先行き不安ですが運営開始します
「さて、今日から仕事だな!!」
俺は雲一つない青空の下、家の一階と二階の間に設置された看板を見ながら感慨深く声をあげる。
この家に来て三日、家の中も相談を受けられるように部屋に机や椅子を設置したり、四人で暮らしていく為に部屋を決めたり生活していく為に必要なものも揃えた。
ちなみに一階は仕事で使うようになっており、相談室や事務所、会議室等を設置している。
今はまだそんなに用途はないかもしれないけど、今後必要になってくるだろうしな。
二階は生活する部屋で食堂とリビングと各個人の部屋がある。
「勇者様、おはようございます」
「あっ、おはようございます。ってか、その勇者様ってのはやめてくださいよ」
そう言えば、一階には騎士と魔法使いの詰め所もある。
これは俺達四人を護衛する為らしい。最初は断ったけど押し切られた。考えてみるとティナは王女だし仕方ない事だ。
ちなにに国王さんに、
「騎士や魔法使いたちは二階には上がりません。夜も常駐しますが結界に外に張っている結界に異常がない限りは駆け付けません。だから……お気になさらずに」
ってニヤリとしながら俺に耳打ちしてきた。
なんだあの人は!? 自分の娘もいるだろうに。……まあこの世界で俺は勇者ってなってるからそうなる事を望んでいるのかもしれないけど……俺はちゃんと気持ちが通じるまで誘惑には負けん!
「はは! 勇者様は勇者様ですからな! では、今日から頑張ってください」
そう言って騎士は頭を下げると俺の元を去って行った。
「ユータおはよう! 今日もええ天気やな!」
「ユータさん、おはようございます」
「ユータおはよう」
振り返るとマリア、リリ、ティナの三人がいた。三人とも三日間一緒に過ごした事で硬さも取れてきた。
マリアのペースで三人とも幼馴染としての間柄に戻ったことで俺に対してもフレンドリーになってきた。ティナに至っては普通に名前で呼んでくれるし言葉使いも普通になって嬉しい限りだ。
「あぁおはよう」
「それにしてもユータその服に合うな! 男前やわ!」
「確かに似合います」
「うん、か、かっこいいよ?」
「そ、そう? ティナも似合ってるよ?」
俺はみんなに褒められて動揺しながら言葉を返す。
俺はこの世界に着てきたジャージを置き、執事が着るような黒のタキシードを着ている。
さすがに、ジャージでケアマネは何か違う気がするから国王さんに言って手配してもらった。
でも、かっこいいなんて言われるなんて……それに頬を赤くしながら言ってくるティナにちょっと照れてしまった。
ちなみに、リリとマリアは仕事でも役割がそのまま重要になってくるので、メイド服と修道着だ。ティナだけはドレスでは動きにくいって事で、俺のイメージを伝え日本のスーツを作ってもらった。
ティナは事務的な仕事だからな。それに王女なんて知れたらややこしくなる。
ちなんみにスーツは黒のスーツで中は白いシャツだ。この世界は女性はズボンをあまりはかないみたいだし、ドレスも一種のスカート……みたいなものだからな。スカートはひざ丈少し上のスカートタイプになっている。
それにしてもイメージを伝えるだけでここまで再現するとは……さすが職人!
「あぁ! ティナだけズルい! 抜け駆けや! うちも作ってもうらおう!!」
「えっ!?」
「いやいや! マリア、そんな問題じゃないだろ!? それにマリアはシスターだろ!?」
「そうですよ! それなら私の方がーー」
「リリもちがーーうっ!! スカートでメイドはダメ!! そんな事したらーー」
「そんなことしたら?」
「ぐっ、それより準備するぞ!!」
俺はスカートの中身が見えてしまうとは言えず、話を切って準備しようと家の方へ歩を進めた。
……初日のところだなからこんなんで大丈夫だろうか?
とりあえず、今日は一人暮らしのマリーさんだな。頑張ろう。
俺は心の中で一人で会話しながら気合を入れた。