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9 突然の上級種

「お疲れさまでした。これで、アルデンに着いた際の資金は大丈夫ですね。」

 一匹目のカエル型の魔獣――フラッガ―から、薬に使う素材である目玉を採収している時、さらに三匹ものフラッガ―が出てきてついでに追加で素材を手に入れた。

「採収した素材は、ベストのポケットに入れておくといいですよ。」

 彼女が言った言葉に、僕は心の中で反応する。

 えっ、これをポケットにしまうの?と。

 僕の今着用している装備の一つで、ライフジャケットのようなベストを着ている。これには、「収納魔法」が付与されていて、一定の量までは保存することが出来る。もちろん、臭いもしないし、中で潰れることもない。だからって…そう思いながら、僕はしぶしぶそれをポケットに収納した。

「始まりの村」を出発して約五時間。その短時間の間に、僕はなんか大切なものを失った気がした。

そんなこんなで、僕たちはアルデンへと歩みを進める。そして、先ほどからスライムが一度も出てきていないことに気付く。

「この辺りって、スライムが出てこないけど、それって時間的な問題なの?」

 そう。つい二、三十分ほど前に日は沈み、今や月明りと装備として持ってきていた手持ち灯篭(ハンドランプ)だけを頼りに歩いているのである。

「確かに時間的な問題でもありますが、この辺りは、先ほどの一帯よりさらに深い湿地帯となっていて、スライムなどの下級魔獣はほとんど生息していません。おそらく、もう少し進むと中級魔獣に遭遇すると思いますよ。」

 またかよ!さっきのスライムの時も、軽い感じで流してたよな…しかも、今度は中級種らしいし。

 暗闇の中、ぬかるんだ道をしばらく歩いた時、茂みの中でガチガチと鉄と鉄がぶつかり合う大きな音が聞こえた。僕は、腰に携えた刀の柄に手を賭けサラを見る。サラも同じくこちらを見つめ、軽くうなずいた。「よし!」と軽い合図とともに僕は、その場をまっすぐと駆け抜け通り過ぎるつもりだったのだが、サラは音のある方向へ茂みをかき分け静かに入っていった。これだから、RPGは嫌なんだよなぁ…

「ケント様、見てください!」

 そう言われて、僕も彼女の後に続き茂みの中を進む。そして、茂みが開ける少し手前でサラがこちらに手招きをしていた。

 目の前に広がっていた光景――それは、一体の大きなアメリカザリガニが僕より少し年上であろう金髪の美少女を襲っている場面だった。

「あの大きな魔獣はロブストスです。上級魔獣に指定される魔獣で、この地帯にはいないはずですが…」

 サラが驚いた表情で僕に言った。

「その周りにいる小さな魔獣は、初級魔獣なのでほとんど問題ありません。」

よく見ると、ザリガニ型魔獣――ロブストスと少女の周りには多数の小エビ型の魔獣がいた。

「それで、あの魔獣の魔核はどこにあるの?」

「初級魔獣であるパシフェディアについては頭の甲殻の中です。ロブストスは、二つの大きな鋏にそれぞれ一つずつあります。」

「えっ、二つ?」

 それって、人間でいうところの心臓が二つってことと同じだよね…

「はい。魔獣の生命維持に必要な魔核は複数持つ者もいます。その場合、一つでも残っていればやがて自然再生し、再び魔核の数が元に戻ります。自然再生の速度はその種によりますが…」

「わかった。でも、上級種って僕に倒せるかな?」

「それは大丈夫だと思いますよ。」

 サラはそう言って、ニコッと笑った。

 はあ。とため息をつきながら僕は今にもその大きな鋏で切り裂かれそうな彼女の前に立った。

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