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第三章-4 指導する才はあるのだけど……

「君はどうしてそこまで助けたい?」

 ――――。

「大丈夫だよ。君にはその力があるんだから」

 ――――。

「困っている人はそれだけでも――」



 俺の肩が揺さぶられるのを感じた。


「起きてください。時間ですよ」


 次にマグウィードさんの声が聞こえた。

 夢から醒めると夜空に星々が輝いていた。まだ朝には程遠いらしいが、俺の睡眠時間は終わったみたいだ。

 何か大切な夢を見ていたような気がしたが、夢特有の虚ろなビジョンと関係性の無い連鎖がその記憶を失わせる。

 ただ、本当に関係性の無い連鎖だったのだろうか?

 どこか聞いたことがある、どこかで見たことがある、何か知っている夢のような、いやそもそも夢じゃない、現実での出来事なのかもしれない。


「もしかしてしっかり眠れなかったのですか? 私なら大丈夫ですからケイタさんはもう少し休みますか?」


 ステラさんが俺の状態を見て不安がったので俺は慌てて首を横に振る。


「大丈夫です。もう三日目ですからかなり慣れましたよ」


 不安にさせないように事実を告げる。

 それが三日も問題解決されていないと言うことはこの際目を瞑ろう。そして俺はこの時点で俺の悩みが解決するまでにはかなりの時間を要すであろうと諦観していた。


「それでは私はひと眠りさせてもらうよ。勇者様が守ってくれるならゆっくりと寝れそうだ」

「ど、努力します!」


 ステラさんが俺を助けた時のように自信満々ではなく緊張した感じで答える。それでも自信なく死にかけな声で答えるよりかはマシだ。

 マグウィードさんが愛想笑いを浮かべて俺が眠っていた場所に横になった。


「おはようにしてはだいぶ早いですが、本当によく眠れましたか?」

「大丈夫ですよ。そもそもステラさんに会えなかったら野宿どころかその日のうちに魔物の餌になりましたし」

「そ、そんなことは――」

「そんなことあるんです。実際に俺はその後ヘインスの町まで行けましたし、寝床があっておいしいご飯も食べれましたし」


 俺は事実を述べていく。これはステラさんに会えたからこその幸福だ。

 それと同時に、もしそれが無かったらのことを考えざるを得なかった。

 ステラさんは勇者でありどんな人からも頼りにされる。ヘインスの町で受けた依頼に関して、彼女は後に謝罪をしていた。それに本人は断じて思ってはいないが、早期解決してくれた。

 けど、今後俺を助けてくれている中でそうはいかないことが起こり得る可能性がマグウィードさんの話から出てきた。

 相手がかなり地位のある人間だったら。

 国。そう、王様のような存在。

 そんな人たちから依頼をされてしまえば、この世界に国籍どころか存在すら証明されていない俺のことを構っている暇は無くなってしまう。

 そうなれば、また俺は一人だ。

 言葉が通じるとしても、俺はこの世界で生きる術を持たない。

 いや、働くことは出来るだろう。短い時間だったがヘインスの町では少しばかしお手伝いもした。肉体労働的なことはこの世界で労働力として計算できると思う。

 問題は――魔物と言う存在だ。


「ステラさん。お願いがあるんです」


 だから俺は、夢に落ちてもこれは忘れないようにした。

 起きた時に、いち早く伝えようと願った。

 俺はステラさんに向き直り、正座する。そして、


「俺に戦いの術を教えてくれませんか‼」


 自身を研ぎ澄ます決心をした。

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