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2 ここはどこ?僕は誰?

『ようこそ、始まりの村へ』と書かれた看板の前には一人の少年が立っていた。


「あれ、なんで()は何でこんなところにいるんだ?というより、ここはどこなんだ?」

 僕は、この縄文時代風竪穴式住居の集合住宅地のような村に見覚えはなかった。辺りを見回しても、一面が草原に包まれていた。

 そのとき、僕のズボンの中で何かが振動しているのに気が付ついた。慌てて取り出すと、

『〈あなたの女神さま〉から着信です』と表示されたスマホが出てきた。

「あなたの女神さまって...」

 一瞬本気で引いた。まあ、ここがどこかわからない以上、出るしかないのだが...

「はい、もしもし...」警戒心を最大にして電話に出る。

「ヤッホー!私、私!覚えてる?いや覚えてるわけないかー!」

 スマホを通して、高く響く陽気な声が聞こえてくる。

「すいません、存じ上げません。失礼します。」

と、冷静に言って電話を切った。

 何だったんだろう、さっきの電話。それにしても、〈あなたの女神さま〉っていったい誰なんだろう?あの声を聞いた瞬間、何かが心の中で引っかかった。いわゆるデジャブのような感覚が。にしても、どこかで会ったかな...仮にどこかで会っていたとしても、そのどこかが肝心なのだが...

 そう考えていると、またしても手に持っていたスマホが震えだした。僕は、内心めんどくさいと思いながら再び『〈あなたの女神さま〉からの着信』に出る。

「はい、なんでしょうか?ご用件だけ(・・)をお願いします。」

 すると、「今から君の端末にあるデータを送ります。君は今から、それを確認してください。そのうえで、十分後もう一度電話します。」と、今度は冷静に威厳のある口調で僕にそう言い、電話が途切れた。

 今度は、僕も真剣に何のことか考え始めた。


 三分後、僕のスマホに一通のメールが届いた。


『石原謙斗様

  あなたは、先日別の世界において交通事故に遭

 い、異世界転生を望んでいたため、厳正なる選定

 を行い、それを実行いたしました。

  その際、あなたの基本アベレージが転生前とは

 真逆になるという世界のことわりにおいて、あなたの

 記憶も一時的に失われていることと存じます。

 つきましては、添付されているファイルに記録

 されている契約時の映像をご覧ください。

                       あなたの女神より』


 とりあえず、突っ込みたいことが満載なのだが、『交通事故』と『異世界転生』という、いかにも迷惑メールのようなワードに僕の関心度がどんどん薄れてゆく。絶対にこのファイル開いたらやばいだろ!?と、思いながらも開いた。開いたんかい!という突っ込みがあってもおかしくないぐらい軽いノリで。


 そのファイルに入っていたのは、約五分ほどの動画だった。


 真っ暗な暗闇の中にたたずむ一人の少年――それは、まぎれもなく僕だった。

そして、暗闇の四方から聞こえてくる高い女性の声。これは、〈あなたの女神さま〉の声だ。

〈女神〉は僕に向かって転生について説明している。基本アベレージが真逆になることを伝えていた。

 それはそうと...僕は、動画を見ながら思ったことが一つあった。この中の僕は、どんなに馬鹿なんだ?

「まじか」って何?どこの言葉?

 ほんとに、今とは正反対だな。心の中で、過去の自分への憤りと、本当に真逆になってしまっていることに対する驚きを感じていた。


 動画を見終わって、さらに五分ほど経ったその時、また僕のスマホが震えた。

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