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第十六章-5 誰かの為にと問われたら……

 アンドロイドたちの悲鳴(語り口は平常運転だが)は俺たちにも共有される。


「これで撃たれる心配はありませんね! ……所で、何ですかこの逆流とか、トラブルとか」


 一人を除いて。


「巻き込まれる前に逃げるぞ!」

「逃げるってどこにさ⁉」

「決まってるだろ! 海だ!」

「ステラさん! 飛び込むぞ!」

「えっ? えっ えぇぇぇっ⁉」


 ステラさんの手を取って、慌てる少女と共に、俺は奈落のような真っ暗な海へとダイブした。

 冥界に続きそうな暗みの海に沈む中で、上空には天界のような光が舞い散った。この時だけは冥界へと誘われることを心から歓迎した。


「がぼぼぼっ‼」


 まぁすぐに離れますけどね!

 俺はまだ生きたい!


「はぁ、はぁ……」

「うぇっ! ぺっ! ここの水何でこんなにしょっぱいの⁉」

「海だから当たり前だ……たく、なんて常識知らずな小娘何だ! 危険すぎるだろ!」


 戦艦はアンドロイド部隊突入のために岸の近くで停泊していた。おかげで俺たちは沖に流されること無く、何とか岸に戻ることが出来た。


「無事か⁉」


 沖に上がる俺達に近寄る影があった。由人さんだ。


「命で言えばね。服は完全に駄目だけど」

「命があれば服なんていくらでも乾かせるさ。さぁ戻るぞ」

「さ、寒いです……。お風呂が恋しい……」

「我慢してください。何日我慢することになるか分かりませんが」

「今すぐ入りたい気分です……」


 無理を言わさんな。かくいう俺も風呂じゃなくてもシャワーを浴びたい気分だ。


「で、あんたはどうするんだ?」


 由人さんが最後に問いかけたのは、例の俺たちを追いかけるストーカー男だ。また揉めることになるかもしれない。そう思っていたが、男は濡れた服を気にしていた。

 男が海水でピッタリくっついたジャケットの裏から何とかして取り出したのは、銃では無く、予想だにしていなかった物だった。


「あ、あれって」

「壊れてないでくれよ」

「何でお前が、それを?」


 男が取り出したのは、例の懐中時計だった。

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