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ケース1 マリーさん 〜初回アセスメント その2〜

 「そうですか。それは辛いですね。……マリア腰の痛みとかは魔法で治らないのか?」


 とりあえず俺はマリーさんの気持ちに寄り添い腰痛の辛さを共有する。そして、その上で根本的な腰痛が治せないかマリアに聞いてみる事にした。

 ここは異世界。

 魔法で解決する……なんて事も……。


 「はい、魔法は怪我とかは治癒できますが、病気や病気が絡んでくる痛みや加齢からくる様々な諸症状の痛みには効果がありません。おそらくマリーさんは」


 そっか。魔法とはいえやっぱり万能じゃないんだな。まぁそりゃそうか。魔法で全て治せたら死なないし介護の問題も発生しないもんな。

 それにしてもマリアの標準語……違和感あるわ~。


 「そっか。……マリーさんは今のところ訪問メイドで買い物は頼んでいるみたいですけど、洗濯とかも頼んでみてはどうですか? 訪問メイドって洗濯とかもお願いできるよな、リリ?」

 「はい、一人暮らしで生活の援助が必要な方でしたら法律上、大丈夫です」


 この変は日本と一緒か。

 マリーさんは一人暮らしだから家族の協力も得られないし、家で一人の時に転倒とかしたら大変だ。人が訪れるまで発見されない事になる。

 本人が自覚していないリスクとかを認識して対処するのもケアマネジメントのプロとしての役割だ。

 もし、リスクを放置してそれが理由でケガとか体調を崩してしまったら、本人にとっても辛い事になる。国から見ても長い目でみれば介護度高くなると必然とサービスに頼らなくてはいけない状態になったりして費用が増える。

 本人にとっても国にとっても元気で過ごして行く事がWIN-WINの事なのだ。


 ちなみに、リリは本当の意味でのメイド兼メイド(日本で言う介護職)専門のアドバイザーらしい。マリアはマリアで本当の意味でのシスター兼シスター専門(日本の看護師)のアドバイザーらしい。……人は見かけによらないみたいだ。

 そして、ティナは法律全般の知識を有しているらしい。だから、この三人の協力は俺にとっておおいに助かる。


 「でも……買い物は遠くて荷物持って帰ってくるのは大変だし頼むしかないと思っていたけど、家の事を頼むのは気が引けるわ」

 「そうですか……でも、無理して怪我したらそれこそ何もできなくなりますし……どうでしょう? 痛みのある間は訪問メイドの援助を受けながら徐々に自分で行うようにするのを目標にするのは?」

 「目標?」

 「そうです。ただ、サービスを受けるのじゃなくて、目標を持ってそれに向かって頑張る為にサービスを使うのです」

 「まぁ……それは素敵ね」

 「そう思っていただけて何よりです。マリーさん、他に何かしたい事、できるようになりたい事ないですか?」

 「うーん……そうねぇ~……」


 マリーさん頬に手を当てながら考えている。

 もし自分がしたい事、できるようになりたい事があれば、それを目標に頑張れば生きがいにもなってくるし生活にも張りが出る。

 さて、ここでマリーさんからやりたい事が出てくるかどうか……。


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