7 初めての戦闘
『始まりの村』を出て、僕たちは「ギルド」を作るべく、ここから一番近い都市『アルデン』へと向かう。僕の持っているスマホの地図を見る限り、ここからアルデンに向かうには今歩いている道しかない。というより、始まりの村自体がこの世界の最西端に位置しているため、道というものがこの一本だけなのだ。それはさておき、
「おーい、サラさん。さっきから平原のど真ん中をただひたすら歩いているだけなんだけど…」
そう。僕たちは、始まりの村を出て以降、ずっと平原の中に引かれた道を進んでいる。
「そうですね。ですが、もうしばらくするとスライムやフラッガ―と呼ばれる魔獣が生息する湿地帯に入りますよ。」
そういえば、まだモンスターとは戦ってないんだった。まあ、最初だから強くはないと思うけど…
そうこうしているうちに、僕の案内役であるサラが言っていた通り、周りの地面がだんだんとぬかるんだ地面に変わってきて、じめじめする。
「そろそろ、魔獣が出てくるころだと思います。すぐに武器が取り出せるように準備しておいてください。」
サラが少し真剣な表情でそう言った。
僕は、背中にかけていた『秘剣・鬼丸』を刀袋から取り出し、腰のベルトに刺した。一度、こういうことやってみたかったんだよな~。などと考えていると、目の前の草の陰から、だいたい一メートルぐらいの半透明で緑色の大福みたいな形をした魔獣が現れた。
「これは、スライムと呼ばれる魔獣です。魔獣は、体内に魔核を保有していて、その魔核を破壊することにより、倒すことが出来ます。」
サラは、そういいながら僕にスライムを倒すように言った。ええっと、おそらくあの黒っぽいやつがたぶん魔核だから…ぶつぶつ言いながら、僕は秘剣・鬼丸を鞘から抜き放った。軽く深呼吸をして息を整え、「はあっ!」と、スライムを一刀両断に切り裂いた。予想していたスライムの弾力など全く感じられず、豆腐を切る感覚でスパッといった。そのなかに、少し硬い感覚があったので、おそらくそれが魔核だったのだろう。二分されたスライムはその後、どろどろと溶け出してぬかるんだ地面へと消えた。
「お疲れさまでした。初めて魔獣を切った感想はいかがですか?」
いかがですかって聞かれてもなぁ~
僕は、親指を立てて「最高です」と言うと、彼女は「ふふっ」と軽く微笑み、「よかったですね。」と言った。
すると、僕のスマホが震え出した。僕は、ポケットから取り出し、電源を付けると『レベルが上がりました』と表示された。