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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第2章
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リアスの告白

「ミア、ミアが意識がもどった時はまだ床に寝てる状態だったのか?」


 ミアは首をかしげて少し上を見ながら言った。


「‥‥‥‥うん、えっと、そうよ。肩も背中が冷たくて‥‥‥床がひんやり硬い感触で気づいたの。」


「だったらさ、ミアがあいつに何かしたわけじゃないと思うぜ。」


 リアスはミアの腕を放してソファーに深く座り直した。




 ーーーなんだよ?今の話からだと、まるでミアの体に何らかの退かせる要素があるみたいじゃねーか?やる気なくすようなさー。磯部がミアを押し倒したら何かに気づいたってことじゃね?


 磯部は何を見たんだ?


 ミアはただショックで一時放心してただけじゃねーか?ミアはセンシティブだしなー。





「‥‥‥‥なあ、ミア。変なこと聞いていい?」


「‥‥‥とりあえず言ってみて。」


「ミア、まさかとは思うけど‥‥‥‥タトゥーしてない?隠れたところに。雅秋LOVEとかさー?そういうの見て磯部がひいたんじゃね?」


「‥‥‥‥‥リアス?」


 ミアの眉間に力が入った。


「い、いや‥‥‥小さな可能性から消していかないとなー。見当がつかないだろ?」


 ミアにムッとされたリアスは内心の焦りを隠し、困った顔をして見せた。


「‥‥‥‥そうね。リアスは相談にのってくれているのに私ったら‥‥‥ごめんね。いいわ、何でも聞いて。リアス。」


 ミアは上目遣いで謝った。



「ミア‥‥‥その‥‥‥磯部は、たぶんミアのフィジカルな部分に何か驚いたんじゃねーか?」


「私のフィジカル‥‥‥‥?」


 ミアが首をかしげてリアスを見た。


「そう、ミアの体には何か秘密が‥‥‥‥ま、まさかミアは超高度AI搭載アンドロイドガールだったりして‥‥‥‥ミアは理想的キュートフェイスにナイスバディだし‥‥‥人工的に造らない限り存在しないキセキ‥‥‥‥‥?」


 リアスが普段は出さない厨病発想がふと漏れだした。



「‥‥‥‥‥‥」



 ミアは無言のまま不審者を見るまなざしでリアスを見た。


「あ‥‥‥あん、これは冗談だって!マジにとんなよ。」


「‥‥‥‥リアス、私、本当に悩んでいるのよ‥‥‥。私リアスしか頼れないの。雅秋は推薦入試だから来月は受験本番だし、こんなことを知られて迷惑はかけられない。それに雅秋が知ったらどうなることか‥‥‥。それにこんなこと、何人にも相談できないわ。お願いリアス‥‥‥私を助けて。」


 ミアは真剣に訴えた。


 リアスはミアの期待に応えるべく考えを巡らせた。


「わかった。俺に任せろ!そのためにはミアの協力は必須だぜ?」


 リアスはマジな顔でミアに言った。


「もちろんよ。リアス。自分のことだもの。」


「じゃあ、聞くぜ?正直に答えろよ。」


 リアスはマジな表情を保ちながら言った。


「‥‥‥‥う、うん。何?」


 ミアは緊迫感を感じつつ答えた。


「う‥‥‥うん、その、ミアは以前にも誰かにその‥‥‥同じような目にあわされたことがあるのか?」


「え?‥‥‥ええ、あるわ。雅秋が同じようなことを。」


「‥‥‥‥っ。その時はどうだったんだよ?甲斐先輩は何か驚いたり怖れたりしなかったのか?」


「特に雅秋が驚いたり怖がるなんて何もなかったわ。私の意識もちゃんとあったもの。それに雅秋はすぐに放してくれたし。」



 リアスは雅秋とミアの事実が心に突き刺さった。

 二人の間に何事もないのを知ったのは幸いだったが。


 しかし、顔には何も出さなかった。



「そうか‥‥‥‥。ミアのフィジカルにも問題なしなのか?甲斐先輩はOKで磯部はアウト‥‥‥‥か。よくわかんねーな。もしかして磯部の方に問題があったんじゃん?とにかく俺があいつに直接問いただしてやるさ。言う可能性はあまりないかもしんないけど。」


