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魔法の特訓

剣術の特訓をしてから10日が経過し、美羽のステータスもかなり上昇していた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ミズナミ ミウ

 称号 迷い人

 LV  20

 AT  300

 DF  270

 MA  250

 MD  200

 SP  210

 IN  150

 HP  500/500

 MP  300/300

 スキル

 言語理解(MAX)

 鑑定(MAX)

 剣術(MAX)

 片手剣術(3/50)

 四元素魔法(MAX)

 龍属性魔法(MAX)

 収納(10/5000)

 生活魔法(―)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お~、かなりステータスも上がってきたな。明日からは、魔法の特訓を始めてみるか。」


シルクは美羽に話しかけるが、彼女は本日の討伐にて得た報酬5000ルクスを見てだらしない笑みを受かべている。


「おい、聞いているのか?美羽?」


「...はっ、すみません、聞いてませんでした…。」


「ったく、明日からは魔法の特訓を始めるが、問題はないか?」


大きくため息をついて、シルクは再確認する。すると美羽は顔を綻ばせて、


「本当ですか!?私も魔法が使えるようになるんですね!」


と嬉しそうに、シルクの横ではしゃいでいた。


「行っとくが、魔法の特訓は、剣術の特訓よりもつまらなく、そして大変だぞ?」


 シルクは、あきれ顔をしながら美羽に言うが、


「いいんです。私の世界では、魔法を使える人なんていませんでした。でも、それを使えるようになるんです。夢が叶っちゃいますよ。」


 美羽は、それでも表情を崩さず、はねそうな勢いではしゃいでいた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 宿に着き、食事、風呂を済ませると、シルクは美羽にベッドに座るように指示をし、自分は、美羽と正面になるように、椅子に座った。


「いいか、魔法を使うには、まず、魔法がどのようなものかを知らなければならない。魔法とは、この世界に存在する魔力を、自分の保有する魔力と結び付け操る技だ。ゆえに、自分の魔力が操れないと、魔法は使えない。ここまではいいな?」


「はい、よくわからないけど、なんとなくわかりました。」


 美羽の答えに、シルクはずっこける。頭を抱えながら、あきれ果てたため息をつく。


「お前なぁ。魔法は、剣術や体術とは全く違う。しっかり操れなければ、暴走させてしまい、周囲を巻き込んじまう。雑魚な魔法使いならそれでも問題ないが、お前は違う。龍属性魔法と、四元素魔法を扱えるお前の力が暴走すれば、周囲は大惨事だ。俺だけなら構わないが、もし、ほかの仲間ができた時に、そうなってみろ?お前は、絶対後悔して、自分を責めるだろ。」


 シルクの言葉に、美羽は言葉を詰まらせる。日本育ちの少女が、自分のミスで、周囲の人間を大勢殺した、なんてことを平気でできるはずがない。美羽は、顔をうつ向かせる。


「だからだ。だからこそ、魔法は正しく扱わなければならない。魔法をしっかり扱えない者は、いわば生きた殺人兵器だ。すぐに賞金がかけられ、追い回されるだけだ。だからこそ、しっかり理解しろ。それができるまでは、俺はお前に魔法は教えないし、使わせない。」


「っ、スキルがあれば、使えるようになるんじゃないんですか?」


 今までの特訓の中身から、美羽は疑問を投げつける。しかし、


「本来ならな。この世界の住人なら、スキルを覚えるときは、そのスキルの扱い方をしっかりマスターした時だからな。だが、お前は違う。迷い人として、途中から、この世界に入り込んだお前には基礎がない。だからこそ、魔法の基礎をしっかり叩き込む必要があるんだ。」


 シルクの言葉に、美羽はついに押し黙ってしまう。


「厳しいことをいったが、これもお前や、いずれお前の下に集まってくる者たちのためだ。だから、今はしっかり勉強するんだな。」


 シルクは、やさしい声で美羽を慰めるように言う。その言葉に、美羽は姿勢を直すと、


「わかりました。よろしくお願いします。」


シルクに向き直りペコリと頭を下げる。


「よし、ではまず、自分の魔力を感じるところから始めよう。といっても、今日はもう寝よう。明日、魔物討伐をしながら、魔力感知の練習を始めよう。」


 シルクはそう言って、自分のベッドに入っていく。美湖も、自分のベッドに入って眠りについた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


