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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第2章
40/102

ミアの家にて

ミア「ちょっと、黒りんごさん、ひどいわ!あの昨日の深夜の投稿はなんなのよ!」


黒り「え?」


ミア「『ミアの心の中は』って!勝手に私の心の中を公開するなんて!しかも文も

   ゴミ文章だったわよ。すぐに削除しなさい。」

   

黒り「うわっ、ひっでー!いきなりなんだよ!むちゃぶりすんなよ!」


ミア「削除するのよ。さもないと‥‥‥」


黒り「‥‥‥なんだよ?」


ミア「私、本当はスカートの下にはいつもスパッツはいてます。夏は汗臭いで

   す。」


黒り「ちょ、ちょと、美少女の夢壊すなよ!」


ミア「削除しないともっといっちゃうから!」


黒り「わ、わかったから!落ち着けよ!」


ミア「ほら、さっさとしなさいよ!」


黒り「は、はい。」


ということで、いきなり削除させて頂きました。すみません。(>Д<)


 リアスはミアの電話を受けてからすぐに支度をして駅に向かった。

 早すぎるのはわかっていたが家にいるのが落ち着かない気分になっていた。



 日良豆(ひよず)駅で、リアスはイライラしながら改札から吐き出される人の流れを見ていた。


 上り下りの電車が到着するたびに階段から大きな人の群れが一気に下りてくるを繰り返している。



 3時15分を過ぎたところだった。



 ーーーもう、とっくに着いてもいい頃なのに‥‥‥‥。



 リアスは階段から下りてくるたくさんの人に目を凝らした。


「‥‥‥‥あっ!」


 ミアが階段の隅っこを下っているのを見つけた。


 ミアは目立つ。その美しい容姿で。


 横にある登りエスカレーターに立っている赤い髪の男があからさまにミアを目で追っている。


 ミアはそのような周囲の目には気づくこともなく一番空いている改札を選んで出てきた。


 周囲をキョロキョロ見回している。

 ミアはすぐに柱の壁際にいるリアスを見つけてほっとした顔をした。



「ミア!」


 リアスは右手を上げた。


「‥‥‥リアス、本当にいてくれたのね‥‥‥‥ありがとう‥‥‥。」


 リアスに歩みよりながら青白い顔をしたミアが小さく微笑んだ。


「当たり前だろ。俺待ってるっていったじゃん。それより‥‥‥どうしたんだよ?ミア。何があったんだ?なんで泣いてた?」


 リアスがミアの瞳を見るとミアの白目には充血が残っている。


「‥‥‥リアス、テスト前なのにごめんね。数学の問題解んないところは‥‥‥。」


 ミアは急に違うことを言い出した。


「おい!ミア、逃げんなよ‥‥‥‥。」


「‥‥‥‥‥リアス。」


 ミアの目が潤んだ。


 ミアのネット包帯が巻かれた右膝をちらりと見たリアスがミアに聞いた。


「‥‥‥ちゃんと手当てしたんだな、よかった。」


 ミアが無言で頷いた。


「ミア、お前学校へ戻ってねーんだろ?家にも帰ってなかったし。‥‥‥どこで手当てしたんだよ?」


 ミアは無言でうつむいた。



「‥‥‥‥言えないってか?」



 うつ向いたミアの背中を促しながらリアスは言った。


「どこか落ち着いた所にいこうぜ、ミア。」


 ミアはすがるような目でリアスを見て、小さく頷いた。



「どこに行こうか?その辺の店でいいか。」


 リアスがミアを見た。


「‥‥‥‥だめ。」


 ミアはリアスから目をそらして言った。


「ダメって‥‥‥じゃあどこ?」


「‥‥‥‥他の人がいない所。」


 ちらっとリアスを見て言った。


「えっ‥‥‥‥じゃあ、俺の部屋‥‥‥‥はダメだ‥‥‥‥だめ、あそこにはヤバいものが多々‥‥‥‥ちっ、わかってたらちゃんと片付けてたのに!」


 リアスはひとりもごもご言った。


「‥‥‥うちに来て、リアス。夜まで誰もいないから。いい?」


 ミアが上目遣いでリアスを見た。



「‥‥‥‥おう。」


 リアスは内心キョドっていたが平静を装った。



 ーーーミアが俺を家に誘った‥‥‥‥!

 これって‥‥‥どういうことだ?二人きりでって‥‥‥‥。俺、まさかコクれるかも?


