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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第2章
39/102

リアス、肝胆を砕く

リアスの心とミアのその後は‥‥

 俺はミアと柊也と校門脇の倉庫の前で別れた後、一人雨の中落花生(おかき)駅まで走った。

 駅の構内の隅で、雨のしずくが落ちるリュックをタオル地のハンカチで拭いた。


 ハンカチにミアの血がついていた。


「‥‥‥‥ミア。」



 俺は今更ながら落ち込んで来た。大好きなミアに怪我をさせてしまった。

 ミアは大丈夫だと言ってくれていたけど、頭では更にミアのことばかり考えてしまう。本当はすっげー痛いのにがまんしていたんじゃないかって。


 ミア‥‥‥。今頃は教室に戻ってキリルの手伝いしてんのかな?磯部と二人きりって訳でもねーし‥‥‥。キリルが一緒ならミアのことは心配ないだろうけど。



 俺は改札を抜け、駅のホームに向かった。



 電車では立ったままで外の景色を見てた。


 朝、俺は決めたはずなのに、すっげー決心したのに、またミアに俺の気持ちを伝えられなかった。ミアは目の前にいたってのに。


 芝居の中でならあんなにすんなり言えたってのに‥‥‥‥‥ミアが好きだって。


 あ~、芝居の中で言ったって所詮芝居だ。ミアに本気でとられることなんてない。意味ねーじゃん。


 今度こそ、甲斐先輩も磯部も絶対現れない所で、邪魔されない所で、スマホも使えない所でやり直す!


 どこだよ?そういうとこ。どこで告ればいいんだよ?俺。


 家に帰ってからじっくり作戦を考えよう‥‥‥‥。

 ついでにテスト勉強でもするか。





 家についてから、シャワーを浴び髪を乾かすといくらか気分もすっきりした。


 自分の部屋のベッドの上でごろごろしながらいろいろ考えて、ついに俺は決心した。


 ミアを映画に誘う!


 学校にいるから結局は邪魔がはいるんだ!

 最初から二人きりだったら大丈夫。映画だったらスマホにも邪魔はされない。


 彼氏がいるミアを誘うなんて無理?非常識?無神経?無遠慮?


 いや、何かいい理由があれば‥‥‥。


 ‥‥‥そうだ、怪我をさせたお詫びってことにすればいい。

 ミアの怪我を利用するなんてごめんなって思うけど、この際だ。許せミア。



 俺は早速ミアにメッセージを送ることにした。怪我のことも心配だしな。



『ミア、膝、家でもう一回洗い直して消毒しろよ。まだ完全に汚れが取れてないからな。』


『ほんと、ごめん。おわびに今度映画とかどう?』



 スマホ画面を見ているとすぐに既読がついた。



 さあ、返事は?



 ミアからのリプライはない。

 俺はじれながら画面を見つめていた。


 5分経ったけどこない。既読スルーか?


 図々しいやつと思われたかな?


 俺ががもんもんとしていると10分後くらいにミアからの返信が届いた。



『もう、手当ては済んだから大丈夫よ。』


『お詫びなんていいのよ。リアス。もう全然平気だから。』



 ミアは学校で手当てしてもらったのか?今日は多分保健室閉まってるよな。土曜日だし。それともキリルに手当てを?


 『平気』って、みあ?そんなわけねーだろ。やっぱお前俺に気を使って‥‥‥‥。

 そんでもって‥‥‥マジ思いきって誘ってみたのに‥‥‥。おう‥‥‥俺のお詫びムービー断られた‥‥‥‥だよな。そーだよな。そーなるよな‥‥‥‥まさか詰んだ?俺。




 俺ははしばしの間、ショックでうすぼんやりしてしまったがまた立ち上がった。


 くっ!いや、ここで、ここで屈する俺じゃねぇ。俺の3年半はここでは終わらせない。もがけ!俺。


 ちょっとキリルの方に探りを入れてみるか。ミアの様子がわかるかもしんねーし。



『おーい。まだ撮ってんのか?順調かー?』


 すぐに返信が来た。


『今、家ついたところ。あれから柊也がばっくれてすぐにいなくなったし、私も一人じゃね。それから30分くらいで帰ったよ。どうかした?』


『なんでもねー、またな。』





 どういうことだよ?ミアはキリルから撮影の手伝いを頼まれたんじゃなかったのか?


 磯部はバックレたって‥‥‥‥?じゃ、ミアは何のために残った?あの磯部からの電話はなんだったんだよ?


 ミアと磯部が二人きりになるため、俺は嘘で追い払われたのか?



 どちらに?‥‥‥‥ミアに?磯部に?共謀で?



