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錦鯉研究部  作者: 黒りんご
第2章
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柊也の心

 僕は幸運だ。


 幸運その1


 まず、親がほどほどの金持ちの家に生まれついた。3棟のマンションを持ち賃貸に出している。いずれも駅近で満室だ。


 家柄も格式もなく金だけあるって最高じゃん。ステータスなんていらない。


 自由がいい。


 あくせく働かなくとも金は入ってくる。

 その子どもの僕にも。



 苦労とかさ、なるべくしない方がいいにきまってんじゃん。好きなことだけしながら好きなものを手に入れ、好きなものに囲まれて生きていきたい。楽に楽しく。



 幸運その2


 わりとイケメンに生まれついた。だからいままで目当ての子はほとんど落とせた。

 まあ、そのせいでうんざりな目にもあってきたけどねー。たのんでもいないのに勝手に寄ってくる子たちってなんとかなんないのかなー。めーわくだって。


 ああ、あれは思い出したくもない。あのストーカー女子。


 そいつが僕に言うんだ。『柊也くんは心がゆがんでる!』ってさー。ゆがんでんのはおまえの方だろー?


 そんなことが何回か。


 幸運その3


 自宅に近いというだけで選択した高校に入った僕のクラスには真夏多ミアがいた。


 通勤通学の時間など人生の無駄な時間じゃん。僕は嫌なことはなるべくしないように生きていくと決めている。だから家から歩いても通えるこの距離の高校があったのはラッキーだったなー。チャリだったら15分前に出ても間に合うしー。


 そんで、僕と同じクラスにめっちゃ美少女がいた。それが真夏多ミア。

 そんでもって隣の席の子もキレイな子で気も合ってすぐ友達になった。それが切取ルイマ。彼女は強気なさばさばした性格で、人に好き嫌いの多い僕とも気が合うんだよねー。






 4月、入学してから朝の教室には上級生たちのクラブ勧誘がいくつも入れ替わりで来ていた。

 サッカーやら野球やら弓道にテニス、バスケに卓球、剣道、柔道、天文部にプログラミング、吹奏楽、お料理同好会やら百人一首やらなにやらまだまだあるらしかったが僕には興味などない。


 その中で美術部の3人組の男子が来た。


 その中の中心人物はいかにも自意識過剰なタイプだったなー。確かに超美形だったけどねー。でも僕とは全然違うタイプだ。


 派手で目立つようなスタイルが好きそうな、めっっちゃ外見に気を使ってる、

 いわゆる自分大好きタイプの人間だねー。モテすぎも大変だと思うけど、ハーレム好きなのかなー?こーゆー人。


 そのハーレム志向の先輩が僕に聞いた。


「おい、そこの男子。あそこに立っている二人組の女子、何ていう子だ?」


 そこでは切取(きりと)ルイマと真夏多ミアが立ち話をしていた。



 彼女たちは一目見たら忘れられない存在だ。

 その誰もが惹かれてしまう美しい容姿のせいで。


 僕もその一人かもね。



 僕は教えたくはなかったけど、どうせ名前は他の人に聞けばわかるから名前だけは教えてやった。

 まさかキリルと真夏多さんをハーレムに誘う気かー?


 他にも、特に真夏多に関してしつこく聞いてきたけど僕は入学したばかりでわからないとしらばっくれた。


 本当はルイマとは出席番号順の席でちょうど隣同士になり、入学直後一番最初に出来た友達だったから個人的な情報はその時点でもわりと知っていたんだよねー。


 まさかそのハーレム先輩が夏休みが明けたころには真夏多の彼氏に収まってるなんて、その時は夢にも思わなかった!

 真夏多もイケメンが好きなんだー。ふーん。そこは普通っぽいんだねー。



 入学直後、真夏多は自らはほとんどルイマとしか話はせず、僕が話しかければ話してくれるって感じの女子だった。


 僕はルイマと気が合い、仲良くなったから、ルイマの仲立ちで真夏多ともだんだんと話すようになっていった。


 真夏多はしとやかで優しくて真面目で、傷つく事をすごく恐れている控え目な性格の美少女だった。

 こんなに美しい容姿だったらそのうちに、女王様みたいに振る舞ったり、ちやほやしてくるやつらをはべらせたりすんのかと思ってたけど、全然違った。


 今までにいないタイプだ。こーいう子。


 外見だけじゃなくて中身もいい感じじゃん。こういう子ならお嫁さんにしてあげてもいいかなって思うよねー。

 外で遊んで、家に帰ったら真夏多がいるってすっげーいいじゃん?