 さっき学校から帰ってシャワー浴びたとこだし、昼飯食った後歯磨きもした。

 よっしゃ。臭い対策はオーケーだ。




 雨は既に止んでいた。


 リアスはミアの家が近いことは知っていたが、どこにミアの家があるのかは知らなかった。


「こっちよ。」


 沈んだ顔をしたミアがリアスの前を歩き始めた。


 ミアの家はリアスとは駅の反対側だった。ミアは無言で歩き続けた。そのまま5分ほど歩いた後、美しいシンボルツリーの植わった一軒家の前で止まった。


「ここなの。どうぞ入って。」


 ミアはカギを開ながら言った。


「お邪魔します。」


 リアスは少し緊張しながら上がった。



「リアス、そこのソファーで待っててもらえる?ごめんね。20分くらいですませるから。」


 リビングのソファーにリアスを案内してミアは部屋から出かかった。


「すませる?」


「あ、うん。シャワー浴びてくる。雨で湿って気持ち悪いから。」


 ドアに手をかけて振り返りミアは何でもないことのように言うと出て行った。


 ミアは生真面目すぎる分、他人の持つ黒い部分や煩悩にまつわる想像力に欠いていた。なので本人も無防備でもあり、他人への配慮も欠き、世間知らずな部分があった。




 リビングに取り残されたリアスは、脈打つ心臓を嫌でも意識しつつソファーに座っていた。


 ーーーそんなことを言われたら嫌でもシャワーを浴びているミアの姿を妄想すんだろー!しかもすぐそこにいるんだぜ?俺が悪い奴だったら‥‥‥とっくにやられてんぞ?



 リアスは気を紛らわすため、スマホチェックを始めようとしたが、無理だった。

 思考はすぐミアのシャワーの元に戻った。



 ーーーま、まさか俺を誘ってるとか‥‥‥い、いや‥‥‥希望的推測はやめよう。これに深い意味なんてない。俺だって家に帰ってすぐシャワー浴びたじゃんか。うん。


 それにミアには泣いてしまうほどの何かがあったんだ。それは磯部が関係している可能性が高い‥‥‥。一体何が‥‥‥?




 リアスがもんもんとして待っていると、ファスナーつきのパーカーにショートパンツの部屋着でミアが戻って来た。


「ごめんね、リアス。待たせてしまって。何か飲みものを‥‥‥。何がいい?」


 ソファーに座っているリアスの目の前にミアのスラリとした白く長い素足が来た。

 ミアが近づくとほのかなせっけんの香りがした。



「‥‥‥‥あー、えっと、何でもいい。」


 どぎまぎしたリアスは思考回路が滞った。


「そう?私と一緒のホットカフェオレでいい?」


「あ、うん。」


 ミアの顔を見ながら言った。先ほどよりも気分は良さげだった。


「ちょっと待っててね、リアス。」


 ミアがキッチンカウンターに入るとコーヒーのいい香りが漂ってきた。

 リアスはミアの姿をずっと目で追っていた。





 ミアがリアスの前のテーブルに柔らかい湯気のたったカフェオレを置いた。自分の前にもペアカップのカフェオレを置くとリアスの左隣に座った。



「さあ、言えよ。ミア。俺が帰ってから何があった?」


 リアスはソファーの背もたれに左肘をついて足を組み隣に座るミアの方を向いた。


「‥‥‥‥柊也の部屋で‥‥‥、私‥‥‥‥」


「!」


 リアスは思わずミアの腕をつかんで言った。


「ミア!あいつの部屋に行ったのか?そこで二人きりで過ごしてたのか?」


 リアスが信じられないという顔をした。


 ミアは膝のけがが悪化して仕方なく行っただけだったが、それはリアスには言わなかった。言えばリアスが傷つく。


「‥‥‥そうよ。」


「なんで一人であいつの部屋になんか行くんだよ!‥‥‥‥まさか‥‥‥ミア、磯部と‥‥‥?」


 リアスが青ざめて言った。


「‥‥‥‥柊也が抱きついてきたの。私を床に倒してそれから‥‥‥」


 ミアは顔を両手で覆った。


「や、や、やら、襲われたのか!ミア!」


 リアスがミアの細い二の腕をつかんで揺さぶった。


「いっ、痛い、リアス‥‥‥違うの‥‥‥。」


 ミアは顔を覆った手を外し手のひらを見詰めながら言った。


「柊也に何かしたのはきっと私の方なのよ‥‥‥。」


「ミアの言ってること、肝心なとこが全然わかんねーよ!」


 リアスがイライラしながら言った。


「ご、ごめんなさい、リアス。」


 涙目になってリアスに言った。


 ミアはまるで怯えた小動物のようだった。



 ーーーミア‥‥‥‥‥、ミアは気が弱い。今ナーバスになってるとはいえ、この様子では‥‥‥‥‥。

 強引に迫ればミアを思い通りにできると思われてしまうのは必至だ‥‥‥‥‥ミアが部屋で男と二人きりなんてタブーだ‥‥‥俺はいいけど。



「私は床に、ほんの‥‥‥よくわからないけどたぶん1、2分かしら?意識がなくなってしまって、気づいたら柊也は私から離れていたの。それで、私を見てすごく怯えた顔をしていたの。そして私に帰れって‥‥‥。私は慌てて部屋を出たの。その後リアスに電話したのよ。」


「その‥‥‥気づいた時は‥‥‥何ともなかったのか?その‥‥‥き、着てるもんとか、か、体とかは。」


 リアスは言いにくそうに言った。


「うん。特に変わったことはなかった。記憶がないのは時計の時間からも多分、ほんの少しの時間なの。」

 

ミアは思い返しながら言った。


「私はきっとその間に柊也に何かしでかしたんだわ‥‥‥無意識の間に恐ろしいことを‥‥。」


 険しい顔をしてミアの二の腕をつかんだままのリアスに言った。






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