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こちらの日本とプロパガンダ

本編は前話で完結ですが、今回は架空戦記創作大会(架空プロパガンダ)のエントリー作です。

いやはや、参った。


まさか、オサーンが用意したのが女の子とはね。

確かに、俺は元の世界にも幼馴染が居た。だが、こちらの世界みたいに告白したりはしていない。告白以前に、幼馴染に恋愛感情抱いて無かったな。

記憶を辿ると、こちらで何故、恋愛感情を抱いたのかが分かる。それが那奈の存在だった。

元の世界じゃ、小学校低学年までしか幼馴染と一緒に遊んでいないが、こちらでは那奈が居たことで中学くらいまで一緒に遊んでいたようだ。その結果、俺が幼馴染に恋愛感情を抱いてしまったんだな。

こちらでも元の世界と同じく、幼馴染は大学進学と共に田舎を出ていく訳だが、なんだ、ドラマやアニメの影響か、その時に告白しちゃったらしい。


結果か?「那奈をよろしく」だってさ。

何がよろしくなんだろうな。今の俺には分かるが、流石にこっちの記憶だけでそれは酷だと思う。好みで言えば、姉の方がタイプだもんな。

いや、元の世界とこちらで幼馴染の性格は変わらないからよく分かる。天然小悪魔。俺は中学頃にそれを知ったから、元の世界じゃ恋愛感情なんて持てなかった。ヤヴァいだろ?社会人の今なら、顔やスタイルではなく、性格で那奈を選ぶね。俺の前じゃ裏表がないからな。

こっちの俺は幼馴染の天然小悪魔に気づかないまま、那奈を悪魔と思ってた訳だが・・・

呉へ行ったときに手を出さなかった理由は、俺のヘタレもあるが、那奈自身の問題もある。アイツもそんな急展開は望んでなさそうだった。それに、那奈はまだ大学生だしな、ゆっくり行こう。



そんなことを考えている間に降りる駅の名がアナウンスされた。

今日は一人で近県に来ている。連休中なので渋滞を避けるために電車だ。


ここは小野田君の出身地で、郷土史料館の一画が小野田兄弟の資料展になってるから来てみようと思ってた。

普段の俺なら絶対来ないね。那奈は誘っていない。今日は友達と遊びに行ってる筈だ。


さて、史料館に入るとデカデカと小野田コーナーが案内されている。

建物は廃校になった小学校で、学校の歴史がメインの筈だが、小野田兄弟は地元の逸材とあって、扱いも破格なんだろうな。


俺は迷わず小野田コーナーへと向かう。


そこには小野田兄弟の史料がズラリと展示されていた。

近江を見に行った時も思ったが、こちらの世界では元の世界ほど軍事にたいする嫌悪感は無いらしい。正確には北方艦隊に対する、かな?


いや、閃電も保存されてるくらいだから、元の世界とは色々違いがあるんだろう。

ただ、元の世界にあったような戦前美化は無いね。何故かは知らないが。


そんな疑問を持ちながら史料を見ていった。

小野田信也は海軍将校から、北方艦隊司令官として1953年まで在籍して、自衛隊編入後は自衛隊には入らず政治家に転身、後に総理大臣になっている。

小野田慎吾は陸軍将校として北方戦争を指揮して、軍解体と共に復員、北方艦隊の後援活動を主導して、自衛隊発足後は信也と入れ替わりで自衛権へ入隊、初代統合参謀長として、自衛隊の基礎を築き上げたそうだ。

小野田君、小野田真介は海軍技官から軍解体と共に復員、慎吾と共に北方艦隊の後援活動を行っている。その後、建機メーカーを立ち上げている。

あ、オノダって小野田君の会社なんや。


史料館の上映室では北方戦争の際の記録映画が上映されていた。

全編英語で、日本国内に向けた映画ではなく、アメリカ向けに作られたことがパンフに書かれている。

8月11日に作戦を開始したソ連軍は南樺太の交換所を攻撃し、少女を含む多数の犠牲が出たらしい。この映画ではソ連軍の非道さが強調され、9月2日の停戦交渉団射殺も詳しく取り上げている。交渉団を射殺して、既に降伏文章に調印が行われているのに停戦交渉を拒否して侵攻を続けるソ連軍の姿勢は今の俺が見ても許せるものではなかった。いや、映画のナレーションや字幕は英語だが、ちゃんとパンフにあるからな。俺が映画を見ても全てはわからん。


この映画はどんなツテか米国でもかなり知られ、宣伝効果もけっこうあったらしく、反共の政治家や軍人の多くが日本の行動を支持し、スターリンに撤収命令を出すよう大統領の突き上げ運動まで行われたそうだ。

北方艦隊が残ったのもこの映画があったからとパンフにも書かれている。


さらに、パンフによると映画はもう一つあるらしい。

俺が上映室に入ったのは上映途中からだったようで、10分もすると別の映画が放映され出した。こちらは日本語。


二本目は国内向けのようだ。

内容は小難しくてよくわからなかったが、パンフの説明によると、戦前日本の事らしい。

統帥権干犯は野党が政局利用の為にけしかけたのが原因で、新聞がそれに乗って国民を扇動して戦争気運が作られたとかなんとか。

憲法解釈を自己都合で弄ってはいけないという警句や安全保障政策を政局利用してはいけないとか、まるで元の世界で起きていた事態そのものが語られていてビックリした。

俺が元の世界のネットで読んだ、「この時代の日本人は志をもってアジア解放戦争をした」って話とはかけ離れた内容ばかりで、統帥権干犯問題の政局利用後の日本では、無責任政治が蔓延ったとか、軍にも下剋上や無責任が蔓延していたとか。そして、新聞の煽動のままに、誰もが戦争を当然と考えていたんだとか。そりゃ、そんな世の中は間違ってるよな。


この映画の結果、鳩山という議員が統帥権干犯問題の政局利用に関与した生残りとして吊し上げられたらしい。更に、東京裁判とは別に、無責任を放置した政治家や統帥権干犯で暴れまわった軍人、戦争煽動を繰り返した報道関係者らの責任を問う場が設けられ、広くその内容がラジオ放送されたんだとか。


改憲もされているけど、それだけじゃなく、色々と歴史が変わってしまっていて付いていけない。


この二作品は戦後のプロパガンダとして有名らしいが、俺の記憶にはたいして残っていない。多分、習ってるんだろうけどな、こっちの俺は。常識過ぎて忘れたんだよ、きっと。




主人公はあまり政治に興味がないので子細は書いていません。

そんなものがあったらしいって程度。

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