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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第2章
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ナイト メーテル 再び

 雅秋の前に現れた女子生徒は、リアスにつかみかかっている雅秋に言った。


「いけないよっ!拳を出しては。先輩は指定校推薦がかかっているんでしょ!」


「なんだよ?いきなり超リアルを突きつけて来やがって!それに何でお前がそんなこと知ってんだよ?‥‥‥‥‥お前は誰だ?」


 雅秋は思わずリアスのネクタイを放した。


 女子生徒はその隙に雅秋とリアスの間に割って入った。



 リアスと中村は女子化したミチルを知っている。


「お、おい、何してんだよ?ミ‥‥‥‥」


 突然現れた女子化したミチルに戸惑うリアスの声を遮るように女子生徒は名乗りを始めた。


「黙りなさい!ザッカリー!僕はナイトメーテル! えっと、僕はこの世界からバイオレンスをイリミネートするため‥‥清廉なるホワイトローズのフォースを得て生まれしプラウドソルジャー‥‥‥ミチじゃない、ナイトメーテルだ!」


 ナイトメーテルは妙なポーズを決め、静止した。 


「おっ!それは俺と中村とこの前練習したやつじゃん。ここ肘をもっとこう、上に上げて、うーん、足はもうちょい斜めのほうが決まってるぜ。」


 リアスが指導した。


「黙って!ザッカリー。」


 メーテルがリアスを厳しくたしなめた。


 雅秋が青ざめて言った。


「‥‥‥‥てっきり、雪村の泥沼の妄想だと思っていた‥‥‥‥。実在してたのか?ナイトメーテル‥‥‥。」



 いつの間にか戻って来ていた中村が言った。


「ホワイトローズじゃだめだ!なんでレッドローズのフォースって言わなかったんだよぉ。ミチ‥‥‥‥じゃない、メーテル!」


「えっ?何で?何がダメだったの?」


 メーテルが焦った。


「座家の今日のラッキーアイテムは赤いバラなんだぞ!」


「‥‥‥‥知るわけないよ、そんなこと。」


 ダメ出しされたメーテルは困惑した。




「‥‥‥‥‥‥おい、お前ら‥‥‥‥ずいぶん仲良しだな?」


 雅秋が目を細めてリアス、メーテル、中村を順に見た。


「何やってんだ?おまえらふざけてんのか。」


 眉間を寄せて雅秋が言った。


「ふざけてなんか!僕はこの対決を止めるためにここに‥‥‥ダークマターよりダークエナジーが勝ちすぎればこの世界、いや全宇宙は凍りついてしまうんだ!ラブアンドピース、こんなことはもうやめてっ!」


 メーテルは訴えた。


「‥‥‥‥‥お前らまで‥‥‥まさか‥‥かかっていたとは‥‥‥‥これに特効薬はないらしいからな‥‥‥。」


 雅秋は額を押さえて苦悩の表情になった。



「‥‥‥‥まあいい、俺がリアルに戻してやる。」



 イケメンフェイスを斜に構え、雅秋はミチルを視線でとらえた。

 ずばっとナイトメーテルを指差した。



「ナイトメーテル‥‥‥‥‥俺の鑑別能力と審美眼を甘く見るなよ。俺はいみじくも美術部元部長だ。造形をとらえる能力はなー、人一倍なんだぜ?特に人の顔にはなっ。」



 雅秋に鋭い視線を向けられたナイトメーテルは後ずさった。


「うっ‥‥‥‥‥僕は‥‥‥‥‥‥。」


「‥‥‥‥‥すこぶる美少女になったじゃねーか、なぁ、ミチル。」


 雅秋がうすら嗤いを浮かべた。


「うっ‥‥‥‥バレバレだったのか!」


 ミチルは怯んだ。


「さっさと消えた方がいいぜ?‥‥‥‥座家はな、俺を怒らせるそれなりのことをした。自業自得だ。」


「でっ、でも、先輩とザッカリーの間に何があったのか知らないけど‥‥‥で、でもミアは甲斐先輩がザッカリーを殴ったりしたらきっと‥‥‥‥、たぶん先輩のもとを去っていくと思う。僕。」


