向いた。


 地衣は周りはかまわず馬白をまっすぐに見た。


「‥‥‥‥‥私はいつも錦鯉研究部を、この学校全体を看視していましてね、土方さん。これは殿のご意向ですよ。あれを恣意的に使ってはならない、と‥‥‥‥!土方さん、あなたは利己的なお考えで陰と陽を手にしようとしてはならない!殿がそれを遺したのは私憤と郷土愛からなのです。殿は今となってはそれが緩やかな加持(かじ)となりこの地を加護することを望んでおられるのだ。あれには城主としてはあるまじき私情の怨念が含まれてしまっているのだから危険この上ないものだ。」


「あなたは一体‥‥‥‥‥?」


 馬白は後ろめたさから来る内心の狼狽を隠し、島田と地衣を交互に見た。


「私は普段は滅多なことでこの学校での出来事に口は出さぬ。ただ、見守るのみ。だが、土方さん、あなたの野心が先ほどからやけに肥大し出したのを感じましてね‥‥‥‥。」


 地衣は険しい表情で馬白を見据えた。



「彼はね、知られざるこの学校8番目の不思議でね、幻の生徒ならぬ幻の教師でね。」


 島田が地衣をちらりと見た。


「彼は清瀬川家が断絶させられ、当主の里見が失意で亡くなった時、中央への抗議のため切腹して殿の後を追った殿の寵臣さ。」


「では、殿は私にこのままただあれを損なうことなく護りつづけていろと?私が陰と陽を揃えてはいけないと言うのですか?」


 馬白は地衣に刃向かうような目つきになった。


「そうです。今のままでこの地の加護は十分なのです。この地の平穏が侵されぬ限りは。」


「そんな‥‥‥‥(いん)の呪詛の巻と陽の巫呪(ふじゅ)の巻を揃えられる絶好のチャンスだというのに!牧野氏はあの書の力を知らないまま保管しているに違いないのに!」


 馬白は目論見が外され納得できない。


「あなたの力では呪詛の制御も防御も出来ないでしょう?あなたに扱えるものではない。土方さんはただの人間に過ぎないのだから。」


 地衣からは目には見えぬが馬白を威圧する霊力が出ている。


 馬白は気圧されぬよう耐えた。


「馬白さん‥‥‥‥無理よ。私たちリスクを侵してまでこれ以上望むものなどなにもないわ‥‥‥‥‥私はこのままで十分幸せなのよ‥‥‥‥お願い。ミチルとココに呪詛がかかってしまったらどうするの?」


 ユミが怯えている。


「‥‥‥‥殿のご意向なら仕方がないでしょうね。」


 馬白の一時の我欲は圧伏させられた。



 霊界の力は現世の力を圧する。

 現世の原動力の源である霊界の神気にかなうわけはないのだ。



「まあ、その辺にしておいてください、地衣先生。馬白くんもわかっている。我々生きた人間は霊界生物の後ろ楯を持つ人間の霊の力にかなうはずなどないことを。」


 島田は馬白と地衣を苦笑いしながらとりなした。


「ねぇ、馬白くん?そうだろう?君はもう(いん)の呪詛の巻を所持しているだけで十分な恩恵を受けているはずだ。君たちの身なりを見ればわかる。」


「‥‥‥‥はい、そうですね‥‥‥‥。私はこの牧野氏の孫娘に関わったという

 思わぬ偶然に浮き足だってしまったようです。」


 馬白はこの場ではもう何も言うべきではないと判断した。

 ユミが憂わしく馬白を見た。



「さあ、この話はこの辺にしておきましょう!今は平和ですからね!たいした呪詛は受けてはない。だから、今日は()()も勢揃いしそうですよ。ふふふふっ。」


 島田は重くなった空気を一掃するかのように笑顔で言った。


 それを受けて地衣も意味ありげに含み笑いをしながら言った。


「はい、彼らも退屈してますし、たまにはいいんじゃないですか?島田先生。ここは城の跡地ですからね。不思議なことも起こりますよ。そりゃね。」


「ああ、今日は我が校のお祭りですからね。二十何年ぶりかに馬白くんとユミさんにも会えましたし‥‥‥‥‥あの秘蔵の松ぼっくりを一つ使って見せようか!後でおたのしみにね、馬白くん、ユミさん!」



 地衣が開け放った図書準備室の扉から図書室に向かって島田が言った。


「そこにいる名波くんも。わずかな一時だけだが真夏多さんに会えるだろう。私は彼女に頼まれたが、あれから君のことはあえて彼女には知らせていなかった。本当は僕は君に彼女に関わって欲しくはないからね。」



「えっ!ミアちゃんと名波索って?ふたりはどういうつながりなのです?」


 馬白はまさかミアが、この誰もが知り得ることができる訳ではない世界の住人とつながりがあるとは思わなかった。


「ええ、恋仲ですよ。」


「えええっ!」





「パパ、ママ。どこ?」


 濃濃夜(ここや)が図書室の入口で大きな声を出した。


「ココが戻ってきたわ。」



 ユミは立ち上がって島田と地衣に一礼すると図書準備室を出た。


「ああ、島田先生、地衣先生。娘の濃濃夜(ここや)を紹介します。」


 濃濃夜(ここや)が、たたたっと馬白の下に来た。


「パパー!文化祭って楽しいね!ココまだ見てない所がたくさんあるから一緒に行こうよ!」


「ああ、行こう!でもまず、ご挨拶してからだよ。‥‥‥‥こちらがパパの高校生の時にすごくお世話になった島田見影先生だよ。そしてこちらがここの先生の地衣先生だ。」



「こんにちは!島田先生、地衣先生。私は土方濃濃夜(ここや)です。えっと、小さいけど小6です。特技は‥‥‥‥うーん、ミッくんいじりかな?お兄ちゃんはわかりやすいから簡単。でー、趣味はお姉さんかな?うんそうだね。そうそう。」


「こんにちは‥‥‥‥後半はよくわからなかったけど、濃濃夜(ここや)さんは楽しくて面白い子だね。」


「こんにちは、濃濃夜さん。そうですね、これは‥‥‥‥島田先生!濃濃夜さんのオーラはてっぺんがほんの一部妙にねじれて黒ずんでいますね。那津姫様もそうだ。きっとこの子も目端のきく子どもなのでしょう。将来が楽しみだ。」


 地衣が興味深そうに濃濃夜を見た。島田もうむうむと地衣に頷いた。


 そんな高校教師ふたりを濃濃夜は見上げて言った。


「私の方こそ先生たちの言ってることよくわかんないよ!それって褒めてるの?オーラがなんとかってさ、大人なのに‥‥‥‥中2なの?あの(やまい)、こじらせちゃうと本当に治りにくいんだね。」










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