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ヴィルヴィットendD さっさと帰れ
「……そうですか、さようなら」
私は無反応で送り届ける所存だ。
「なぜひきとめないんだ!?」
いきなり怒りだして意味がわからない。まるで脈絡なくいきなりキレだす女子みたいだ。
「だって貴方が帰りたい故にお帰りになられるんでしょう?」
ヴィルヴィットは押し黙り、さっさと城へ入っていった。
もしかして、私の気を引きたくて嘘を言ったの?
――がさり、草を踏む音に彼が戻ってきたのかと思って振り向く。
「おまえは……リグルス!!」
「力の覚醒していない貴様など、木の枝を折るに等しい」
リグルスは魔法をくりだすのかと思いきや、柔らかい紐で私の手を縛った。
「声を上げないほうがいい。貴様の大切な男は魔力を扱わぬ脳筋であろう?」
「私が行けばオルヴェンズと城には手を出さないの?」
「城へ参ったのは貴様が目的である故、矮小な事象に構う筈なかろう」
それはリグルスが現れる原因が私であるという事だ。
「……わかったわ」
―――殺されはしないなら、従うしかない。
【dragonエンド 】