ラッキーアイテム
柊也は西の9の松で、リアスを煙に巻くことに成功した。
ーーー座家君、いつ気がつくのかなー。騙されたって気づいた時の顔を
想像すると快感だなー。うふっ。
柊也は機嫌良く、顔をさらしたまま教室に戻って行った。
ルイマはリアスと柊也の話が気になってまだ教室に残っていた。
もう、残っている生徒は日直の二人の白玉と神宮寺と待っていたルイマだけだった。
「柊也、待ってたのよ。」
ルイマは柊也が教室に入るなり声をかけた。
「なーに?キリルぅ。僕にそんなに会いたかったのー?ほんの30分ぶりじゃん。」
そう言いながら柊也は自分の席に戻り机の中身を取り出し帰り支度を始めた。
「ねぇ、何の話だったの?ミアに関係あることでしょ?」
ルイマは柊也の前の席の椅子に横向きに座った。
「別に大したことは話してないよー?座家君に僕のフィロソフィーを教えてあげてたんだー。体験型で。結構楽しめたんじゃないかな?座家くん。題材もよかったし。素材の音声もね。」
柊也は荷物をまとめながら言った。
「‥‥‥‥何言ってるのか意味不だわ。」
不満顔でルイマが柊也を見た。
「ふふふっ。」
柊也は意味深な笑みをこぼした。
日直の白玉が神宮寺に言った。
「じん君、先帰っていいよ。日誌は私、先生に出しとくから。」
「あざー。じゃあ、お先ー!キリル、磯部、さいならー。」
「ばいばーい!」
「お疲れー。」
ルイマと柊也は手を振った。
神宮寺は教室を出てさっさと行ってしまったが、日誌を抱えた白玉は戸口で振り返った。
「ねえ、電気消すよ?お二人さん。いい?」
「あ、ごめんね。いいよ、消して。お疲れー。」
ルイマが手を振った。
「ごめーん。白玉さーん。また明日ねっ!」
柊也が微笑んで手を振ると白玉も手を振った。
「久々に見たー。磯部くんの顔さらし。今日は今から何かあるの?切取さん、ばいばい!ふっふ。」
白玉はにやけながら教室の電気を消して出て行った。
「‥‥‥まったく、白玉さんは下世話だなー。やだやだ。」
柊也は大きなため息をついた。
電気を消した教室は少し薄暗くなった。
放課後のふたりきりの教室。
だだそれだけで教室の持つ雰囲気はがらりと変わってしまう。
そしてそんな雰囲気の中ではつい心の秘密だって打ち明けてしまうことだって‥‥‥‥。
ルイマと柊也はふたりきりになった。
白玉が行ってしまうのを確認するとルイマは言った。
「ねぇ、ちょっとくらい教えなさいよ!柊也もザッカリーも何こそこそしてんのよ?そんなに私には言えないことなの?ミアも休みなんて!私だけ仲間外れで何が起こっているのよ?ひどくない?」
ルイマは今朝からの落ち着かない雰囲気に飲まれ、普段より気が立っていた。
柊也は穏やかな微笑みで言った。
「‥‥‥‥‥ねぇ、僕知ってるよ?キリルは座家君のこと好きなんでしょー?だからそんなに僕たちの話を気にしてるんだよねー?」
ーーーさあ、始めるよ!キリル。
「は?何を言い出すの?私の聞いていることとは違うでしょ?」
ルイマはムッとして柊也を見た。
「今は誰もいないんだから言っちゃいなよ。僕、キリルと座家くんってすっごく似合うと思うんだよね~。素直になりなよー。僕わかってるから。僕たち友達じゃん。」
ーーーキリル、食いついてこいよ。ほらほらー。
「べ、別にそんなんじゃないわよ。私は‥‥‥。それにザッカリーはミアのことを‥‥‥‥。」
ーーーだからさー、僕それが許せないんだよねー。座家君が僕の真夏多にまとわりつくなんて。あんなカスが。
座家君をキリルとくっつける。そうすれば真夏多も座家から離れる。まさか親友の彼氏と今まで同様にいちゃつくなんてできないよねー。
座家君にはキリルだってもったいないくらいだけど。まっ、いいっしょー。
僕、優しいからさ、よしとするよー。僕ってすっげーいい人じゃん?