 そういえば‥‥‥昇降口から出た時、雨が降りそうだったからミアは俺に走って先に帰っていいって‥‥‥いや、でも雨さえ降りださなければ俺たちは一緒に帰っていたはず。そうだよ、ミアは教室でも磯部に俺と一緒に帰るって言ったよな。それで磯部は俺に嫌みを言って来て‥‥‥。



 大体、ミアがそんなくだらねぇ嘘俺につくわけないじゃん!




 磯部があの電話でミアを騙したんだ。ミアと二人きりで帰りたくて。


 全く‥‥‥‥あの、磯部ってやつは食えねーやつ!


 ということは、ミアはもう家にいるんだ?膝の手当てもしたって言っていたし。

 ミアに確認したいけど、用もないのにそう何回もメッセージ送れねーよ。




 ‥‥‥数学のわかんねー問題の質問してみるか。んでもって、さりげなく聞く。


 よし、早速実行だ!



『ミア、膝、痛くなってない?俺心配だし、月曜日、朝一緒に学校行こうぜ。』


『ミア、今家にいる?数学でわからないとこ教えてくれる?』



 さあ、ミア。早く読んでくれ!



 返信は来なかった。





 そのかわり、一時間後、ミアが泣きながら俺に電話をかけて来た。


 一体どうしたんだ?これはたぶん磯部が関係しているに違いない。



 俺は日良豆駅にミアを迎えに行くことにした。








 ミアは混乱したまま柊也のマンションのエントランスから外に出た。


 小雨が降っていた。


 ミアは思考回路がうまく働かずにいた。柊也の部屋で一体何が起こったのか自分でもよくわからずにいた。


 柊也が自分を見る目は怯えていた。


 ミアは左のうなじを無意識に触っていた。




 ミアがエントランスの外側の軒で雨を見つめて立ちすくんでいると、ちょうど帰宅したらしいベースを背負った長い前髪のチャラい男が自分のさしていた透明のビニール傘をミアに差し出した。


「ねーちゃん、こんなところで雨宿りしてんの?よかったらこの傘あげっから使いなよ。」


「え?でも‥‥‥‥。」


「いいって、どうせおれのじゃねーし。もってけよ。困ってんだろ?じゃーな。」


ミアに押しつけた。


「え?はい。ありがとうございます。」


 男はマンションエントランスの中に消えて行った。


 ミアはよくわからないまま傘をもらった。


「‥‥‥‥私も次の困っている人に差し上げろってことなのかしら?幸福の傘‥‥みたいな?」



 ミアはこの男のせいで困っている人が1人発生したことには思い至らなかった。

 純粋で生真面目なミアにはこのような小悪事の想像さえ、出来はしない。






 ミアは傘をさして駅に向かって歩き出した。


 ーーー柊也は‥‥‥確かに私を床に倒した。それは覚えている‥‥‥‥。


「あっ、ごめんなさい。」


 ミアは考え事が先行して注意が散漫になっていた。通行人とぶつかりそうになった。


 ーーー駅前のファストフードで、カフェオレでも飲みながら、落ち着いて考えよう。




 ミアはひとり、カウンター席に座り暖かいカフェオレで両手を暖めた。


 スマホを確認すると数人からメッセージが来ていた。


 ーーーリアスからきている。


 ミアはリアスのメッセージをまず開いた。



『ミア、膝、痛くなってない?俺心配だし、月曜日、朝一緒に学校行こうぜ。』


『ミア、今家にいる?数学でわからないとこ教えてくれる?』



 ーーーリアスったらまだ心配して‥‥‥。



 ミアはリアスに文字ではなく電話で話すことにした。


 ミアは店の外に席を外すと通話してみた。


 ワンコールでリアスが出た。



「ミア!大丈夫か?」



 ミアはリアスの声を聞いたとたんなぜかほっとして涙が出てきた。


「‥‥‥‥リアス‥‥‥私‥‥」


「どうしたんだよ?ミア。そこ騒がしいな、どこだよ?」


「‥‥‥落花生(おかき)駅なの‥‥‥リアス‥‥‥うっ、ぐっすん‥‥私‥‥‥」


「まだそこに?何で泣いてんだ?何かあったのか?」


「‥‥‥うっ、‥‥‥」


ミアは言葉が出なくなった。


「とにかく日良豆駅まで戻れ。俺改札で待ってっから!いいな。すぐ電車乗れよ。ミア。」


「‥‥‥うん。」


ミアは自分が無意識のうちに柊也に何をしてしまったのかわからず、不安で怯えていた。


 ーーー柊也のあの目とあの態度。


私は記憶がないの。怖い。リアス助けて‥‥‥。







In my mind 美少女周囲ではあれこれ勝手に起きてしまうものよ


本編も( `・ω・´)ノ ヨロシクー

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