 ある日の放課後、キリルと真夏多と男子二人が仲良さそうに帰るのを見かけた。二組のカップル。


 2組の土方ミチルと8組の座家リアス。


 この事はわりと噂になっていた。

 次の日、放課後帰り際にキリルに聞いてみたら、同じ中学出身の4人だと言った。 

 皆、友達の関係らしい。

 


 僕はキリルとも仲がいいし真夏多とも話すので他のクラスの知り合いの男子に二人のことを、特に真夏多のことを聞かれることが幾度となくあった。


 なんとなく僕が彼女について話すひとことふたことが真夏多についてのニュースソースとなっていったもよう。

 

 その内、いつの間にか僕は真夏多のファンクラブの会長という噂が広がっていて、いつの間にか『マカダミアン』という真夏多のファンクラブができていた。


 なんだー?それ?


 結局それは実態のない入れ替わり立ち替わりの緩い集まりのようだ。ネット上で彼女についての情報を共有し、噂して楽しんでいるらしい。

 身近なアイドルのような扱いのようだ。


 無責任に僕の名前を出されても迷惑だしー、僕はもう真夏多やキリルのことは聞かれても誰にも言わなくなった。


 それでもまだ、僕のことを真夏多のファンクラブ会長と思っている人はいるらしい。

 噂って怖いなぁー。嫌だなー。僕、関係ないからー。マジ違うからー。



 

 夏休み前に、僕のクラスの文化祭の出し物では映画っぽいものを撮影して上映することに決まっていた。


 キリルが中心となって制作されることになった。キリルが夏休み中にキリルと助手の僕以外は強制出演の脚本を考えてきたんだー。


 主な配役は夏休み明けに決まった。


 真夏多はいてもいなくてもいいような役についた。あまり映りたくないようだったなー。


 クラスの映画制作より、部活の演劇を優先させていた真夏多は結局撮影に参加しなかった。




 彼女は部活の錦鯉研究部の演劇に力を入れているようだった。


 噂によるとあのハーレム先輩とのラブシーンが売り物の劇らしいけど。あまりにすごいシーンのため、生徒会から指導されたらしい。

 同じクラスの柔道女子、生徒会の時田りりあは視察で見たって言ってた。

 時田はドラマみたいで素敵だったから指導は不要だったと力説していたっけ。


 

 真夏多の口から座家リアスのことが度々出るようになったのはこの少し前からだ。


 真夏多は、座家のことをやたらと褒めていた。『リアスは運動神経もよくて絵がすごくうまいの。』、『リアスはすっごく優しい人なの。』、『リアスの話って面白いのよ。』、『リアスの笑顔ってかわいいのよ、ニカッて笑うの。』



 あの8組の座家が真夏多に気があるのはまちがいないっしょー。座家くん頑張ってるみたいじゃん。



 だけどさー、超イケメンのハーレム先輩ならともかく座家くんが真夏多に手を出そうなんてー。だめじゃん。


 座家くんはキリルとも仲いいし、ちょっとあやしい感じの時もあったよね?


 うーん、そういうのってよくないよ?だめじゃん?座家くん。





 そんで今回、キリルがどうしても真夏多のシーンをクラスの映画に入れたいって言って、特別シーンを追加した。


 一組のカップルの役。

 真夏多と僕で演じるはずだった。



 それなのにキリルもひどいじゃーん。

 直前になぜか座家くんに変更されちゃったんだよねー。

 

 むかつくよねー。そういうの。だめじゃん?座家くん。キリル。


 

 


 僕は好きなものに囲まれて楽しく過ごしたいんだよねー。


 真夏多は今のままでいてほしいなー。僕の世話しててくれよー。ずーっと。




 だから座家くんにはこれ以上真夏多に近づいて欲しくないんだよねー。目障りじゃん。

 


 しょうがないなー。この辺で僕が先手を打っておくとしようっと。


 僕の生活環境を整えるためには多少の雑用も仕方ない。




 邪魔はさせないよー?だって僕、『あざとい』らしいから。


 それって誉め言葉だよねー。上手く生きてくためには必須のテクだしー。



 あーあ、楽に楽しく生活するのも結構大変だねー。変なのー。

 

 





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