キリルがその気になれば座家くんとうまくいくはず。
「キリル‥‥‥素直になりなよ。僕はキリルの味方だよー?真夏多は関係ないよ。自分の気持ちに正直になれよー。ねぇ?僕、キリルがあまりに恋愛不器用で見てられないよー。」
柊也の顔はどう見てもキリルを思いやる真面目な顔にしか見えなかった。
「‥‥‥柊也。ありがとう。もしかしたらそうなのかもしれない。でも私ずっと何年も前から好きな人がいて‥‥‥‥でもその人とは結ばれるとかそういう関係にはならないの。でも、それとは別にザッカリーも気になっているのは事実なんだけど‥‥‥‥。」
ルイマは打ち明けた。
ーーー食いついたー。よっしゃー。あとひと押しー!
「ねぇ、聞いて。好きな人はひとりとは限らないよ。むしろそんな人のほうが珍しいんじゃない?キリル。誰だって好きな人も気になる人も何人もいるのが普通さー。‥‥‥いくら好きになったって誰もが一番好きな人とつきあえるわけじゃないじゃん?‥‥‥そしたらその他の何人かの好きな子の中から別の相手を選ぶしかないじゃん。キリルの場合それが座家くんなんだろー?それで座家くんの場合、それはキリルだと思うなー。」
「うん、そうかもね。でも私は今彼氏が必要なわけでもないんだけど。」
ーーーだめだってー。キリルが座家くん引き受けてくんないとー。僕が困るんだからー。
「座家くん、他の子に取られちゃうよ?こういうのはタイミング合わせだよー?いつも相手がフリーだとは限らないし?まあ、無理やり奪い取る人もいるだろうけどさー。」
「‥‥‥‥‥柊也は私に早くザッカリーに告白をしろっていうの?」
ーーーそうに決まってんじゃん。そのために僕がさっきからこんなめんどーなことしてるんだってばー。頼むよー、キリル。僕と真夏多のために座家を引き受けてよー。
「それは、キリルが決めることじゃん。でも、もしそうするなら僕は全力アシストするからさー。僕たち友だちだろー。ねっ!」
柊也はルイマにとっておきの笑みを見せた。
「‥‥‥ありがとう、柊也。私よく考えてみるね。」
ルイマは最初の機嫌の悪さは消えていた。
「うん。いつでも相談にのるよ。じゃー僕、帰るよ。また明日ねー。」
柊也はさっさと教室を出た。
ーーー柊也ってほんと友だち思いのいい子なのね。私のことわかってくれてる。こんなこと私は誰かに相談なんてしようとさえ思いつかなかった。
柊也がいてくれてよかった。
ルイマはひとりになった教室で思った。
教室を出た柊也ははあっと息を吐いた。
「あー、疲れたー。うまくキリルの質問もそらせたしー、座家への告白もあおれたし。うん、僕すごーい。自画自賛しちゃうよ。」
ーーーうーん、結局今日、真夏多が休んだのは土曜日に僕が真夏多に抱きついたのがショックでなのかなー?あんなことで?
僕は何にもしてないよー?
でも、朝ハーレム先輩がきた時は驚いたなー。真夏多から聞いて僕にリベンジに来たのかと思ってマジびびったー。
真夏多は僕とのこと、ハーレム先輩には言わないで座家君には話したなんてさー、
もしかして座家君の方にガチだったりするのかもねー。
マジ、早いとこキリルに引き取ってもらわなきゃ。
柊也は、結局リアスは柊也がミアに不埒をしようとしたことがきっかけでミアに告白できたことも、その告白が原因でミアが雅秋に別れを覚悟したメッセージを送りつけたことなど知るはずもなかった。
雅秋の学校を抜け出すという機転がなければリアスはミアとも結ばれていた。
柊也は自分が今月のリアスのラッキーアイテムだということを知らない。
やばい、タイトルとの解離が甚だしくなってきたー(>_<")
錦鯉どこ行った?




