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第九章 元に戻れはしたが……

「ここは――本当に日本なのか?」


 信じられなかった。

 異世界に飛んでしまった次はSF世界。夢か? これは夢なのだろうか?

 しかし、焦げ付くにおいは明らかに現実。さり気なく体の一部をつねってみた。痛かった。


 そしてここが俺の故郷であること。

 目の前に転がる自転車。長年放置されたせいで錆だらけになっている。それも不法投棄で山の中に放置されている物とは比べ物にならないほどの錆び方であり、穴の開いた部分からは内部を確認することができ、頑張れば素手でも真っ二つに分断できるのでは無いだろうか。

 どれだけの年月をかければこんなことになるのだろうか? 業と塩水でもかけていたとしか思えない。年月――。


「もしかしてこいつのせいで違う時期に来たのか⁉」


 俺は移動の際に邪魔だからポケットに入れておいた懐中時計を取り出した。前回はステラさんの持っている物を奪おうとするイレギュラーな出来事が起きてしまった。そのせいで互いに、懐中時計も含めて別々の場所に飛ばされたと考えるのが一番なのだろうか。


「ケイタさんが持っていたんですか。どこにいってしまったのか心配していたんです」

「俺の行った別の世界に落ちてたんです。探すのに苦労しましたけど」


 あの時は何故俺がステラさんの世界に渡ったかは定かではないが、過去に戻された。

 そして、ステラさんは俺の世界の未来に渡ってしまった。

 過去で無いのは何となく分かる。東京にこれほど荒廃するような歴史的事件は関東大空襲位しか俺は知らない。しかし、その頃にはナンバープレートも、もっと言えば周りで腰を折っているビル群や、足元で捻曲がったアスファルト何て物は存在していなかった。

 後考えられるのは東京大震災だが、起こる起こると言われながら、未だに起きてはいない。俺は十年ほど過去に戻った。もしそれがこの懐中時計のキャパシティーなら、十年ほど未来に飛ばされた可能性がある。


「起きたのか、震災――」


 この時、俺はどこにいたのか?

 東京に就職したのか?

 それとも地元に戻ったのか?


「ケイタさん。取りあえずここから離れましょう」

「そ、そうだね」


 ステラさんの言葉に意識が呼び戻される。

 本震も余震も終わったのかもしれない。けれども、コンクリートジャングルである東京ではいつ脆くなった鉄筋が折れ、ビルが崩れてくるか分からない。


「そうだね。物陰かどこかに隠れないと」

「そうですね。ケイタさんの世界にいる魔物は私たちの世界とは違ってかなり賢いみたいですからね」

「ああ。確かに――あ?」


 今なんて?


「ステラさん。俺の世界に魔物と呼ばれる物は存在しませんよ?」

「どういうことですか? 私は今まで魔物に襲われていたんですよ?」

「それってどんな奴ですか⁉」


 俺は嫌な予感がした。

 魔物と呼ばれる存在。そんな物はこの世界に存在しない。

 いるとすれば野生の熊とか猪などの凶暴な害獣。ただ、そんな存在が東京に出るとは思えない。救助犬か? もしくは――人を。そうなるとかなりやばいことになる。


「これですよ。下にいる鉄みたいに硬い生き物です」

「下……」


 ステラさんの言う通り俺は下を見た。

 そこで理解する。今まで火災が原因だと思っわれていた焦げ臭いは、下から沸き上がってきていたのだと。

 鉄でできた存在。と言うステラさんの率直な感想は正しかった。

 正確にはそれ以外にも色々混ぜられているのだろうが、工学部に所属していなかった俺には理解も出来ないような金属が含まれてるかもしれない。ましてや、未来に発見された未知の物体を使われている可能性だって十二分にありえた。


 煙をあげ、機能を停止した人間体の右腕と腹部は無残にも何者か(たぶんステラさん)に切り離されていた。

 そこから見えるのは幾つもの生命を維持するための導線や機関だったが、そのどこにも血管や臓器は存在しない。代わりとなっているのは、配線と基盤。


 機械だ。

 それも俺がいた頃に作られた挨拶をしたり、一定の動きだけを繰り返し行うタイプの物ではない。強いて言うのなれば、映画で出てくるアンドロイドだ。

 こいつらが、ステラさんを襲い、そして返り討ちにした。何かやばそうな銃が転がっている辺りこれが得物だったらしいが、それを息切れ程度の酸素消費で対処してしまう勇者がやばい。


 もう一つやばいと言えば、このアンドロイドたちの性能。

 俺がいた頃のSF映画、ゲームに出ていた奴らそっくりだ。

 外角が明らかにロボットだと理解できる作りの辺り、人間に似せる技術は確立できなかったようだ。

 もしくは――。


「ケイタさん! あれ!」


 俺の憶測を語る前に答えは出された。

 奥から迫るメタリックの集団。アスレチックアスファルト地帯を軽やかな足取りで飛び移る姿は野生のチーターに比類していた。

 知っている者が見れば、あれはロボットだと言わんばかりの外見は量産型である証には相応しかった。


「ケイタさんは何処かに隠れてください! あの魔物たちは特殊な遠距離攻撃を行ってきます!」

「知ってますよ!」


 高性能なライフル携えてますからね! 鉛玉以外の物が出てくる可能性も十二分にあり得ますよ!


「危険分子ヲ確認。該当者一名ノ他ニ、モウ一名ヲ確認、同系列ト推測、直チニ排除」

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