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ヴィルヴィット endB 嫌いじゃない


ヴィルヴィットは面倒だが、そこまで人間的に嫌ではない。

世の中には特に魔導師などは彼よりも性格、主に道徳心が最悪な人がいるのだから。


「なぜ呼び止めた。お前は私のことを嫌っているんじゃないのか?」


彼は私の気持ちを薄々勘づいていたようで、予想外の展開に困惑しているようだ。


「嫌っていません」

「それは、ジュプスの魔導師だからだろう」


彼は私が自分の権威だけ見ていると思っている。


「いいえ立場があるから、という事を抜いても……これは本心です」


だが、私は魔導師の役職は好きではない。


「動揺しない辺り、嘘ではないようだ」


焦らず冷静に言えたので、彼は信じてくれたようだ。


「初めは取りつくシマもないと思っていたが、許されるのは嬉しいものだな」

「貴方を好く方は沢山いるのでは?」


ヴィルヴィットは、そう見えるかと言いたげな顔をした。


「私に親しくする者は大王も含んで皆等しく権威と力目当てでしかないからな」

「それはそうでしょうが、ヴィルヴィット様も若くて綺麗な女性に迫られて嫌な気はしないのでは?」


しかし彼は更に苦い表情になる。


「魔導一族が何故少ないかわかるか?」

「いいえ」

「魔導一族の子は父親から全ての魔力を継ぎ、母親からは魔力を蓄える器の耐久力を継ぐ」


魔導一族の男は長子に魔力をあたえた後、力尽きて死んだり、生きていても次の子は魔力が極端に薄くなるらしい。


「一族長の命だからとお前を探しに来たが正直な所、死にたくはないし魔力を失いたくはない」


――それは、そうだろう。


「魔法使いは長生きなのに、大魔導一族はどうしてリスクをおかして子孫を残すの?」

「強い母親と強い父親の子は更に強くなるからだそうだ」


彼等が他の魔導一族から一線引いて強いのはストイックに滅びへ向かっているからなのだろう。


魔力至上の高位の魔導一族は女性が新しい夫を迎えるらしい。


「……あの、それは私が貴方と結婚しても、利益がないと思うんです」

「……まあ、魔力を無くした後、捨てられるのは嫌だな」


冷血そうなヴィルヴィットでも、そんな不安そうな表情を見せるのね。


「そうだわ、こうしましょう」

「なにか長老を黙らせる良い方法があるのか?」


私が結婚しなければオルヴェンズが安心して后をとれない。

そしてヴィルヴィットは長から結婚を急かされている。


「取り合えず結婚だけしましょう。そして孤児院から魔力の強い子を養子にしたらどうですか?」

「なるほど、それなら私の魔力は維持されるな」


ヴィルヴィットは私の事が好きで求婚したわけではない。

それに彼から見ればまだお子さま、赤子も同然だろう。


【Baby けど好きでもない】

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