フランム:ルート
―――私やっぱりフランムを諦められない。
「あの……」
皇帝の権力を利用するのはなんだか気がひけるけれど、オルヴェンズにしか頼めない。
「どうした?」
「私、あれからフランム=ハーゲンティが気になっているの」
「……ああ、つい最近破談にし…なった相手だな」
「彼はとても良い方だった。だから、どうしても諦めきれないの」
「……わかった。お前が諦めずに頼んでくるなんて、珍しいからな……」
オルヴェンズは苦々しい顔をしつつも、なんとかしてくれるらしい。
―――
「再びお会いできるなんて……」
フランムは嬉しそうにしている。なんだか変ね。
「ずっと貴方を考えていました。フランム様がいらしてくださって、私はとても嬉しい思いです」
―――それだけは伝えておく。私はあのとき彼に嫌われるようなことをしたのか、なぜまた会ってくれたのか、等たずねたいことはあるが、余計なことを言って気を悪くされたらおしまいだ。
「以前断られてしまったときは、なにか粗相でもしてしまったかと……」
――どういうことかしら。彼から断ったというのに、そんな言い方はおかしいわ。
私がフランムと以前と変わらず楽しくお茶をしていると――――
ドゴオオオオオオオオ!
庭から見える向こうの森で大きな爆発がおき、木々から白い煙があがっている。
「なにごと!?」
「……そういえば近頃、黒の魔術師が暴れ回っている。との噂を耳にしたことがあります」
フランムは顎に手を当てて語る。
「黒の魔術師?」
「はい。なんでも容姿は若い男ですが、数千年は生きているんだとか……」
―――エルフ族よりも長生きじゃない。きっと邪悪な存在と契約でもしているんだわ。
「ビバーチェア様!」
兵士がやってきた。きっと報告だろう。
「なにがあったの?」「黒の魔術師が現れました!ビバーチェア様を引き渡せと、陛下の命なのです!」
「オルヴェンズが?」
――彼が言うなら行くしかない。
「ビバーチェア嬢!?」
「ごめんなさいフランム様……」
私は兵士と共に森へいき、そして彼は中間地点で止まる。すぐに後から誰かがやってきた。
「フランム様?」
「……やれやれ」
兵士の姿が一瞬で別の男に変わった。黒いローブに木製の杖。
まさか、この男は闇の魔術師?
「……依頼主よ、これでいいんだろう?」
「御苦労様リグルス」
リグルスと言うのねこの男は、だけど彼がフランムの従者には見えないのだが?
「あの、フランム様。闇の魔術師が城を狙っているとは……」
「あんなのただの芝居ですよ」
フランムはチラリと私を見て―――
「ま、そいつが闇の魔術師というのは本当ですが」
笑う。まるで別人に豹変した。
「魔術師に貴女を拐うように命じたのは僕です」
フランムは笑ったまま、経緯<いきさつ>を語りだした。
「どうしてそんなことを……」
「僕は貴女に、一度縁談をお断りされました」
「誤解です……それは私ではなくフランム様側からでは?」
「正しくは皇帝陛下が、なのですが……」
「え?」
どうしてオルヴェンズが……。
「あれから僕は貴女に相応しくないのだと、どうしようもなく悲観していました」
彼は……いえ、彼も私を想ってくれたのね。
「フランム様……私は……」
「僕は初めてお会いしたときから、貴女が好きです」
彼は微笑んだ。
「なんて、言うと思いました?」
「え――?」
「僕は皇帝にプライドを傷つけられました。だから奴を精神的に痛めつけようと思います」
私は見知らぬ屋敷に連れ去られてしまった。十中八九フランムの屋敷だとは思うけれど、彼話を聞いてくれる様子ではない。
なにか双方の間で誤解があるのだろう。早くそれを解決して、ここから出なくては。
――――
「陛下大変です!!ビバーチェア様が……」
「なんだと……? 誰だそのような不届きものは」
「恐らくはグリテアの残党が城に紛れていたかのと……」
「ふむ……グリテアか―――しかし、何故奴等がアンヴァートを。気でも狂ったか」
牢獄のような部屋に監禁されるかと思っていたが、普通に別荘にある一室だ。
「しばらくそこで大人しくしていてください」
フランムは仮面の笑顔を見せた。彼はオルヴェンズをどうしようというのだろう。
部屋には外側から鍵がかかっているようだ。つまり、他の誰かが開かなければでられない。
彼はどうしたら許してくれるだろう。
ただ助けを待つしかないなんて、そんなのは嫌だ。
―――――
「別荘は見つからないようになっているか?」
「ああ、ちゃんと魔術でプロテクターしてある。そう強い奴でもないかぎり、ここを見つけることなどありえない」
「ならいいか」
――――ここに連れてこられ、どれだけの時間が経っただろう。
部屋に時計はなく周りの景色は木ばかり。しかしまだ空は青くて明るい。
きっと私を探す兵をかり出し、彼に迷惑をかけているに違いない。
無理にでも部屋から出なければと思う。
―――どうにか方法はないものかしら。さすがに窓から飛び降りても怪我するだけだ。
◆私にできることは無いかしら?
→〔フランムに懇願する〕
〔リグルスに頼んでみる〕
やはりフランムが首謀者なのだから、彼に直接交渉すべきね。
◆どう頼もう?
〔強気に脅す〕
〔泣きながら〕
〔死んだフリ〕