翌日、美羽とシルクは、いつも特訓をしている草原にやってきていた。


「さて、まずは自分の魔力を感じられなければ意味がない。ただ、自分のうちにあるものというのは感じにくいものだ。だから、手を出してくれ。」


 シルクはそう言うと、美羽に手を差し出す。美羽はその手を取る。


「まずは俺が、お前に魔力を流し込む。その魔力の流れを覚えるんだ。いくぞ。」


 シルクは、美羽の手を握ると彼女に対して魔力を流し込んでいく。


「...あっ、な、に、これ...あんっ。」


 美羽は、自分の体に流れ込んでくる感覚に戸惑いながらも、その感覚を体に刻み込む。


「ん、くぅっ、...あ、ん...」


「変な声を出すなぁ!魔力の流れを意識しろぉ。」


 シルクは、声を張り上げながらも、魔力を流し続ける。美羽も次第にその感覚に慣れていき、声も出なくなっていく。

 しばらくしてから、シルクは魔力を流すのを止めた。


「はぁ、ったく。どうだ?感覚はつかめたか?」


 シルクは肩で息をする美羽に問いかける。


「はぁはぁ。なんとなく、ですけど、つかめたと思います。」


 美羽は、息を整えながら、自分の魔力を探し始めた。目を閉じ集中すると、すぐに自分の中に流れる魔力を感じ取ることができた。


「シルクさん、魔力見つけました。」


 美羽は自分の魔力を感じたまま、シルクに伝える。


「ほう、やはりすぐに見つけたか。その流れを動かして自分の手に移動させてみろ。」


 シルクの言葉に、美羽は従い魔力を集中させる。すると、美羽の手に靄のように魔力が集まりだす。


「おお、さすがは迷い人。これくらいのことはやってのけるか。これなら、すぐにでも魔法の練習に入れるな。」


 シルクは、美羽の魔力操作を見て太鼓判を押してくれた。美羽は嬉しくなり、


「ほんとですか!やったー!!」


 と両手を上に向けてしまう。


「あ!?馬鹿!!」


 それを見てシルクは大声を上げる。しかし、時すでに遅し、美羽の手に集まっていた魔力は、美羽が両手を上に掲げた勢いのまま上空に飛んで行ってしまった。


「...ごめんなさい...」


「はぁ。まぁ、仕方ない。魔力操作の難しさを少しは理解でただろう。魔力はしっかりセーブしないといろいろと危険な代物だ。次からは気を付けるんだな。」


 シルクはため息をつくと、落ち込みうつむく美羽の頭をなで慰める。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「さて、さっきはミスをして暴発したが、あの操作力があれば、魔法を使うことはできるだろう。まずは簡単な初級魔法から行くがいいか?」


 シルクは仕切り直しの意味も込め、美羽に確認する。


「はい、お願いします!」


 美羽も、気を取り直しシルクに言う。


「よし、まずは火属性の魔法だ。火属性は、四元素魔法の中で一番攻撃に向いている属性だ。まずは、さっきと同じように、右手に魔力を集めてみろ。」


美羽は、シルクに言われたように魔力を集める。すぐに魔力は集まり、彼女の手を包む。


「こんな感じでいいですか?」


「そうだな。では、その魔力が燃えるようにイメージしてみろ。」


シルクに言われて、美羽は火が燃えるイメージを浮かべる。すると、彼女の手に集まった魔力が炎に変換され、手の上にこぶし大の火の玉が現れた。


「わぁ、すごいすごい!!これが魔法ですか!?」


 美羽は、今度は不用意に暴発させないように、しかし、初めて、彼女にとっては今まで空想上の物だった魔法が、自分の意思で使うことができていることに、表しようのないほど喜んでいた。


「はは、すごく喜んでるな。だが、もう暴発させるなよ。火属性の魔法が暴発すれば、込めた魔力にもよるが、爆発を起こすことが大半だ。しっかりコントロールをマスターしろよ。」


 シルクに言われ、美羽はしっかりとうなずき、火の玉を消す。


「...ふぅ、本来、一度発動した魔法を取り消すのも結構な熟練度が必要なはずだがな。さすがは迷い人といったところか。さて、では、各属性の魔法を使ってみようか。だが、くれぐれも注意しろ。各属性の魔法も、暴走させれば甚大な被害が出るからな。しっかりコントロールすることを忘れるな。」


「はい、わかりました。」


 シルクに口酸っぱくコントロールすることをいわれ続けている美羽は、少しばかり肩の力が抜けたようだった。



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