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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第2章
38/102

柊也の部屋で その3

 ミアは驚いた顔で柊也を見た。


「‥‥‥‥‥‥‥‥。」


 ミアの目を見開いた目はやがて憂いがこもった優しい瞳へと変わった。


「‥‥‥‥‥‥‥‥柊也。」



 ーーー柊也ったら。そんなセクシーボイスだのなんだのと空恥(そらは)ずかしい戯言(ざれごと)を言ってまで私をここに引き留めようなんてして‥‥‥‥なにか理由があるのね。悩み事でもあるんだわ。



「‥‥‥‥わかったわ、柊也‥‥‥‥。」




 ミアの返答に柊也はにこりとした。 


 二人の思考はちぐはぐだった。



「今はまだ真夏多にハーレム先輩がいたってぼくはかまわないよー。とりあえずは、ときどきここにきて僕だけの真夏多になってくれてー、教室では今まで通りに僕に接してくてれば。本当はずっとここにいて欲しいけどそうもいかないもんねー。」


 これは柊也はミアが徐々に自分の彼女になることを言っていたのだが、ミアには全く通じてはいなかった。


「何だか言っている事が良くわからないわ。だあれ?ハーレム先輩って?」


 ミアが首をかしげた。


「誰かにここにいてほしいなんて‥‥‥‥。そんなに孤独を感じていたのね、柊也。たまにならまた私も他の人たちも誘ってここに来させてもらってもいいしクラスの中ではいつも通りに接するに決まっているでしょう?大丈夫よ。」



「もう、細かいことは今はもういいよ。ミアが『約束』してくれるなら。」


 柊也が言った。



 テーブルの角を挟み座っていた柊也は、ミアの右腕を左手でつかんだままだった。

 柊也はそのまま右腕をミアの肩にまわして抱きついた。


「真夏多ぁ、今日はここから出さないよー。」





 ミアは柊也が抱きついて来て驚いたが、柊也が寂しがってミアに甘えているだけだと思った。


 ミアはちょうど自分の口元にきた柊也の右耳にやさしく問いかけた。


「どうしてそんなに寂しがっているの?もしかして、ここでほとんど一人で生活しているからなの?急に撮影が中止になったから一人の時間使い方が思いつかないの?‥‥‥‥だから私にいてほしいの?それとも一週間後のテストの事が心配なの?私でよかったら相談にのるわよ。柊くん。あれ?柊くんって呼ぶと私、本当にお姉さんぽくない?うふふ。」


 ミアは常に柊也に対しては、やさしい姉キャラモードで‥‥‥というのが染みついていた。


 ミアは、柊也のミアに世話を焼かせる態度は、ミアの気を引きたいがための行為からだとは全く思っていなかった。



「‥‥‥‥ねー、真夏多ぁ。」


 柊也がミアの左肩に頭をのせたまま言った。


「なんかそれ、真夏多の言ってること全然的外れなんだよねー。それにそーゆー姉キャラ設定はいらないしー。」


「柊也?何が違うの?私を引き留めたのは柊也の孤独感からではなかったの?」


「何言ってんのー?僕は寂しいわけではないよー。真夏多ぁ。」


 柊也は一回体をミアから離した。


「僕がひきとめたのはただ真夏多だけといたいからだよー。わかってくれよー。だからー、真夏多が僕から離れて行かないように‥‥‥‥‥(しるし)をつけておかないとね。」




 柊也がミアを抱きしめそのまま床に倒した。




 ミアは突然の柊也の行為になされるがまま倒された所は覚えていたのだが‥‥‥。



 ほんの数十秒意識が飛んだ。



 気づくと柊也がミアを異様なものを見るように畏怖していた。


「真夏多。もう帰れ。」


 柊也が言った。


 ミアは訳がわからず混乱していたが、荷物を手早く手に持つとすぐに柊也の部屋を出た。





 柊也がミアを床の上に押しつけたその時、うすむらさき色のホタルのような小さな光が一つ柊也の目の前にふわふわと飛んできた。


「な、何‥‥‥これ?」


 柊也は四つん這いのまま目の前でふわふわ止まった光を見た。



 直接脳に声が流れ込んでくる感覚だった。



 柊也の頭の中に若い男の声が響いた。


『君がミアに手を出せば僕は君の精気を奪う。君は死ぬ。僕が許したのは甲斐雅秋のみ。』



 うすむらさき色の小さな光は、ぼんやりと宙を見ているミアの周りを飛びながら少しずつ気化するように消えていった。




 ミアのうなじにつけられた索の(いん)から、残っていた最後の力が放出された。


 再び索が現れ精力を込めない限りミアを護ることはもうない。





 今はただ索がミアを想う象徴としてミアのうなじに存在する。





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