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第十三章-4 助ける力を持つ者は……

 この世界に英雄は存在した。

 でも、この世界に勇者はいない。

 リーダーは人を纏め、頼られる存在ではあるが、英雄でも、ましてや勇者でもない。

 レジスタンスがどこに向かうかは分からない。

 けど、ステラさんの存在を必要としているのは、間違いなかった。


「あたしたちは危ない橋を渡る気はしない。出来る限り信じれる者だけでまとまって動きだ。よっぽどの余裕ができない限りな」

「つまりは、よほどの余裕ができれば何とかしてくれるんですね?」

「言っとくがよほどだぞ?」

「それだけで十分です。彼女の実力は、俺が知っていますから」


 彼女はレジスタンスがずっと待ちわびていた勇者になるだろう。側で見てきた俺には、理解できる。

 ただし、それには導く者が必要になる。この世界に生きる人は幾つもの偽りを被っている。

 それを正しい方向に持っていく必要がある。

 それなら適任者がいる。彼女の性格を知り、この世界の大大大先輩が。


「後は、俺を人質にしたあの男か」


 店の物を持ち逃げするのは勿論、アンドロイドを撃ち壊すなど人工平等条約において殺人と変わらない。

 それだけの危険を犯すことにためらいもないあの男は一体何なんだ?


「アンドロイドに恨みを持つ者は相当いる。だが、そいつは特別強い恨みを持っているように見えるな」

「もうこの辺にはいないんじゃないかな? だって盗んだものが銃の弾なんだろ? 危険人物と認定されていてもおかしくはないぞ? 辺り一帯に男を探索しているアンドロイドもいっぱいだろ?」

「昨日戦っていたアンドロイドたちと同じ奴らがですか? だとすると、俺とステラさんも危なくないですか?」


 強盗男に巻き込まれる形で俺とステラさんも強盗犯扱いされてしまった。濡れ衣な上に被害者だが、倒してしまった以上俺たちも犯罪者だ。

 今外を出歩いたら、偵察アンドロイドに射殺されるのではないだろうか?


「あたしたちと行動している以上、お前ももうお尋ね者みたいなものさ。もし今日じゃなくて明日山梨の都市に向かっていたら、監視カメラに引っかかっていたかもしれないな、だから――」


 一拍おいて、ひと呼吸してから、咲倉さんはこちらに向き直る。


「数日後にはこのアジトも引き払う。そして少しばかし遠いアジトに向かうことになる。そのためにも、必要な大仕事がある。それ次第では、彼女の願いを叶えられるかもしれない」

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