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ケース1 マリーさん 〜初回アセスメント その3〜

 「……庭のお花の手入れをしたいわ。最近腰が痛くてできてなかったし。……昔から花が好きでね。主人や娘と良く花を見ながらお茶してたわ。あの時みたいに手入れして花をキレイにしたわね」

 「それはいいですね! それを目標にしましょう! じゃあそれを元にプランを立てましょう!」

 

 これは良い事だ。

 マリーさん自身がやりたい事があるという事はそれを目標にこれからのプランを練れば本人のやる気も出てくる。

 俺はそこから『自分で花壇の手入れをする』を目標にプランを提案していく。

 さっきの訪問メイドの件も腰痛がひどい間は洗濯と買い物は生活援助で入ってもらう事で了承を得た。でも自分で出来る事は自分で行いたいという事でこの訪問メイドのプランは一か月後に俺かもしくは後任がその時になったらマリーさんと相談の上、検討して事にした。

 あとは、本人にしてもらう事として無理のない範囲で座ってでもいいから体操や自分で身体を動かしてもらうというのをプランに入れ込む。

 あとは……。


 「僕の方から提案なのですが、マリーさん良かったらデイサービスに行ってみません?」

 「デイサービス?」


 俺が働いていたデイサービス……この世界にもある。

 日本では正式名称が通所介護、介護予防通所介護だったけど、この世界はデイサービスという名称みたいだ。

 まぁ今のところこの世界は『介護度』って概念はないし、国王さんにも説明したけど今はその余裕がないしおいおいと言った感じになるだろう。

 日本でも介護認定はいろいろ問題があったからな。

 とりあえず、今の俺の役割はプランの調整だ。

 マリーさんは独居で社会参加があまりないみたいだしそこも少し何とかしたい。


 「そうです。腰痛があると日中なかなか外出できないでしょうし、外に出て誰かとお話しすると気分も晴れますよ?」

 「でも……なんだか恥ずかしいわ」

 「大丈夫ですよ! それにもし行ってみてどうしても嫌だったら辞めてもいいですし……だから一度行ってみません? デイサービスは他の方とお話したり、お風呂に入って食事したり楽しいですよ? よかったら僕も最初一緒に行きますし」


  独居で家に一人でいると話し相手もいないし段々と生活にメリハリがなくなりやすくなる。外に出て誰かと話したり交流したりっていうのは以外と大事な事なんだよな。


 「うーん……じゃあ一度行ってみようかしら?」

 「はい、行きましょう! では一度デイサービスの方へ連絡入れておきますね! 移動の馬車にもちゃんとクッションをひいてもらうように言っておきます」


 この世界の移動方法と言えば馬車だ。馬車は道に揺られるから腰痛持ちの人には過酷だ。

 だから、俺はその事も国王に言ってサービスの送迎にはクッションを支給してもらうように伝えた。外出して腰を痛めたたり悪化させたりしたら本末転倒だしな。

 なにやらクッションに付与魔法をつけたらショックを吸収できるらしいし。

 この魔法の付与は宮廷魔法使いクラスでしか出来ないらしいけど、これくらいはやってもらわないと困ると言って国王直々に動いてもらった。

 魔法の付与は魔法使いにとって魔力を多く使うし大変な事らしいけど、まぁ平和な世の中だし大丈夫だろう。

 なんたって今のこの世界の危機は高齢化なんだから。

 勇者召喚で俺が召喚されるくらいなんだし争いなんて起きないだろう。

 ならせっかくの異世界特典である魔法を最大限介護に使ってやろうじゃないか!


 「ありがとうね。じゃあお願いするわ」

 「はい、わかりました! ちなみにお風呂は大丈夫ですが? 腰痛で入りにくいとかは? デイサービスで入る事も出来ますけど?」


 この異世界では、平和の世の中が続いて世の中が発展してお風呂も一般家庭でも家にあって入れるらしい。

 この辺も俺の想像する異世界とは違う。

 まぁ、勇者召還の理由が高齢化問題っていうくらいだからな。


 「それは大丈夫だわ。それにたくさんの人と入るのはちょっと……」

 「そうですか、分かりました! じゃあまた何か不都合が出たら教えてください。では、今日の話をまとめますね」


 俺はそう言って今日の話をまとめに入った。


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