 リアスが言った。




「ねえ、カフェオレを飲んで休みましょう、リアス。」


 ミアが言った。


「私、床に座った方が落ち着くの。」


 ミアは床に降りてテーブル横に膝を立てた姿勢で座った。


 リアスはソファーに座ったままミアの右膝を見た。


「まだ痛いか?」


「大丈夫よ。そうだ、シャワーを浴びたときガーゼが濡れてしまったからついでに今とり替えてくるわ。」


 ミアが立ち上がった。


「俺に傷口見せろよ。気になるだろ。」


 リアスが言った。


「‥‥‥‥リアス。気にしなくていいのに。じゃあここで取り替えるね。救急箱持ってくる。ちょっと待ってて。」





 ミアは救急箱をテーブルの上に置くと膝をソファーに座ったリアスの方に向けて立てて床に座った。


 ミアは筒状のネット包帯を足先から抜き取った。

 サージカルテープで止めたガーゼを少しずつはがし始めた。


 ミアは奥歯を噛みしめ、なるべく声を出さないよう心がけた。


「リアス、いっ‥‥‥ほんとに‥‥‥あうっ‥‥見たい‥‥‥‥はぅ‥‥‥

 の?」


 半分はがれた。


「俺はミアのけがが心配なんだ。やっぱり、すごく痛むんだな。」


 リアスは顔を曇らせた。


「そんなことないわよ。はりついたテープのせいなのよ。」


 ミアが言った。


「ミア、こういうのはな、一気にはがした方が。」


 リアスがいきなり手を出して半分張りついて残っているミアのガーゼとテープを一気にはがした。



「きゃ〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️!」



 ミアは細かく足をばたばたさせながら叫んだ。



「うわっ!ミアなんて声を出すんだよ!」


「いやーっ!なにするのよっ!リアスったら!」


 ミアがおもいっきり叫んだ。


「ミ、ミア‥‥‥なんて声を!静まれっ!通報されたらどうすんだよっ!」


 リアスが慌ててミアの口を押さえようとした。


 足をばたばたさせていたミアはリアスに押されてにバランスを崩し後ろに倒れてしまった。

 押さえようとしたミアが倒れて、リアスもはずみでソファーから落ちてしまい、ミアの体を避けてあわてて手を床についた。



「もーう!いきなりはがすなんて!ひどいわ。リアス!」


 ミアは仰向けに倒れたまま、涙目で目の前にあるリアスの顔に向かって文句を言った。


「わ、わりぃ、ミア。俺‥‥‥‥」


 両手を床についてミアの上に覆い被さったリアスが言った。



「こ、これは‥‥‥!柊也の時とシチュエーションが似ているわ。ねえ、リアス。私を見て!何か気がつくことはないの?」


 ひらめいたミアは、そのままの体勢でリアスに聞いた。


 リアスは自分の下で仰向けになっているミアを見た。


 ミアの潤んだ瞳と至近距離で目が合った。

 リアスの理想をそのまま現実化した女の子が自分の手の内にいた。



 今ここで言えなかったらもう詰んでしまうのはほぼほぼ間違いない。

 リアスは即座に決心した。今こそ告白する時だ。


「‥‥‥‥ミア。俺がわかることは‥‥‥‥」


「何なのっ?」


 ミアが期待がこもった目でリアスを見た。



「俺がわかることは‥‥‥‥俺はずっと前から、中1の時から‥‥‥ミアが好きだってことだ。」



「!」


 ミアは目を見開いて真上にあるリアスの顔を見た。


 ミアは大きな鼓動を感じ始めた。顔が熱くなる。呼吸が、胸がだんだん息苦しくなってゆく。



「リアス‥‥‥‥‥。」



「俺、ずっとミアを見てきた。初めてミアを見た中1のあの日から。」


 ミアの薄紅に染まった顔を愛しそうに見つめながらリアスが言った。


 この時をずっと待ち望んできた。

 遠くからただ見つめているだけだった3年間の中学時代。

 高校入学がきっかけでようやく顔見知りになれた。

 ミチルに頼まれ、錦鯉研究部の手伝いに入ったことがきっかけで急激に近づくことが出来た。


 そして、今。



「‥‥‥そんなに前から?‥‥‥私、全然気がつかなくて‥‥‥」


「ミアは俺のことどう思う?」


 ミアの瞳をまっすぐに見た。


「‥‥‥‥‥それは言えないわ。だって私は雅秋とつきあっているんだもの。」


 ミアは顔を横に向けた。


「今は甲斐先輩は関係ないだろ?教えて、ミアの気持ち。他のことは関係ない。純粋に俺に対して感じてるミアの気持ち。」


 リアスは右手でミアの顔を自分に向けさせた。


「あ、あの‥‥‥私、リアスが好きよ。もちろん。」


「男として?友達として?」


「あ‥‥‥‥あの‥‥‥」


 リアスはミアには強く押しきればいいことを知っていたし、この好機を逃すことなど絶対考えられはしない。


「私‥‥‥急で‥‥うまく言葉にできなくて‥‥‥でも、リアスのことは好きよ。だけど‥‥‥‥。」


 ミアは伏し目がちになった。


「好き‥‥‥‥‥だったら、いいよな?」


 ミアはリアスの手で顔を真上に向けさせられたままだった。


 リアスは一気に決めに出た。


「んっ!」


 リアスはミアのくちびるを奪った。


 ーーー俺はこれで甲斐先輩にに追い付ける。

 俺は甲斐先輩よりもずーっと前からミアを想っていた。

 それなのに甲斐先輩はフッと現れて俺の前からミアをさらって行った。

 高嶺の花だったミアの攻略法はただ強気に押せばいいだけだった。甲斐先輩は自信家で、いつだって強気な男だ。だからミアは‥‥‥‥。


 俺はここでミアを取り戻す。ミアを困らせようが今は仕方がない。



「甲斐先輩より、俺を選んで‥‥‥‥ミア。」


 驚いて固まっているミアに再びキスをした。



「俺、これ以上ここにいたらマジヤバだから帰る。返事まってる。膝、ガーゼしとけよ、ミア。」


 リアスはミアの髪を撫でながら耳もとで『絶対、俺を選んで。』と、言い残し部屋を出た。




 ミアは床にそのまま仰向けになったまま動けずにいた。


 自分の気持ちが整頓出来ずにいた。


 確かにリアスのことを意識している自分がいた。リアスが好きかと聞かれれば好きだと答える。



 だが‥‥雅秋のことを思う時、その事実には胸に突き刺さるものがあった。




 



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