 ミチルがおどおどしながら上目遣いになって雅秋に言った。


「‥‥‥‥ミアのこと、わかったように言いやがって!」


 雅秋が憎々しげにナイトメーテルことミチルを睨んだ。



 そのまま両者に緊張の沈黙が続いた。



 ふと、4人のスマホが同時に鳴った。




「何だろ?」


 中村がスマホを確認した。


「あれ、錦鯉研究部のグループに何か来てる‥‥‥‥のばらさんからだ‥‥‥‥ええっ、そうなんだー。へー、真夏多さんさすがだなー。」


 中村が感心している。


「ミアがどうしたんだよ?」


 リアスが聞いた。


「あ‥‥‥っと、自分で見ろよ。」


 リアスより先にスマホを取り出してメッセージを見た雅秋からイライラのオーラがにじみ出た。


「くっ!‥‥‥‥あいつ‥‥‥!座家、続きは今度だ。」


 雅秋はそう言い放つと、荷物を持って校舎の方に向かって走って行った。




「あれ、行っちゃったよ?」


 メーテルことミチルがリアスと中村の顔を見て不思議そうに言った。




「‥‥‥‥‥‥‥中村ぁ~。」


 リアスが両腕を広げていきなり中村に抱きついた。


「甲斐先輩こえー!マジびびったー!」


「何だよ?今までふてぶてしい顔してたくせに。」


 中村が安堵を込めてあきれたように嗤った。


「俺、めっちゃ演技してた。」


「‥‥‥‥‥でも、かっこよかったぞ、座家。」


 中村がつぶやいた。





「ねぇ、何で甲斐先輩行っちゃたの?」


 ミチルが聞いた。


「スマホ見てみろよ。」


 中村が言った。


 ミチルはポケットからスマホを取り出した。


 のばらからメッセージが来ている。



『甲斐雅秋とミアちゃんが別れたという噂が広がっているでしょう。』


『早速なんだけど、今、中庭で、ミアちゃんが告白されているみたい。』


『私のよく知ってる人から。なかなかお似合いよ。私も応援しようかしら。』






「僕はとにかく、生物室に戻るよ。制服を池中さんに返さないといけないし。」


 ミチルがスカートをお姫様のようにつまんで言った。


「マナカが言ってた防御魔法ってナイトメーテルのことだったんだな。」


 中村が言った。


「うん、池中さんに昼休みに急に頼まれて。僕がザッカリーとヒトミの盾になるために来たんだ、。池中さんも後からここに来るって言ってたんだけど‥‥‥‥どうしたんだろう?」


「なら生物室にいるんじゃねーの?俺たちもミチルと一緒に行こうぜ、座家。マナカに礼を言わないとな!」




 その頃マナカは靴箱手前の廊下で、8組の砂区愛ら、3人に囲まれてインタビューを受けていた。

 メイク道具をかたずけてから西の石垣9の松に向かおうとしていた所を呼び止められてしまった。



「‥‥‥‥だからー、何度も言ってるじゃん。ヒトミも土方くんも、座家くんもただの部活の仲間だから。みんな仲良しの友だちだってば。」


 マナカは先ほどから何回もそう言っていた。


「だって、ヒトミは、池中さんのことまるで自分の彼女みたく言ってたよ?」


 砂区が最も聞きたいことの核心に触れた。


「そ、そうなの?」


 マナカはドキッとした。


 ーーー確かにヒトミは気の合う大好きな友だちだけど。もしかしてヒトミは私のことを?


「そうなんでしょ?」


「それは‥‥‥その‥‥‥。」


 ここで全否定したらヒトミに恥をかかせてしまう。


「えっと、そういうことは人に言うつもりはないから。」


 マナカはそう言うと砂区たちを振り切って逃げ出した。



 西石垣手前までいくと向こうから中村とミチルとリアスの3人がこちらに歩いて来ているのが見えた。


 マナカがぴょんぴょん跳ねながら手を大きく振った。


 中村がひとり抜け出して走って来た。


「マナカー!」


「ヒトミ!みんな無事じゃん。よかったー!」


「マナカのおかげさ。サンキュー!」


 中村はマナカを見て嬉しそうに笑った。


 マナカは中村の笑顔に、先ほどの砂区の言葉を思いだし、なぜかほほが火照ってしまった。








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